その日は寒いので電気ストーブの前でボーッとしていた。
体育座りをしてストーブに顔を近づけて、赤く光る横棒を見つめていた。
…はずだった。
突然、暗闇に包まれた。
ただの暗闇ではなく、文字通り何も見えないほどの闇だった。
しかし、次第にそれは間違いということが分かってきた。
闇に包まれたのではなく、見えなくなっただけ、ということに気づいた。
ストーブからは相変わらず暖気がやってきていたので。
眼の異常だと思い、手で目を軽くこすってみても変化はなかった。
後は、医者に聞いた話。
あまりに乾燥した部屋で電気ストーブをつけてそれに顔を近付けていたため、
眼球が乾燥し、網膜までひび割れてしまった。
さらに、手で目をこすった時に、角膜が全部剥がれ落ちてしまった。