第33話 430MHzSSB考 回想

 アマチュア無線局を運用していて「遠方」と交信できたときの喜びは、アマチュア無線家共
通の喜びであろうかと思います。しかし「遠方」の基準は各々の設備や運用形態や運用歴によ
って異なり、同じ距離でも受け取り方が違ってくることと思います。
 現在の住まいには諸般の事情によって固定用アンテナをあげることが出来ないためにV/U
HF帯にて山岳移動運用を時々行いますが、430MHzでの運用はアンテナも比較的小型で
運用できるために険しい山道を登らなくてはいけない場合には運用いたします。険しい道を歩
き終えて山頂に着いて下界を眺めながらの運用は気持ちのいいものです。 しかし SSBで
運用を始めると 気分の悪いQSOが待ちかまえていることが時々あります。
 元気よくCQ呼び出しをしている局に周波数を合わせ「こちらはJL3TOG/2です ど
うぞ」と、コールすると、「なーんだ 近くじゃねーか!」と、急に調子が変わってつまらな
さそうにする局が時々おられます。私とのQSOが早々と面倒くさそうに終了した後、ワッチ
を続けていると今度は1エリアの局が呼んでいるようです。「○○市は1stでございます!
カードは是非是非とも交換願います!よろしくでございます!ベリーエフビイQSOありがと
ございます!」と、会社の社長にでも逢ったかの様な変わり様で交信しておられました。交信
が最後まで出来れば良いのですが ひどい場合はCQを出しておきながら「2エリアは要りま
せん」と交信を拒否する局もいます。
 遠くの局と交信する為に 大きなアンテナを購入し大きなパワーを焚いて運用している事も
良く解るのですが 近距離局とQSOしたくないのであれば CQ呼び出しはせずにスケジュ
ールQSOをしてください。CQを出している局が聞こえてくれば 私ならば近くでも呼びま
す。私は決して距離の長短で交信の善し悪しを判断したりはいたしません。
 430MHzオールモード機を高額で購入して、開局後にSSBでこのような局と交信した
為に「FM専用機にすればよかった」という人や「アマチュア無線って怖いね」とのせりふを
残して無線の世界から去っていった人を数人知っております。
 あなたの交信がビギナーハムを無線の世界から追いやっていないか 自らの胸に手を当てて
考えてみてください。


回想  この文章は、以前CQ出版社「CQハムラジオ」に投稿したものです。実際に、あるアマチ ュア無線局とのやりとりをおもしろおかしく文章にしたものです。この投稿が掲載された直後 に430MHzSSBerと意見交換する機会がありました。「その様な事は無い」という意 見に紛れて「430MHzSSBに限った話ではない」というお話も聞くことが出来ました。  確かにどんな周波数で運用していても、この手の話はあるもので、タイトル「430MHz SSB考」は不適切だったのかも知れません。  私が、この投稿で一番に言いたかったのは「呼ぶ側も呼ばれる側もお互いに楽しく交信を始 めて楽しく交信を終えよう」ということです。自分だけが楽しいと云うのではだめだという私 にとっては当たり前の考えに基づくものです。  私が無線を楽しむ上で最も大切にしている考えは、「交信相手に良い気分になって貰う」と いう事です。すべての交信相手に良い気分になって貰う事などとても出来る事ではありません が、少なくとも相手方を不愉快な気分にする交信は慎んでもらいたい。機械と話をしているの ではなく機械を介して人と交わりあっているという事を私が430MHzSSBで出会った局 長さんに解って貰いたくて、当時キーボードを叩きました。出来る事なら、私以外にも皆が楽 しい気分になるような交信を目指して貰いたい。そんなおこがましい気持ちも心の片隅にあり ます。  これからも「交信相手に良い気分になって貰う」という究極の目標に向けてマイクを握りパ ドルを操作していきたいと思います。

JL3TOG 2000-NOV-19