空と海との間には

 小雨模様の4月24日朝。メカ好き歴史好きの「第三惑星委員会」の面々が集まったのは三鷹市駅前。今日は年に一回開催される航空宇宙技術研究所の一般公開日なのである。
 あいにくKodo氏(土浦でM4戦車に火炎瓶攻撃してた人です)が仕事の都合で遅れたため、一行は氏の到着まで隣接する海洋安全技術研究所ほかの一般公開を見学することにした。時間潰しのつもりだったのだが、その予測は見事に裏切られた。こちらも濃くて熱いのだ。
 なにしろ研究所の一般公開とあって、展示品を解説してくれるのは実際の開発に担当している所員の方々なのだ。いずれも明日の技術に賭ける気合がひしひしと伝わってくる。「地上の星」をバックに田口トモロヲのナレーションが入りそうな世界なのである。
 今回はその、ほんのさわりをレポート。

 巨大な400メートル水槽の脇に展示されていた海面効果機の模型。近くにいた所員に尋ねたところ開発担当者ご本人と判明。マニアックな面々がエアロトレインカスピ海の怪物のことを口にしたものだから、ノリまくって説明してくださる。
 本機のプランでは乗客150人を乗せ、海面上数メートルに浮上して200ノットで疾走するという。実用化の障害になっているのは、技術的な問題よりも商業輸送としての位置づけだという。新幹線と旅客機の中間という速度なので、そのニッチを生かす用途があるかどうかが鍵なのだ。飛行機でないからインフラも既存の港湾施設が使えるし、小笠原や東南アジア多島海で旅客輸送に活躍できそうだが。担当者さんいわく「料亭の高級鮮魚や競走馬の輸送に最適なんだけど、予算がつけばねえ」。
 この機体で小笠原のクルージングを楽しみたい人は議員先生に運動しよう。

 開発中の自律型深海作業ロボット。グラスファイバーで母船とつながれたシリンダーで深海に投下されるが、そこからはケーブルをつかわず音響通信で命令を受けながら自在に調査や作業ができるという。
 今夏には浅海域で実証テストが開始されるとのこと。深海域については「シリンダーと深海用の浮力材が調達できればすぐできるんだけれど、予算がつけばねえ」。
 この深海ロボットを活躍させたい人は議員先生に運動しよう。

 それでもって予算がついた例がこれ。昨年の10月に完成したばかりの深海水槽である。
 直径14メートル、最深部35メートルの円筒型の水槽で、周囲に128台の造波装置をコンピュータで制御し、ありとあらゆる波を作り出せる。
 デモでは定常波を作ってみせていたが、波だつ水面がそのまま静止したように見えるのだ。この世のものとは思われぬ光景であった。

 出た。スターリング・エンジンである。封入された気体の膨張収縮作用で二つのピストンを動かす外燃機関である。クリーンかつ静粛な機関で、未来の機関として注目されている。
 海洋技術安全研究所の名誉のために言っておくが、この写真は青少年への啓蒙のための模型用エンジンである。念のため(開発中の実機は分解整備中でした)。
 

 とにかく所員の皆さんが熱い。一行の高橋まこと氏がこれまた要所を突く質問をするものだから、所員さんが話す話す。それはまあ嬉しいのだが、氷海船舶試験水槽で話が盛り上がった時は死にそうになったぞ。4月の東京で20分も摂氏0度の環境にさらされるとは想定してなかったんだから。

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