屋上からの一言

 とっさに彼の携帯に電話をかけた。

 屋上のフェンスの外側へ身を乗り出したまま、彼は携帯をとり出した。
さっきまで普通に飲み会してた友人がいきなり飛び降り自殺しようとしている。
歩道からビルを見上げながら何を話そうか考えているうちに、呼び出し音が止まった。
彼が電話に出た。

 「何?」
「いや…」
見てるこっちが、ヘソの下側が絞られるような感じになって、ろくな単語が出てこない。
「あ、そう。」
彼は飛び降りた。

 9階の屋上から頭を下に向けてダイブして、側溝のコンクリートの蓋ブロックをその頭蓋骨で叩き割って、彼は即死した。
だけど、僕は聞いてしまっていた。
彼は携帯を顔につけたまま飛び降りたため、飛び降りてから死ぬまで僕と通話状態にあった。
たしかに彼は死ぬ直前に話した。

 「やべぇ、何か違う。」




2008.3.6
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