金星移住計画・その8



付録   地球内生命の可能性




「シャドーバイオスフィア」by P.デイビス を読んだ感想

日経サイエンス8/03号に「シャドーバイオスフィア 私たちとは別の生命」p22 というタイトルの記事が載っていました。面白い記事ですが、疑問点も多く、はたして???という感想を持ちました。そのあたりのことは議論するテーマとしては面白いと思うので、HPに書き込んでおきます。

デイビスによると、「観測可能な宇宙の中で2回以上も生命の誕生が起きることはあり得ない」と考えるのが保守的立場だとのこと。一方で、「地球に似た惑星なら必然的に生命は誕生する」というのが宇宙生物学者だとのこと。彼の問題提起は、彼の結論に誘導しやすいように問題を設定しているだけで、表現はあまり論理的ではありません。なぜなら、「生命誕生が絶対ない」と言っている生物学者など聞いたこともありませんし、みなその可能性は認めています。ただ、その可能性が高いか、低いかの違いだけです。また、もし、生命が誕生するなら、地球に似た星である確率は高まるわけで、問題はどれだけ地球に似ているかの程度問題なのです。それを程度問題として説明しないデイビスの書き方は、はなはだ問題だと言えます。

もっとも、彼の論点の中心は、「地球と似た星に」ではなく、「この地球で何度も生命誕生が起きている可能性がある」と主張している点です。これはかなりユニークなので、問題設定としては高く評価できます。

過去に於いて生命が誕生したなら、その後も何度も生命が誕生しておかしくないはずだとの彼の論法は充分検討する価値があります。ただ、この論法の問題点は、彼も心配しているように、その生物を発見したとしても、別起源であるという証拠がないことです。別起源であっても、同じ構造のDNAになる確率もあり、そういう場合は、現在の生物の変種と見なされるのが普通で、別起源などという可能性が検討されることはありえません。

すると、唯一ありえるのは、DNAなどの構造が全く異なる生物が現在の地球に生息していることです。これはまだ未発見なので、「将来的にもありえない」と断言することは出来ません。ただし、その可能性は、あまりないということと、私の立場からは、地球上での第2の生命誕生は、結果的に今の生物と同じ構造になってしまうだろうと考えます。いろいろなDNAの可能性を検討するのはよいのですが、今のところ、今のDNA以外には生命として存続することは構造上不可能ではないでしょうか。

かなりの推測を交えた議論なので、あまり科学的ではありませんが、現在の私はそういう立場であって、それゆえ、地球内部に別DNA生物を探す試みに私自身が協力するつもりはありません。しかし、そういう研究をする人々がいてもよいわけで、邪魔をしたり、非難するつもりはありません。むしろ面白い試みとして評価したいと思います。

私としては、宇宙全体でも同じことが起きていると推測しています。つまり、どこかの星で生命が発見されたとすると、それは今日の地球の生命体と基本的には同じDNAのタイプを持っているのではないでしょうか。ただ、その構造というか、組み合わせが異なるだけです。DNAのタイプとは、4つの塩基を持つということで、いわゆる  A(アデニン), G(グアニン), C(シトシン), T(チミン)のことです。これ以外のDNAは生命として活動できないはずです。もちろん、これはまだ証明されていないので、科学的結論というわけではありませんが、いろいろな可能性を認めすぎると、研究する方向性が漠然として、結果的に科学の前進を妨げます。まずは自分の立場を決めた上で、異なる立場の研究者の研究は放任するというので良いのではないでしょうか。このような寛容さが科学の発展には必要なのです。





金星探査機が打ち上げられる

日経2010/05/16に「金星の気候解明なるか」との記事が載っていました。18日に金星探査機「あかつき」が打ち上げられる予定です。大きさは、縦1メートル、横1.5メートル、高さは1.4メートルということで、たいして大きくありませんが、金星の気候解明に大いに役立つことが期待されています。今年の12月には金星に到着して観測を始めますが、雷発生のメカニズムを解明して、地球の天気予報に役立てるとのことです。どうも、金星を改造しようなどという野心はなさそうです。とにかく、金星を調査することは絶対に必要ですから、一歩前進と言えるでしょう。






   

[目次]
[このページのTOP]