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第一章〜研究開始〜



昔の女にそそのかされそうになったり、他人の些細な一言に左右されたりしながら、結局ユリを育てる事になりそうな林君(大学4年生に進級できそう)の研究生活が始まりそうな始まらなさそうな。



§[02.2.22]

 4年生の卒論の発表が終わり、
「3年生は早めに先生のところへ顔出して下さい。」
って事で先生のところへ行く事に。

 前回起こられていることもあって僕と石黒君はやや凹んでいて、今度は3人揃っていこうということに。

そこで時間調節しようとしたが、全員がもともとあまり仲良くなかったわけでそれぞれがお互いに連絡先を知らないと言う事実が判明。


 ま、結論としては偶然会った宮沢君に電話番号を教えてもらい、石黒君のメールアドレスを友達のつてで教えてもらう。

結局すべての連絡は僕を通して行われることに。


石黒が実家帰ってたり、宮沢が合宿行ってたり、入試で学校には入れなかったりで、予定が合うのは27日までないなんて。


しばらくやることないな。



§[02.2.23]

 しばらく暇なんでまわりの人間を判る範囲で紹介。

 その1:先生(田中一郎)

とりあえず言える事は、その名前安易過ぎませんか?
なんかの契約書かなんかの見本に書いてありそうな名前ですよね。

 僕ら学生から見て授業はまともにやるし、それなりにまともな人なんだけど、酒を飲むと人が変わると言うことで有名な先生。

 年末に学科の3年生主催で忘年会をやった時。
僕は遅れていったら左右に女の子を抱いて大声でわめいているおっさんが・・・

 想像して下さい、典型的な酔っ払いです。多分実際にはあまり見ないタイプの漫画とかドラマでしか見ない感じです。
知らない人に駅で声をかけたり千鳥足で階段から落ちそうになったり。


 ようは酔っ払いオヤジって事です。



§[02.2.24]

 その2:石黒くん(仮名)

僕の同期で生物が得意だが、その他勉強にはあまり興味ないのか、学校ではあんまり見ない人。
合コン好きでいつもはしゃいでて、年中無休でハイテンション。
ジャージか破れたぼろぼろのジーンズを常に装着している。


 ぶっちゃけ俺は苦手なタイプです。必要なければ友達にはなりたくなかったんだけど、まぁがまんできる人かな。

彼としてはもう一人の宮沢君が苦手で、
「あいつは嫌いなんだよね。林君も一緒でほっとしたよ。」
とか言われちゃう始末。


 こいつ苦手だなぁ・・・



§[02.2.25]

 その3:宮沢くん(仮名)

 僕の同期でこいつも生物が得意、英語部かなんかで変な自信を持ってる奴。
そのくせ授業にあんまり来ないから出席不足で単位が危なくって4年生になれるか危ないらしい。

なんだか知らないんだけど話し方がわざとらしい感じ。たとえて言うなら説明くさい下手な舞台の台詞みたいな話し方。
そしてあだ名が『王子』。何でだろう?

 ぶっちゃけこいつも俺の苦手なタイプです。まぁ、気にしなきゃいいのかもしれないけどずっと一緒にいたらそのうち殴っちゃうかも。

彼の中では石黒は許せないタイプの人間で、
「石黒と二人だったら大変だったよ。」
と言いながら僕とがっちり握手。


 こいつらと俺で3人か・・・・



§[02.2.27]

 今年卒業する人は0人(進学を含む)
 来年度入る人は3人

あわせると3人増えます。(全部で10人)


 部屋が狭いから3人で一つの机を使って下さいって・・・


しかも、
「片付けをするから暇があれば明日から来て下さい。」
ってのもなぁ。



§[02.2.28]

 石黒君も宮沢君も(なんとなく)忙しいからって理由で来ないのはどういうことなんだ?


 とりあえず4年生を手伝って戸棚の整理。

その後で温室のユリに水をやり、実験用の蒸留水を汲み、ピペットを洗い・・・
「来年これをあなた方でやって下さい。」
とのお達し。

 3人いるけどこのままだと主に俺がやることになるんだろうな・・・


 朝は9時30ぐらいにはくるようにってさ。



§[02.3.1]

 9時半には来るようにって言った本人が10時半にくるってのはいかがな了見で。

先生は先生で
「モガミ君(博士課程の院生の事)に任せてあるから適当に待ってなよ。」
って・・・
誰も来ない部屋で1時間も待たされたよ。


「下にあるロッカーでも運んでもらおうと思ったんだけど、他の連中は来ないのか?」
そんなこと聞かれても知りません。
ってか研究室5階なんですけど、エレベーターに入らないから若造に運ばせようってのはどうかと。

結局誰も来なかった為(他の院生も来なかったのでモガミ君と二人っきり)、
「なんか実験でもはじめようか。」
っつうことに。


(僕だけ)春休みが終わっちゃったみたいです。
 (自分の実験がしたいから)土曜はまだ来なくてもいいってさ。(



§[02.3.4]

 研究室に机・椅子・棚などの搬入。

別に古い机を使うのが嫌なんではなく、べったりと彼女の写真が貼ってあるのさえはがしていただければいいんですが・・・

まぁ、三人がけの机に三人で座るのはやっぱりキツイですけどね。


あまりにかわいそうだからってことで、先生が新しいロッカーと椅子を注文してくれました。



 生物実習室前にあった古い棚を捨てる事になったので中身を空けるのを手伝うことになりました。
中身はぎっしりとつまった動植物のホルマリン漬け。
可愛い猫ちゃんやヤギさんの赤ちゃん、首のないカエルや癌で死んだイモリ、等々の瓶詰が部屋中いっぱいに。

「とりあえず標本としての程度ごとに分類して下さい。」

との御達しでしたが、おかげで全部の標本をチェックすることに。

年代を調べていると『1930.2.15』とか・・・
「え?戦前ですか?」
とか、そんなのばっかり。

「こんなの全部捨てればいいじゃん。」
という学生の意見に対して、
「もしかしたらこの中に重要なものがあるの"かも"知れないから。」
という助手の先生の意見。

だいたい、何であんたは植物が専門のくせにこんな仕事してるんだよ。
貴重なもんなら作った本人が持っていってるって。
こんなのガラクタだから置いてあるんだよ。


とにかく、標本を分類して実習室内に広げたまま棚を捨てて本日は終了。
後日標本の処理があるとかないとか・・・




さらにその後、研究室にて『新歓(仮)』と称して酒を飲む事に。
名目はなんでもいいからとにかく酒を飲みたいって事らしい。
実際に毎週勝手に飲んでるらしい。
月曜からってのはめずらしいらしいけど。


明日から部活の合宿なので、残念だったけど今日は先生が荒れる前に帰らせてもらいました。



一週間合宿の為休みます。
帰ってくるまでに実習室が片付いてますように。



§[02.3.11]

 合宿で体をやられたみたいで(腸炎って事です)ぐったりしながらも一応先生にも月曜からくるって言っちゃってたので研究室へ。


バースデー割引を使って旅に出ます。田中(←先生)

とメモが貼ってありました。
明日まで先生帰ってこないらしいです。

 だるかったのでユリに水をやって(←月曜は僕が当番だった)帰ろうとすると学生のボスのモガミ君につかまって、
「お、久し振りだね。これからウエスタン(実験の事)やるから、せっかくだし一緒にやろうか。」



 今日明日の予定が決まりました。



§[02.3.13]

 ユリ植え
春化処理(植物を低温にしてから暖めると春になったと感じて芽や花をつける。)をした低温室のユリの球根を温室に植える作業。

実験材料がユリなので半月に一度はこの作業をすることになっている。

熱があって体痛いのに肉体労働、
「生物の実験する人は頭より体が丈夫じゃないとダメだよ。」
って言われたのをリアルに思い出す。


午後、思い出したように助手の先生が
「実習室の標本を捨てるから手伝ってくれ」
と、忘れかけていた記憶を蘇らせてくれる。

どうやら状態のよいもの(って言ってもあまり良くはなさそうなんだけどな)を残して他は廃棄するらしい。
廃棄に際して、入れ物は瓶なので分別回収へ。
中身は保存液(ホルマリン)は廃液タンクに入れて倉庫に保管(あとは業者が処理)
内容物はゴミ袋に入れて生ゴミへ・・・

「え?生ゴミでいいの?」
って事で一時的に別途保管ですと。


同時に先生からも、
「温室の横に倉庫を作るから土を均してくれ。」
っと頼まれたので率先してそちらへ逃亡。

が、結局は外仕事はすぐに終わってしまい。仕方がなくホルマリン処理作業へ。



生物はしばらく食べたくないです。



§[02.3.14]

 そう言えば、一週間僕がいない間に同期の石黒君と宮沢君がますます微妙な感じになって来てます。

表面上は普通なのですが、ってかお互い避けてるみたいで怖いくらいです。
三人がけの机もいつの間にか僕が真中に座るのが暗黙の了解になってきて、ドキドキしちゃいます。

先輩は誰も気付かないのかな?




いざって時は僕は石黒君側につこうと決めました。
(生きていく為の賢い知恵って奴ですよ。)



§[02.3.15]

 D(ドクターコースの略で博士課程学生の事)がいないと楽だな。
ってか気が抜ける。

M(修士課程学生の事)の人はあんまり怖くないし、、今はほとんど就活してるから実験してるわけでもないし。


ってわけで適当に論文読んでるふりをして一日をやり過ごす。
やっぱり気詰まりなのは左右に座ってるこいつらなんだよな。



宮沢君が単位数が足りなくて進級条件に引っかかってるらしい。
机が広く使えるかもしれないって事でちょっとわくわく。



§[02.3.11]

 今日明日とめずらしく先生がじきじきに実験指導をしてくれる事に。
花粉プロトプラスト精製って事で、僕もいまいち分かっていないが、とりあえず分かったふりをして手順だけは覚える。

終わってから聞いたら世界で最初にうちの研究室が成功した技術とかで、外国からも技術習得に先生が来たりするらしい。

こんなクソガキがやってていいのだろうか?



ちょっと先生を見直してしまった。
でもやっぱりアル中オヤジだしな・・・



§[02.3.19]

 昨日に引き続き今日は顕微鏡写真を撮影。

減数分裂やら染色体の移動やらで、
「すげー高校の生物の教科者で見た奴だよ。」
とはしゃぐ石黒と宮沢を尻目に、
「高校で生物なんてやってないし。こんなもんじゃないの?」
と言ってしまいちょっとテンション低めの僕。



だってそんなもんじゃん。



§[02.3.20]

 石黒も宮沢も来やしねぇ。
 先生は会議が終わると帰っちゃうし、モガミ君は論文書くのに忙しそうだし、サノさん(D2年生で酒乱の女性)は自分の実験でかまってくれないし。

昼過ぎに来た4年生の吉田さんが
「林くん筋トレをしよう。」
って事で体育館のトレーニング室へ。

明日絶対筋肉痛だろうなって位のトレーニングをして部屋に戻り、就活後に現れたMの人と3人で1時間ほど雑談。
そして帰宅。



僕もそうなんだけど吉田さんは何しに学校に来たんだろ?





⇒rog