無線は趣味として根強い地位を占めているのはご存知だろうか。
いろんな人がいろんな周波数で通信をしていて、利用できる周波数一覧が本になって出版されている。
趣味として実際に電波を送信している人もいるが、僕はただ流し聞きするのが好きだ。
最近の無線機は何かが聞ける周波数を自動で走査して探し続けてくれる機能がついている。
僕のお気に入りは、そうやって無線機が選んだ周波数を何時間も録音してmp3ファイルにしておいて、仕事の最中に作業用BGMとして使うことだ。
トラックや警察、船、個人が趣味でやってるラジオ、外国語のワケの分からない会話など、いろんなモノが聞こえてくる。
話の内容は分からなくても、電車の雑音の中の方が集中して読書ができる、というような感じで時間を忘れて作業を進めることができる。
ある日、いつものようにヘッドホンをつけて、録音していたmp3を再生した。
お経が流れてきたのでびっくりした。
mp3再生ソフトのシークバーを2時間分くらい動かした。
またお経が流れていた。
調べてみると、4時間17分、ずっとお経が録音されていた。
気味が悪くなったので、そのmp3ファイルは削除して、その日はBGMなしで作業した。
夜、家に帰って、無線と録音機器をセットして布団の中に入った。
目を閉じて、昼のお経のことを思い出して怖くなった。
怖くなったので、布団を飛び出て、無線機と録音機器を外してケースにしまって、電気をつけてまた布団にもぐりこんだ。
無線はだいたい会話の背後にノイズが入るのだが。
あのお経。
お経の他にまったく雑音が入ってなかった。
まるで