随分昔、有名なお笑いタレントが若い頃にやった修行の事を話し
ていました。 その方の話は沢山ありましたが、一つだけ覚えてい
ます。 阪急電車での修行です。 電車の車内を前から後ろまで何
回も何回も往復するのだそうです。 すると、乗り合わせた乗客が
彼の事を「何をやっているのかな?」と、不思議そうに眺めるそう
です。 何度も往復していると、そのうち突き刺すような視線を受
けても動じなくなるのだそうです。 そして舞台に上がっても動じ
なくなるのだそうです。
移動運用をやっていると、見知らぬ方からいろんな質問がくるも
のです。 アマチュア無線だと知っている人は「何処まで飛ぶんで
すか?」なんていう良くある質問が多いですね! 全く何をしてい
るのか見当の付かない人は「釣りをしているんですか?」とか「鳥
でも捕まえるのですか?」等々... 出来る限りそんな質問に丁
寧に答えております。
話しかけてくれる人なら対処が容易ですが、敵意の視線を感じる
こともあります。 見慣れない物、者に対して、それは自然な行動
だと私は思います。 そういうときに私は、出来るだけ視線が合う
ようにして、視線があったときにすかさず「いい天気ですねえ!」
なんて風に声をかけます。 不思議なもので相手の視線はすぐに好
意的なものに変わります。 そして出来る限りわかりやすくアマチ
ュア無線の事を話してあげます。 まあその話題の殆どが「何処そ
こまで飛びますよ!」になります。
アマチュア無線をはじめてすぐの頃は、自分自身を見知らぬ人々
から守るために全く逆の行動をしていました。 出来る限り人目に
付かない場所にどんどん移っていくのです。 声をかけられない場
所を求めて... これも多分自然な行動でしょう。 一人寂しく
山の中でマイクに向かってCQCQとやっていればそれは心細いも
のです。
大阪府池田市にある五月山ドライブウェイ。 その途中に大変見
晴らしの良い「秀望台」という展望台があり、学生の頃によく行き
ました。 ここで楽しく「CQCQ」とやっていると、ヤンキーの
お兄さんが5,6人来てこちらに向かってきます。 敵意の視線で
私の方を見ているではありませんか! この「秀望台」出入りは一
カ所だけ! 逃げる訳には行きません。
ヤンキー達は、皆がするような「何しとるん?」というごくふつ
うの質問をしてきました。 こわごわ「無線してるねん! 聞いて
みる?」と言って、たまたま聞こえていた生駒山移動局の声を聞か
せてあげました。 すると、ヤンキー達は少年のように目を輝かせ
て「へえー! えらい遠くから聞こえてくんねんなあ!」と、僕に
とって怖い存在ではなくなってしまいました。 そのヤンキー達の
一件以来、心細い単独運用の時に自分自身を守る行動は、逃げ隠れ
するよりも迎合することだと、確信しました。 その後、同じ様な
ことは何度もありました。 なかなか根性が付きました。
「面接」といわれる試験を進学や就職の際、何度か受る機会があ
りましたが、昔、あがり性だったとはきっと思われなかったことで
しょう。
移動運用を楽しんでいくと、これからもきっといろんな人たちか
ら「何やっているんですか?」と、声をかけられることでしょう。
「今度はどんな風に説明しようかなあ!」なんて想いながらWA
KU−WAKUしている今日この頃です。
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