辻斬り

 男が包丁を振り回しながら、大通りの歩道を走ってきた。
髪を振り乱し、全裸で何やらわけのわからない奇声を発しながら走ってきた。
辻斬りである。

 最初の犠牲者は中年のサラリーマン。
仕事で市役所へ行く途中で、背中から心臓を一突きにされた。
「印鑑証明…」
そう言い残してサラリーマンは死んだ。

 次の犠牲者は大学生。
喫茶店のショーウィンドウでメニューを選んでいるところを
横から首を斬られた。
「イカ墨パスタ…」
そう言い残して大学生は死んだ。

 3人目の犠牲者は、女子高生。
友達と並んで歩いたところ、包丁を頭蓋骨に突き立てられた。
「ほげ…」
そう言い残して女子高生は死んだ。

 警官がやってきた。包丁は女子高生の頭に刺さったまま抜けない。
辻斬り男は、奇声を発しながら素手で警官に襲い掛かった。
警官達は銃を発砲した。最後の犠牲者はその辻斬り男自身だった。
「私が死すとも、自由は死せず!!」
そう言い残し辻斬り男は絶命した。

 辻斬り男は、一部始終を見ていた主婦に感銘を与えた。

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