第21話 海


 少年時代、海から離れた土地(大阪府池田市)で生活していたにもかかわら
ず、興味を覚えて良く海に釣りに行ったものです。 父母の実家が徳島県にあ
り、帰省の度に吉野川河口で投げ釣りをしたのがきっかけです。

 阪急電鉄石橋駅朝4時33分発の上りを使って梅田まで出て、阪神電鉄や南
海電鉄に乗り換えて岸和田のほうや神戸の方に行ったものです。 小学生には
重すぎる氷入りのクーラーボックスや竿ケースをエイコラエイコラとよく運ん
だものです。 親もよく出してくれたものです! 単独行動が多かったし、泊
まりがけで出掛けて野宿したこともありました。 さぞかし心配したことでし
ょう! 親になってはじめてわかることですね! HIHI! そのころの経
験が今の移動運用にとてもいかされています。 今は、重かったクーラーボッ
クスがバッテリーに変わったり、テントが1BOXカーになったりしています
が・・・

 無線をはじめた中学生頃からは、海は縁遠くなってしまいました。 無線は
「山」でやるものですから・・・ HI! そのころは海まで自転車で5分ほ
どの兵庫県芦屋市に住んでおりました。 芦屋の山に登ると、波が太陽の陽を
浴びてきらきら輝く景色を楽しむこともできますが、無線に夢中でそのような
余裕なし! HI! まあそんなものでしょう。 でも眺めながらの運用は気
のせいか心を和ましてくれていたような気がします。

 当時の自宅の近所に、「西宮大橋」という埋め立て地にかかる大きな赤い橋
があります。 頂上にはベンチがあって無線を楽しむ良いポイントです。 ヤ
ングなローカル無線家のたまり場になっておりました。 弁当箱のような無線
機を肩から担いでよく行きました。 渡った向こう埋め立て地の方では、ちぬ
(黒鯛)や太刀魚、アジ、サバ、イワシが釣れる場所で、当時は屋台が出るほ
ど釣り客でにぎわっておりました。 今は?ですが・・・ そのような環境に
居たにも関わらず、変わらず無線ばかりの余暇。 まあそんなものでしょう。

 アマチュア無線のライセンスを取得し、西宮大橋でいつものように無線を楽
しんでおりました。 その日は天気は良かったのですが、風が強く真新しいロ
グブックを手でしっかり押さえながらのQRVでした。 私の電波を聞きつけ
て近所のヤング無線家も集まってきておりました。 遊びに来ていた無線家と
の談笑中に、何気なく置いていたログブックが風で舞い上がって大橋から海に
飛んでいってしまいました。 大焦り! 幸い風は海から陸に向かって吹いて
いたために、少し離れた「西宮ヨットハーバー」の方に流れて行きました。 
 ヨットを係留している桟橋にのぼって、近くに落ちていた棒きれでログを拾
い上げたときの安堵感! ちょっと字も滲んでおりましたがちゃんと読め、ほ
っとしました! 海は時として親しみを持って接しているものに対して牙をむ
くことがある(なんと大げさな・・・ HI!)事もあります。 HI!

 海の近くで学生生活を送っていると、クラスに釣り好きもいるもので、彼ら
とのつき合いで釣りにも出掛けました。 無線とは縁のない彼らの中に入って
は無線の話はタブー! そんなときには私も無線を忘れて釣りに没頭しており
ました。 サバやイワシが釣れる釣れる! 釣りに出掛けたあとは、その面白
さが忘れられなくなってしまって、無線の方はQRT! なんて事がよくあり
ました。

 HF帯を楽しむために、海辺に行ってワイヤーアンテナを張ります。 釣り
を楽しむ人たちに変な目で見られながらポールをのばしてマイクを握ってCQ
CQ! 楽しく魚を釣り上げている姿を眺めながらパイルを捌きます。 「あ
の竿を借りて一寸だけ釣ってみたいなあ!」と思うこともありますが、やって
しまうとのめり込んでしまいそうで怖い今日この頃です。 道楽も1つだけで
なしに3つ4つある方が視野も拡がっていいのでしょうが、財布の中身がそれ
を許してくれません。 HI! まあそんなわけで今は無線1本!

 海と何かと縁のある無線運用をしてきたのだなあ! 山での移動運用は移動
運用の王道ではありますが、たまにはワイヤーアンテナを車に積み込んで海に
出掛けるのも良いものです! 竿も一緒に連れていったらより良いかも! 大
声を出してぺこぺこになったおなかを満たしてくれるかもしれません。 でも
皆さんご注意! はまり込んでしまって「無線の世界に戻ってこられない!」
なんて事にはならないでくださいね!            JL3TOG