山の上でCQCQやっていると、コールしていただいた電波が弱くて、呼び返してもどうにもQSOが成立し
ない事が時々あります。RITで合わせてみたり、IFを動かしてみたり、ヘッドホンをかぶってみたりと頑張
ってみて上手くいく事もありますが、駄目な時もちょこちょこあります。
QSOが成立しなかったときには、残念な気持ちでいっぱいになります。しかし、相手の局長さんを「不快に
させてはいないだろう」という自負があります。まあ、すべての局長さんに当てはまるとまでは、思いあがって
はいませんが...
車で走りながら、ラジオがわりに聞いていた2mSSB。CQを出していたのは、私の居る位置からそれほど
離れていない高台にて移動運用を楽しんでいるベテラン局でした。そこに私のリグから、微かに聞こえるCQ局
を呼ぶ声が流れ出ました。ベテラン局はGPを使っているという事なので、モービルホイップで平地走行中の私
よりは好条件。「QSOが始まるな」と、聞いていましたが、そのベテラン局は「(信号が)弱いですね、また
今度、強いときに呼んでください!73」と言い放って、CQを出し始めてしまいました。リグの性能、アンテ
ナやロケーションの善し悪し。条件が悪かったのかも知れませんが、偶々呼ばれたとき、弱かっただけかも知れ
ません。 なんて諦めるのが早いのかと驚いてしまいました。
7メガ移動運用での混信時や、コンテストでCQを出しているとき、私は時々、本気で時間をかけて聞いたら
聞こえるだろうなと思われる局長さんからのコールを あえて無視することがあります。何とかコールサインの
一部をコピーできたとしても、結局はQSOに至らないであろうと思われる場合です。勿論、伝搬状況が変わっ
たり、混信が交信しているうちに無くなり、快適な交信が出来る場合もあるのでしょう。しかし、中途半端なQ
SOをするよりも、「これで良かった」と、言い聞かせるようにします。本当はとても心苦しかったりするので
す。私が呼ぶ側のとき、取っていただけないことが良くあります。そのようなとき、「次は、伝搬状況が良いと
きに呼んでQSOして貰おう」と、次に期待をかけることにしています。無線家共通の考えであるという信念の
基に「きっと理解してくれる」と言い聞かせます。そして心の動揺を抑え、CQを出します。
しかし、少しでも「これはいける!」と、思えた信号は、QSOがどれだけ長くなるか想像がつかなく困難で
も、何度も何度も「もう一度呼んでください」「サフィックスのトップとミドルレターをもう一度送ってくださ
い」などと、しつこくしつこくお願いします。読みが外れて交信を断念してしまう事もありますし、繰り返しコ
ールサインを送ることに疲れてしまって「またお願いします」と、去ってゆく相手局さんもおられますが、やれ
るだけのことはやり、やり尽くして駄目だった時は、残念ではありますが、また電波を聞いてくれた時にも、呼
んでいただけるのではないかという期待感でいっぱいになります。私も随分、コールしてもQSOが成立しなか
った事がありますが、諦めずに取ろうと努力してくれた局長さんは、いつまでも忘れずに覚えているものです。
相手に自分の電波が届かなかったとき、私はそれを自分の技量のなさや設備のせいにします。そして大抵の場
合、その通りであります。アンテナを工夫したり、より遠くまで届く場所を探してみたり、マイクを握る手の位
置にさえもこだわります。あの局長さんの電波が、次に聞こえてきたら必ず交信しよう。それが、向上してゆく
力になると考えています。しかし、私の考えに異を唱える方も中にはおられるようで、先日430メガFMでコ
ールいただいた局長さんは「やっと取って貰えた!4回も呼びました!聞こえなかったんですか?4回も呼んだ
んですよ!」と、声を荒げて私に話しました。ただ「すみませんでした」と、謝るばかりの私でした。でも正直
な気持ち、4回ぐらい呼び続けるなんて事は、私には何度となく経験してきた事です。学生の頃など、何度呼ん
でも取って貰えない、超有名だった今は故人の雑誌エディターと交信したくて、近所の山に駆け走って登り、交
信してもらった事もあります。だからといってその方に「山に走っていって呼んでください」とは決して言いま
せんが、取って貰えないことを相手局のせいにするのはちょっと悲しい考え方です。
その日、もう1局さん。私が信号を取ることが出来なかった局長さんがおられました。運用を終えて自宅に戻る
と、その方からメールを受け取っておりました。
「3月10日に、波を取ったのですがハンデイーしか持ち合わせていなかったので、コールをしたのですが駄目
だったです。弥富の高速したのナントか公園近く!今日でやっと5件になるぐらいの開局初心者です。これから
何かとよろしくお願いします!」
メールを読んでいると、交信できなかったことが残念で仕方ありませんでした。呼んで頂いていたことに全く
気がつかなかったのですが、その気づかなかった事が残念で残念で... 気づいてさえいれば、いつものよう
に交信できていたのでは... 今度こそは信号を取りたいと、また闘志が沸いてきました。
電波というものは、なかなか自分の思うように拾い集めることが出来ず、いつもハラハラドキドキさせられて
しまいます。でもそれが「おもしろさ」なのでしょう。これからも「取るべき信号」を探しに、野へ山へ海へと
あちこち移動運用をし続けていきたいと思います。今度はどれくらいハラハラドキドキ出来るのか楽しみで仕方
ありません。