金星移住計画・その3
重力のある宇宙船の設計
重力を持つ宇宙船を作ろう
一,二週間宇宙旅行に行くのなら、無重力が良いでしょう。誰しも、珍しい経験をしてみたいものです。しかし、これが金星への旅となると事情が異なります。金星に着くためには、数年の歳月が掛かる予定です。その間、無重力で過ごすのは、健康にも良くありませんし、その後の生活にも支障が生じます。宇宙船そのものに重力があれば、それに越したことはありません。
いままで、重力の必要性が認識されていませんでしたので、宇宙船は無重力で当然のことと理解されてきました。しかし、無重力で生活可能なのはせいぜい一年でしかありません。長い目で見て、宇宙船そのものに重力を与えることは絶対に必要です。
しかし、火星から金星への選択変更が重力不足であったように、重力を与えることは人為的には不可能なレベルの話です。宇宙船に重力そのものを与えることは、物理的には不可能です。しかし、重力と同じ作用を与えることは出来ます。それは遠心力です。ひもを付けた重りを振り回すと、ぐるぐる回り始めます。そのとき、ひもを持った手が引っ張られるのは遠心力が生じているからです。遊園地で、ぐるぐる回る乗り物に乗ると、身体が壁に押しつけられたように感じられるのは遠心力です。重力そのものを作ることは出来ませんが、遠心力さえあれば、重力と同じ作用を人体に与えることが可能となるのです。
ドーナツ型の宇宙船を作ろう
遠心力を作るには、宇宙船を回転させることです。ドーナツのような形にしておけば、安定した回転を得ることが出来ます。そして、このドーナツをある程度大きくすると、回転していることに気が付かないで、ただ重力のみを感じるようになります。そして、回転数をコントロールすると地球と同じ重力を作り出すことが出来るのです。
ドーナツが小さいと、回転数を上げなければなりません。しかし、大きくすると、たとえゆっくっりまわっても、重力は地球と同じくらいになるはずです。ただ、そういう大きなドーナツ型宇宙船を作るのは大変だということです。大変手間も掛かりますし、資金も必要となります。しかし、方向性としては、そういうことだということです。
たとえば、直径一キロメートルのドーナツ型宇宙船を想定してみましょう。これほど大きいと、宇宙船というより、宇宙ステーションかもしれませんが、これが駒のように回転しているとしましょう。これが一時間に一回転すると、まあまあの遠心力になるはずです。これを地球と同じ重力にするには、計算方法は今は判りませんが、それほど難しい式ではないはずです。何回転すべきかは計算で答えが見つかります。
乗組員たちは、ドーナツの底を地球の地面のように体感するでしょう。そして、そこを歩き続けますと、一時間もたたないうちに、元の場所に戻って来るというわけです。
あとは、これを大きくすればするほど、体感的に地球と同じ空間を広く作ることが可能となり、宇宙で生活しているという気がしなくなるでしょう。
このドーナツ型宇宙船の問題点は、宇宙船とは言うものの、スピードの点では不利になるかもしれません。宇宙空間では摩擦がありませんので、このようなドーナツ型も、流線型も関係ないはずですが、光速に近いスピードを目指すには、ドーナツ型では宇宙船の構造強度が不足するかもしれません。しかし、ものは考えようです。重力さえあれば、それほど急ぐ必要はありません。船のように、ゆっくりと、しっかりと進めばいいのです。目的地が逃げるわけではないのですから。
ドーナツ型宇宙船に重力を与える
ドーナツ型宇宙船を回転させるとある程度の重力が生まれることはわかりますが、どれだけ回転させると地上と同じ重力になるのでしょうか。物理学としては簡単な問題なのでしょうが、私はそのあたりはまったくの素人なので、計算式を知りませんでした。しかし、最近、回転物体の遠心力を計算する式を解説しているホームページを見つけました。それによって、宇宙船の回転数を計算したところ、以下のようになりました。
rcf=11.18*(N/1000)^2*r
という公式です。rcfとは地球重力と比較して何倍かを示します。Nが一分間の回転数(rmp)、rが半径(cm)です。
もし、一分で一回転として、地球重力と同じ重さになるようにするには、rcf=1、N=1、として r を求めます。すると、r=89445cm となります。つまり、約900メートルです。半径900メートルのドーナツ状の宇宙船を一分間に一回転させると地球と同じ環境が得られるということです。
半径900メートルとは、今の技術ではかなり大きな宇宙船です。もう少し現実的な大きさでイメージしたいと思いますので、半径100メートルで計算してみました。r=10000, rcf=1, とすると、N=2.99 となります。つまり、半径100メートルの宇宙船を一分間に3回転させる、つまり20秒に一回転させると、地球と同じ重力になります。
以上の計算が正しいという保証はありませんが、今のところ、そういう結論になりました。
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