金星移住計画・その1


衛星、惑星移住をする必要性




衛星、惑星移住が必要であるとの意見は、SF小説のレベルではずいぶん昔から話題になっていました。「宇宙戦艦大和」とか、「2001年宇宙の旅」とか、いくつかの映画も衛星・惑星移住の夢を育ててくれました。なぜ、人類は宇宙に出ていかなければならないのでしょうか。地球に住み続けるのは間違いなのでしょうか。いいえ、今後とも人類は地球に住み続けるのです。地球は人類にとって母なる星、人類発祥の地です。地球無しにどうして人類が人類たりえるでしょうか。

しかし、人類の一部は他の惑星に移住することが出来るし、また移住しなければなりません。なぜなら、過去の人類の歩みを見ても判るように、人類は常に新しい場所に適応し、新しい場所の住民となり、新天地を求めて移住する動物だからです。宇宙への進出は人類の本能とも言える行動です。危険は伴うかもしれませんが、出ていかなければなりません。いや、出ていかざるを得ないのです。なぜなら、それが人類の本能だからです。


人口増加を避けることは出来ない

地球の側にも人類を宇宙に送り出す理由があります。今の地球にはおよそ、60億の人間が住んでいます。今世紀中には100億人を突破することは避けられそうもありません。しかし、地球表面積は有限であり、資源も有限です。もはや地球としても人類を支えきれないところまで来ているのです。

今後、人類は産児制限をして、人口増加を抑えようとするでしょう。しかし、そのようなことは人類の歴史始まって以来、やったことのない不自然な政策です。ある程度の人口増加は、人間にとって必要であり、また自然な姿なのです。とすると、宇宙進出、衛星・惑星移住以外に選択肢はありません。



月への移住

人類がまず移住を検討すべきなのは月です。なぜなら、月は地球に一番近い星であリ、数ヶ月ほどの旅で着くことができるからです。また、人類が最初に到着した星でもあります。

しかし、月は移住地として失格のようです。水がないとか、気温が低いと言うことではありません。重力が足りないからです。いくら月を開拓しても、地球のようにはなりません。空気を運んでも、それを留めておく重力がありません。おそらく、水も宇宙に拡散してしまうことでしょう。ということは、月に移住した人類は、いつまでたってもドーム住まいとなります。これではいけません。

さらに困ったことは、月の重力が地球の6分の1しかないので、健康上の問題も生じます。軽くなると、歩くのが楽になります。また、その他にも便利なことがたくさんあります。しかし、身体を支える必要性が減るので、その分だけ骨のカルシウムが溶けだし、骨が細くなります。また、筋肉を使いませんので、筋肉も減ってきます。一時期的滞在ならば問題ないでしょうが、一生そこで過ごすとなると、深刻な問題になります。それゆえ、月は近い星であるにもかかわらず、移住計画の対象から外されることになります。

おそらく、最初は月に居住空間を作ることになるでしょう。永住ではなく、一時滞在の場所として月は便利だからです。それに、他の星に移住するにしても、物資の運搬の拠点として月に居住空間があった方が便利です。また、月に居住空間を作る技術は、他の星でも使うことができるので、実験や訓練の場としては多いに利用できるでしょう。おそらく21世紀中には、月での居住空間の建築が始まると思います。また、月資源調査も始まるはずです。しかし、安定した居住空間の完成までは何年も掛かるはずです。ですから、他の惑星への移住には、さらなる準備の年月が必要となります。



火星への移住計画

最近話題となっているのが、火星(マース)への移住計画です。

ちょうど、火星探査機が火星についての映像を送ってきたからでしょうか、いまや火星が人々の関心を集め、それを捉えて、火星移住計画なるものが公表され、映画にもなっています。これは、惑星移住を推進するためにはとても良いことだと言えます。まず、人類の側に、惑星移住が必要だという認識が必要だからです。どの星を対象とした移住計画であれ、まずは人類の目標にならなければ話が始まりません。月でも、火星でも結構です。それが具体的に可能かどうかは未来の話でいいでしょう。まずは、惑星移住の夢を持つことから始まります。惑星移住が必要だとの認識が人類には必要なのです。

そういう意味では火星移住計画も有意義な話題です。人類へのアピール、教育的効果は大きなものがあります。移住がSFの次元を脱して、現実的になって来たと言うことです。しかし、私はあえて、もう少し具体的な惑星移住を検討してみたいと思います。すでに惑星調査により、惑星の現状が明らかになっているのですから、考える材料はすでに手元にあります。ならば、可能な限り科学的に移住計画を検討してよいのではないでしょうか。その計画が出来れば、それを踏まえて今後の科学技術が発達してゆくことになるはずです。

このまま火星移住計画がまじめに進行する事はないと思いますが、もし、それが金星移住計画を妨げる形で進展するなら、金星改造のための研究が大幅に遅れる危険性が生じます。あとで述べますように、金星はそのまま住むことの出来る星ではありません。大がかりな改造が必要な星です。ですから、なるべく早く手を打つ必要があるのです。

火星は人類の住まいではありません。

火星は、かつては水の流れていた星であり、人類が住むための条件である空気と水を作ることが出来そうに見えます。探査機が送ってきた写真で見る限り、少し改造すれば住めるような気がするかもしれません。しかし、見ただけで判断するなら月も同じです。感覚的に考えるのでなく、実際的に考える必要があります。月と火星は程度の差はありますが、基本的には同じ問題点を持っています。つまり、重力不足です。空気、水を供給することは、いずれ科学が発達すれば何とか出来るようになるでしょう。しかし、重力不足については、改善不可能な問題です。火星は地球の3分の1しか重力がありません。これでは、骨のカルシウムが溶け出すことを止めることは出来ないのです。火星で生まれ、そこで育った人間が、昔のイメージ画にあるようなタコのような宇宙人の姿になるのは必然です。重力の弱いところで育つとああなるのです。それは人間にとって、相応しいことではありません。

とすると、どうしても、重力が一致する惑星を移住先に選ばなければならなくなります。これは絶対条件です。幸い、地球の近くには、不思議にも地球と重力の近い星があります。それが金星です。重力は地球の9割ほどですが、やや少ないとはいえ、許容限度内ではないでしょうか。ですから、金星こそ、人類移住の地として相応しいと判断されるのです。

                                                   

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流れている音楽は 「ホルスト 組曲“惑星”から 木 星 」です。
04年2月ですが、平原綾香さんのJupiterが流行っていますね。いいですね。(^^) なんとなく人ごととは思えず、「やった」という感じがしました。
自作のPCに替えたのですが、Midiの音が悪くなってしまいました。(TT) 安物の音源ではダメなのでしょうか。