約束

 子供が誘拐された。

 数日後、誘拐犯から電話があった。
「50万円払わなければ、息子を殺す。」
「50万払ったら、息子を返してくれるんだな。」
「返してやる。俺は約束は絶対に破らない。」
両親は50万円を用意し、誘拐犯に渡した。

 翌日、ダンボールが両親の元に届いた。
ダンボールの中には、人骨とおぼしきものが入っていた。
赤茶色の塊だったが、頭蓋骨が露出していたので人骨だと分かった。

 警察が調べた結果、誘拐されていた子供だと判明した。
「なんで、こんなことに…。約束を守るっていったのに。」
それを聞いた優秀な警察官が口を開いた。

「何言ってるんですか。誘拐犯はきちんと約束を守りましたよ。
『誘拐犯は50万円払わなければ息子さんを殺す』
と言ったのであって、
『50万円払えば、殺さない』
とは言ってないじゃないですか。
それに、息子さんだって返したじゃないですか。死んでるけど。」

 得意満面の警察官のその顔に、父親の正拳が叩き込まれた。

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