第1話 蛇の話

 六甲山系に「東お多福山」という山があります。担ぎ上げしかできない山な
のですが、東方向に大変良いロケーションです。山頂は草原になっていて、木
立が少ない為、景色が良くハイカーもたくさん訪れます。アマチュア無線の運
用に最適な場所なのですが、担ぎ上げなければいけないということで、場所は
良いのに無線家が訪れることが少なく「穴場」になっております。山頂に辿り
つくまでには「蛇谷」という名の造成地を通っていきますが、名前の通り蛇を
見かけることがあります。

 真夏の朝早く山頂にたどり着き、6mでの運用をしっかり楽しんだあと、夕
方暗くなる前に「蛇谷」を通って、山裾のバス停に向かいました。山道の横に
は、コンクリートで固められた大きな溝があり、その溝で蛇がはっておりまし
た。気味の悪さ故、足下に落ちていたサッカーボール大の岩を投げると、蛇の
胴体の丁度真ん中(腹?)あたりに命中し、蛇は動かなくなりました。人気の
ない山道を一人で歩く不安さ(当時は若かったので・・・)を蛇をいじめるこ
とで晴らしたようで、変なすがすがしさを覚えた記憶があります。

 自宅に戻ってしばらくすると、急に吐き気がおそって来ました。ついさっき
までなんともなかったのに・・・ 一吐きすると、何事もなかったかのように
すっとしました。炎天下ずっと山頂に居たからかも知れません。きっとそうで
しょう!
 でも「ひょっとしたら、蛇のせいではなかったのだろうか?」と、今になっ
て考えると、何となくそう思えてくるのです。

 移動運用に行くと、山道で蛇に出くわす事があります。いつ出会っても、や
はりいい気持ちはしません。出会ったときには、昔みたいに粗暴なことをせず
に、430メガのホイップアンテナを左右に振って「ひゅんひゅん」とやって
追い払い、山道を横切って行ってしまうのを待つ様にしています。
 お化けUFOの類は、一切信じない人なのですが、蛇に凄いパワーがあるん
じゃないかな?なんて子供みたいな事を時折話す事があります。

 移動運用時の殺生は、極力さけたいものです。
JL3TOG
1997-MAY
2003-AUG-20 少し手直し