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雉兎同籠の問題は重要な算数の応用問題で、近代的な生活の中でどこにも見られます。
通常問題の中ではキジやニワトリではなく、ましてキジとウサギを同一のかごに閉じ込めることはありえません。
なぜ,どうしてそれを『キジとウサギが同じ篭』の問題というのでしょう。
この名前は、古くから伝わってきたのです。中国の古代の数学の本『孫子算経(そんしさんきょう)』の中で、次のような問題があります。
今、キジとウサギが同じ篭にいて、頭が35個あって、足は94本があります。キジ、ウサギはそれぞれいくらいますか。
現在,中国では,この問題を鶏兎同籠(けいとどうりゅう)という名で小学5年生が学んでいます。方程式を学ぶ前の試運転的な意味を持っています。題名の中の鶏(にわとり)とは本来、“雉”(きじ “zhi”と読みます),野鶏です。
唐代に文学者の韓愈(かんゆ)は『諱弁』の中で書いています。それによると、呂雉(りょじ)の名前を避けて,雉(野鶏)を鶏にしたということです。漢の高祖劉邦の妻の呂の後の名前は“雉(ジ)”といっていましたので、その時人々は皇后の名前を避けて、動物の“雉(野鶏)”を鶏にしたというのです。
『孫子算経(そんしさんきょう)』の中のこの問題は、
今いくつかキジとウサギが、同じ篭にいました。上から見て、35頭います。下を見ると、94本の足があります。何羽のキジ、何匹のウサギがいますか。
これは典型的な「キジとウサギが同じ篭」の問題です。これらの問題は通常置換法を使って解答します。
解法
まず、仮に、かごの中がすべてキジであると仮定します。すべて2本ずつの足があることになります。総計35の体に、70本の足があります。
実際には94本の足があるので、違いは24本の足です。
1羽のキジを1匹のウサギと交換すると、頭の数は変わらず、足の数は2本ふえます。
24本の足を全部補充するには、12匹のウサギにとりかえなければなりません。
35匹の動物のうち、12匹のウサギをひくと、キジが23羽になります。
だから、篭にはキジの23匹、ウサギの12匹がいます。
答え キジ23羽 ウサギ12匹
以上の解法の構想は普遍性を持っていて、キジとウサギとは限りません。頭数と足数とは限りません。その他の2種類の、例えば全般的な件数と全般的な値で、多くの同類の問題に適用して解答できます。
もとの本『孫子算経』の中で、1種の奇抜な簡便な解法を使いました。
94本の足の半分を数えて、47を得ます。 足の数の半分47で頭の数の35をひいて、12を得ます。これがウサギの頭数です。
更に頭数の35個からウサギの頭12個をひくとキジの頭数23になります。
解答は完全に正しいですね。
かごの中ですべてのキジがすべて1本の足で立つことを考えて、いっせいに“片足で立つ構え”を演じます。すべてのウサギはすべて2本の前足で立つと考えて、いっせいに逆立ち体操をします。
この時、すべてのキジの地面につく足数は1で、頭数に等しいです。すべてのウサギの地面につく足数は2で、頭数に1を加えたものと等しいです。
みんなはそれぞれ自分を持っている半分の足数を減らして、自分の頭数をひくと、その差、すべてのキジは0で、すべてのウサギは1です。
各自の差をすべて合わせて、総括的な足数の半分と総括的な頭数の差を得ると、かならずウサギの数に等しくなります。
これより分かるのは、この本の解法はとても巧みで、キジとウサギに適用するだけではなく、いかなるその他の2足の動物と4足の動物にも、例えばツルとカメ、アヒルとネズミ、駝鳥と象、…にも使えます。
《孫子算経》は孫という姓の人が編纂したといわれています。この本の作者孫子について,どういう人かは知られていません。ただ大体西暦400年前後にできた本であることを知っているだけです。
早く、1600年以前に、中国では、これらのキジとウサギがあって、しかも足数の半分を減らす巧みな解法を見出して、面白くてまた実用的なことを,古代人にわかるのもとして遺した歴史的意義のあるみごとな問題の巧解と讃えられています。
下は,『孫子算経(そんしさんきょう)』の「雉兎同篭(じとどうりゅう)」の問題と解法の原文です。

「孫子算経 雉兎同籠」
中国では「雉兎同籠」は,今日,「鶏兎同籠(けいとどうりゅう)」という名で5学級(小学5年生)で学ばれています。この名は上のような事情によるものです。また,同じ問題を8学級(中学2年生)でも扱っています。そこでは,連立2元方程式の最も簡単な練習問題として扱われています。つまり,方程式を学ぶ前に,その方程式の答えが正しいことを自分で納得する下地を養う意味でなのでしょう。
「雉兎同籠(鶏兎同籠)」は日本に輸入され「つるかめ算」とよばれ,連立2元方程式の応用問題の正当性を自分で確かめられるようにするために学ばれています。
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