ギガヘルツ帯アマチュア業務の活用についてのお願い
 

 私からJARLへ送りました「ギガヘルツ帯アマチュア業務の活用についてのお願い」
に対して、平成12年12月28日付け原会長名の書簡で返事をいただきました。
私は、現段階では、忙しい中にもかかわらず、真摯な回答を貰ったものと認識しています。
内容として、特に目新しい情報はありませんが、返事をくれたこと自体に、時代の変化を感じており
ます(これまでは、何を言ってもナシのツブテでした)。

ロケットやタスコの話があって、私たちにもきびしい情勢ですが、「コンピュータと無線の融合」
によって、強く乗り切ってゆければと思います。
といっても、私は無力なうえに怠け者で、恥ずかしいかぎりですが、せめて、空想の世界ででも、
楽しいアマチュア無線をしてみたいと、念じています。
 

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日本アマチュア無線連盟御中
会長  原  昌三  様

                平成12年12月16日
                JH1FJK 稲葉慶和(会員)


ギガヘルツ帯アマチュア業務の活用についてのお願い


 日頃バンド防衛にご尽力くださり、感謝にたえません。
さて、ごく最近、ギガヘルツ、特に2.4GHz帯において、国際的な無線
LANの規格が制定されました。ブルートゥース製品の発売も現実の
ものとなり、ギガヘルツ帯周波数のアマチュア無線業務の運用に、重
大な影響を生ずるおそれが強くなっております。

平成11年3月23日第115回電気通信技術審議会議事録
http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/teletech/90323b04.html
の中で、「関係団体(JARL)は、アマチュア無線側が、小電力データ
通信側に妨害を与えない、ということで納得しているので問題ない」、
旨の説明があります。この審議会説明の資料にJARLがどのように
関与したかは存じませんが、説明は、技術的に正しくありません。
非公式の実験ではありますが、ブルートゥース機器は、その数十mの
近さの地域でアマチュア無線電波の発射があった場合、全く使用不能
となるような干渉を受けることがわかっています。そのようなことから、
もはや、アマチュア局は、2.4GHz等の使用を諦めたほうがいい
のではないか、という意見さえあります。

 2.4GHzなどギガヘルツ帯のアマチュア人口は、いうまでもなく、
さほど多くはありません。しかし、歴史的に非常に古い時代から、種々
の実験研究を行うアマチュア達が活動し、成果をあげてきております。
2300MHzにおいて、 VK6WG と VK5QR とが 1885.5kmの長距離QSO
( Feb 17,1978)に成功しています。また、最近では、滋賀県における
アマチュア無線とインターネットの接続実験で、45km−63kmの交
信に成功したニュース(日経99.12.4.p33)の例もあります。
近時の無線LANなどの商業利用は、いわば、アマチュア無線家による
業績を土台としての結果といっても過言ではありません。

 ギガヘルツ帯の電波伝搬やハードウエア技術には、未知の点も多々
あります。無線LAN規格の制定が既成事実となったはいえ、目先の
商業主義で技術研究の可能性を全て諦めてしまうことがいいかどうか、
一考の余地はないでしょうか。

 われわれ現代のアマチュアは、次世代のために、このバンドを単純
に営利業者に明け渡してよいでしょうか。アマチュアとしての実験研究
の余地を引き継ぎ、次の時代に残すべきではないでしょうか。 

 といっても、国際的な無線LAN規格が制定された今、無線LANと
アマチュアとのいずれが優先か争っても、もはや意味がありません。
むしろ、両者が共存する道を探ることが、妥当な方向と考えます。

 そこで、以下の方針を提案いたします。
 

提 案

1.(他業務との技術的共存)
LANやブルートゥースの符号と干渉し難い符号、変調形式を開発する。
たとえば、商業無線LANで使われるFSK(PSK)、QAM電波に対して、
アマチュアでほとんど使われることのないAM系(パルス変調)符号分割
多重電波との干渉実験をメーカーと共同で進める。

2. (アマチュアバンドの拡大)
アマチュアへのバンド割当を、ジュネーブ条約通り 2300-2450MHzに
戻す。アマチュア局数が変わらなければ(あるいは局数が増えても)、
アマチュア局の信号は、より広い周波数軸上で分散し、他の業務通信
との干渉の確率が下がる。なお、周波数割当ての変更は、法律改正の
国会審議をへることなく、郵政省告示の範囲で可能であり、2次業務
であれば、次官決裁で、さらに簡単な手続で可能である。郵政省への
働きかけのため、機器間干渉のデータ作成にJARLは積極的に協力
するべきである。

3. (バンドプランの再検討)
アマチュアバンドと他の業務が同じ周波数で重複する場合、相互干渉
の少ない配置を採用する。例えば、他の業務のなかで異なるシステム
(PHSと携帯と等)への周波数割当のガードバンドを設けていれば、
その帯域をアマチュアの、特に、F3,SSB,CWなどスペクトル集中度の
高い電波の使用に割り当てる。

4. (当面バンドプランの廃止)
前項に述べた事項のほか、レピータの周波数を現状のままとし、その他
については、アマチュアバンド全域を全電波形式で運用可能とする。
現行のバンドプランによる電波形式の細かすぎる制限は、実情に合わず、
バンドの有効利用を著しく阻害している。全電波形式(CW、SSB、
高速ディジタルを含む。)とも、当面原則として全バンド内とするほう
が、現在のバンドの実情に合う。

5.(新しい通信方式のための援助)
JARLは地方にGHzビーコンを増設するとともに、都市部から、TV
同期、ネットプロトコルのための標準信号を常時送信する。たとえば、
ATV帯域において、高速モーションCG伝送の可能性を検討し、CG団体
における無線従事者免許取得と作品発表の場を提供するなど、GHz帯の
あらたなアマチュア業務の用途開発につとめる。

6.(他業務との社会的共存)
電子機器とくに医療機器メーカー団体に対して、通常の使用帯域以外
の電波によっては動作を妨害されない構造を採用するよう、要請する。
アマチュア電波が他の電子機器の業務を妨害した場合の責任につき、
法律的な研究をするとともに、他の業務を妨害して損害を与えたとき、
補償する制度(保険など)の必要性も検討する。

                                 以上

(備考)
このお願いは、平成12年9月4日付けで、JARLにメール送信しましたが、
未だなにも回答をいただいておりません。あるいは、私が送信先を間違えたか
とも思われますので、多少手直しして再度送りました。全項目事項を直ちに実行
することを要請する趣旨ではありません。できることから、何かひとつでも、
検討していただければ幸いです。

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***以下JARL回答です。***


                              日アマ第12595号
                             平成12年12月28日

JH1FJK
稲葉 慶和様

(社)日本アマチュア無線連盟
 会  長   原  昌 三


拝啓 師走の候となりましたがますますご健勝にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。
 常日頃は、当連盟の事業にご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。
 さて、平成12年12月16日付メール拝見いたしました。ご返事が大変遅れましたこ
とをお詫び申し上げますとともに、貴重なご提案を頂き誠に有難うございました。
 昨今のギガヘルツ帯については、ご指摘のとおり無線LANをはじめETCシステム等
の他業務とアマチュア無線との電波の共存の時代へと変わってきています。
 連盟の大切な使命の一つにアマチュア無線バンドの防衛があります。このような中で2.
4GHz帯における無線LANについて、貴殿をはじめとして他の会員の方からも同様な
ご意見を頂いております。
 連盟としましては、このようなご意見をもとに郵政省、無線LANの業界との制度的な
面及び実際的な状況における対応の問題等をふくめて、打ち合わせを行っているところで
す。
 具体的には、他業務との共存については、法制上の問題と技術的な問題について検討を
行っているところであり、技術的な問題について連盟としては、机上論で決めるのではな
く、実際の干渉実験を実施してお互いの干渉に関する認識が必要との観点から意見を出し
ており、具体的な実験も行うことが予定されています。
 従いまして、これらの過程を得て結論が出されることとなりますのでよろしくお願い申
し上げます。
 ご提案の1つについては、二とおりの考えがあろうかと存じます。一つは、アマチュア
無線側において、無線LANとお互いに干渉し難い変調方式等の導入であり、二つ目は、
無線LAN側においても既存の他の業務への干渉し難い技術の導入であろうかと存じます。
 一つ目の事項につきましては、連盟では、MSK、GMSK、QPSK等のデジタル変
調方式について検討しているところです。また、前述のとおり無線LANとアマチュア無
線との相互干渉について実験を行う方向で進められており、将来的には、二つ目の事項を
含めてご提案のメーカーとの干渉実験も必要になるときが必ず来るものと考えていますし、
是非とも実現したいと思っています。
 ご提案の2については、これまで2.4GHz帯等のギガヘルツ帯は、アマチュア無線
のパイオニアの方々が頑張ってこられたバンドで、当初は局数も他の業務の局を上回って
おりましたが、近年は、ギガヘルツ帯の素子の技術開発が世界的に急速に進み、これに伴
って各種のシステムのニーズが急速に高まっており、無線LAN等の無線局の増加が著し
い状況となっています。
 ご指摘のとおり、国際的にアマチュア無線に分配されている2300MHz帯〜245
0MHz帯に戻すことについては、一次業務、二次業務の問題、さらには、前述のとおり
国内におけるニーズに対する周波数の分配など多くの問題が山積みし、思うように行かな
いのが現状であろうかと存じます。しかし、今後の問題展開の一つとして考慮していきた
いと存じます。
 ご提案の3及び4については、確かにご意見もっともであろうかと存じます。しかし、
現在「アマチュア無線業務に使用する電波の形式及び周波数の使用区別」については、電
波法運用規則第258条の2において定められている告示事項であり、この規定に沿って
秩序ある運用が行われています。また、反面、このような規定されていることから他の業
務へのバンド防衛にも大いに役立っているものと考えております。したがいまして、当面
はこのまま継承していきたいと考えています。
 ご提案の5については、まさに今後のギガヘルツ帯の一層の活性化を図る上での一つの
方策であると考えられ、前向きで取り組んでいきたいと存じます。
 ご提案6の他の業務との社会的共存については、これからますます考慮していかなけれ
ばならない問題であろうかと存じます。これは、ご指摘のとおり、電子機器メーカーにお
けるイミュニティの工場を強く要望することにより、お互いに共存が可能となることを念
頭に置いて、検討していかなければならない問題であろうかと存じます。このような検討
過程において、おのずから法律面での検討も当然必要になってくるものと理解しておりま
す。
 以上簡単でございますが、現在の2.4GHz帯に関する問題等についての取り組みの
状況について申し述べさせて頂きました。
 末筆ではございますが、貴殿のますますのご活躍を折念いたしますとともに今後ともよ
ろしくお願いいたします。

敬具