金星移住計画・その4
金星を地球のように改造する
金星を地球のようにすることは、とても大変な作業です。しかし、不可能ではありません。時間は掛かりますが、順序よく取り組むなら、いずれは出来ることなのです。火星に重力を与えるような不可能な業ではないのですから、希望が持てます。
おそらく、まず、金星を覆う濃硫酸のガスをどうやって取り去るかが大きな課題となるでしょう。中和させるのではなく、何らかのやり方で、これを再利用する方法を考えなければなりません。地球に持ってきて、何かに利用するとしても、輸送コストが掛かります。出来れば、金星の内部で処理したいものです。そのあたりが工夫のしどころです。
硫酸を取り去るには
硫酸は、H2SO4という化学式で、工業的にはとても重要な物質です。ただ、強い酸であるため、人体に有害であるだけでなく、鉄を溶かすなど、危険物質の一つであり、取り扱いに注意が必要です。このようなやっかいな硫酸ガスが金星の周りを覆っていますので、金星に到着するのは面倒なことになります。最初の金星探査衛星は金星の表面に到着する前に壊れてしまいましたが、おそらくこの硫酸ガスに破壊されたのでしょう。これを取り除くことは容易ではありません。しかし、ここで知恵が必要です。これに対する対処法はいくつかあるはずです。
まず、なぜ金星に硫酸があるのかを解明されなければなりません。地球や、月、火星にはありません。他のいくつかの星にはメタンやアンモニアが存在しています。宇宙空間になぜ、複雑な化学構成を持った物質が存在するのでしょうか。硫酸は、中でも複雑な構造です。それが自然に存在したとしても、そこには必ず原因があるはずです。その原因を踏まえて、初めて硫酸の除去方法も決まってくるはずです。(火山性の硫化物が多量に放出されて硫酸となったという説もあります。)
地球に持ち帰って、有効利用するのも一案です。また、何らかの強力なアルカリ物質を持っていって、中和させることも考えられます。どちらにしても多大の労力と資金が必要になります。もしくは、硫酸を取り除くことは諦めて、それに対処する居住空間を建築して、その中に住むなどの方法も検討されて良いはずです。
二酸化炭素を減少させ、酸素を作り出す
二酸化炭素は、人間にとって有害であっても、有毒ではありません。地球上にも広く二酸化炭素は存在するように、二酸化炭素自体を取り除く必要はありません。しかし、金星では二酸化炭素が大部分ですので、このままでは人類が住めないだけでなく、温室効果による金星の気温上昇の原因となっています。これを適度に取り去らないと、気温が下がりません。また、二酸化炭素が大量にある故に、空気圧が非常に高く、90気圧近くになっていると聞いています。ちょうど、地球の海面下1000メートル当たりの水圧に匹敵するとのことです。これを1気圧にまで下げなければなりません。
金星の大気が原始地球とよく似ていることは注目されます。原始地球も、ほとんど金星と同じ大気の状況だったと思われます。しかし、数億年を掛けた変化により、生命が生まれ、その生命が二酸化炭素を消費した結果、酸素のある地球へと変わったのです。ですから、金星も数億年掛けて改造すれば、地球のようになることは間違いありません。しかし、それだけ待つほど人類は悠長ではありません。100年ほどで金星を住める星にするためには、何らかの工夫が必要となります。
まずは、原始地球を今日の地球に変えた功労者である、二酸化炭素を消費する原始生物を見つけなければなりません。いや、すでに見つかっているのですが、それらを培養して金星に送り込むことが最初に検討されるべきでしょう。しかし、果たして、500度Cの高温で、しかも硫化ガスのある金星で生存可能でしょうか。まずは検討されるべきです。
次に、二酸化炭素消費生物の中で、もっとも効率よく二酸化炭素を消費して酸素を作り出すことの出来る生物を発見し、それを改良して、さらに効率よく、酸素を作れるようにすることです。遺伝子組み替え技術や、その他の技術が総動員されるべきです。生物でなくてもかまわないわけで、何らかの触媒を用いた装置でも良いはずです。地球で数億年掛けて起きたことを100年で終わらせるわけですから、尋常の方法ではできないでしょうから、それなりの工夫が必要となります。
大気圧を下げる
二酸化炭素が減ったとしても、空気圧が高いと人間は住むことが出来ません。地球の場合は、二酸化炭素を珊瑚などの生物が固定してくれた結果、現在の量まで減少させることができ、その結果、空気圧も減少したのです。ではどうやって効率よく、二酸化炭素を岩に変えることが出来るでしょうか。珊瑚に活躍して貰うには時間が掛かりすぎます。これは地球でも利用できる技術ですので、早急に研究を始めるべきではないでしょうか。
気温を20度C前後まで低下させる
気温を下げることは、結構簡単なように思われるかもしれません。しかし、そう簡単かどうか、やってみなければ判りません。まずは、硫酸を取り除き、二酸化炭素を酸素に変えることです。あとは、気温を下げれば、水蒸気は自然と水になります。原始地球で起きたように、何年にもわたる雨の時代が続くのです。そして、金星にも海が生まれることでしょう。
しかし、気温を下げられなければ、何も起こりません。金星は、地球よりも太陽に近く、より大きなエネルギーを太陽から受けています。硫酸ガスを取り除いたからと行って、すぐに冷えるわけではありません。これを放っておくと、冷えるのに数億年の年月が掛かってしまいます。それでは、あまりにも知恵がありません。
いかにして、100年ほどで金星を20度C前後までに持ってくるかを検討しなければならないのです。
放熱という現象を、私は今まで深く考えたことはありません。自然に熱は発散するもので、私たちの日常生活では、いかにして熱を逃がさないかを研究することはあっても、放熱させる必要性はあまりないからでしょう。冷蔵庫やクーラーが放熱の一つの形ですが、これは、ある場所の熱を他の場所に移すという形で実現する放熱です。果たして、そのようなやり方が金星で可能なのでしょうか。他の場所と言っても、宇宙空間に熱を逃がすと言うことは可能なのでしょうか。
金星にとって、熱源は地球と同じく、太陽です。ですから、太陽からの熱の入り口を遮断すれば、金星は速やかに寒冷化されるはずです。金星と太陽の間に巨大な熱遮断パネルを敷いて、その熱を発電にでも使って、地球に送ることにして、使えば、自然に金星は冷えてくるでしょう。しかし、そのエネルギーは巨大すぎて、地球では使い切れないのではないでしょうか。逆の面として、地球の温暖化は避けることは出来ません。
地球温暖化はある程度は受け入れよう
地球温暖化防止は、環境保護の大切な目標の一つです。しかし、金星に移住するレベルの話を検討するなら、地球の温暖化はある程度受け入れておかなければなりません。つまり、地球の温度が100度を超えることになってはなりませんが、それが20度C前後であるなら、人類生存にとっては受け入れ可能なレベルです。現在、平均気温15度Cであり、これは理想的な姿です。南には南極があり、北には北極があり、それぞれ綺麗な対照形で、白い範囲が広がり、写真写りも良くなっています。これが無くなってしまうことは残念だという気持ちはよく判ります。それに何より、南極、北極がなくなると海面が今より、数十メートルも上昇しますので、現代人にとっては許容できない気候変動をもたらします。
しかし、長い目で見ますと、今の海面を捨てて、高いところに移住することは、人間にとりそれほど問題なく実行できることです。また、金星移住のための資金作りのためには、ある程度の活発な工業活動がなければなりません。必然的にエネルギー消費量は増大するでしょう。温暖化を避けると言うことは、文明の発展を遅らせることになります。もちろん、ただむやみに文明が発展すればよいと言うことではありません。秩序ある発展でなければならないのです。しかし、遅れると言うことは、惑星移住のスピードも遅れます。もっとも、遅れても大した問題ではないのですから、その辺は、その時代の人々の価値観の問題でしょう。温暖化防止を優先するか、惑星移住を優先するかは、その時代の人々のセンスにより決まってくることです。
おそらく、21世紀という科学技術のレベルでは、温暖化防止を優先させることになるでしょう。それで、惑星移住が遅れることはないと思います。そもそも、惑星移住が出来るとしても、それはかなり未来の話であり、地球温暖化は現代の問題だからです。現代の課題が優先されることは当然です。私が考えているのは、現代のことではありません。将来に於いて、惑星移住が検討される時代になった時、地球温暖化はある程度は受け入れざるを得ないと言うことです。そして、どの程度が受け入れられるレベルかが科学的に検討されるべきなのです。なぜなら、地球温暖化が地球にどのような影響を与えるのか、現代の我々は、ほとんど何も判っていないからです。海水面の上昇だけなのか、地球砂漠化をもたらすのか、食料生産に悪い影響を与えるものなのか、熱帯がどの程度広がるのか。海水面の上昇を除いては、すべてが推測であって、本当のところはまだよく判っていないのです。また、一方では、氷河期がやってくるとの説もあるわけで、まったく、科学技術などという言葉が虚しくなるほど、現代の科学レベルは低くて当てにならないのです。信頼できる科学になるまでには、まだ数世紀掛かることでしょう。そして、科学がある程度発達し、地球温暖化の効果や問題が明らかになったあとで、それを受け入れるべきかどうかが検討されることになるのです。
今後、科学の結論がどうなるか判りませんが、ひとつの可能性としては、地球温暖化を阻止しつつも、金星移住が可能となる方法が見つかるかもしれません。それならそれでよいのです。しかし、地球温暖化と惑星移住が対立する可能性もあります。そのとき、両者が天秤に掛けられ、ある程度の温暖化を許す代わりに、惑星移住を促進するという選択肢も生まれることになるでしょう。
太陽系全体の自然を守りながら惑星移住は実現されるべきである
惑星移住といっても、地球と同じ物理空間での出来事です。基本的なことは地球上での問題と同じです。何かが便利になれば、何かが欠けてきます。惑星に移住しようとすると、太陽系全体の自然を破壊する危険性が生じます。宇宙空間のゴミ問題も生じるでしょう。ですから、いまからそうならないように、方法を考えておかなければなりません。
太陽系は無限の広さを持っているように見えますが、現実は、地球が無限でなかったように、太陽系も無限ではありません。探査衛星を闇雲に打ち上げて、そのゴミをまき散らしながら、それを科学発展のためという言い訳は通用しません。初めからゴミの出ないような宇宙開発を手がけるべきです。それでなくても、打ち上げた人工衛星が老朽化してきます。そして、回収に失敗すると、その残骸が宇宙ゴミとして、宇宙空間に漂うことになります。これは、将来の宇宙旅行に多大の障害を残すことになるでしょう。
金星を改造すると言っても、それが太陽系内にゴミをまき散らす方法で行ってはならないのは当然のことです。金星の改造は、金星内部で処理されるか、せいぜい地球、月のレベルでとどめる方法を採るべきであって、ゴミを宇宙に捨てると言うことは避けなければなりません。現在、地球の放射性物質を宇宙に捨てることが検討されていますが、その打ち上げ費用が高くつきすぎるので、幸い実現に至っていませんが、初めから発想方法に問題があるということが指摘されなければならないでしょう。宇宙にゴミを捨ててはならないのです。
宇宙にゴミを捨てるな
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流れている音楽は、スターウォーズのテーマソングです。
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