けなげすぎる神様

物理が成功している理由は、神様がけなげすぎる、という一言に尽きる。

まず、どこに行っても均一な物質。
例えば、水素原子は日本でもアメリカでも、太陽の表面でも、人間が知覚できる限りの遠くの宇宙でも同じ性質を示している。
この均一さは奇跡としか言いようがない。
不良率が0.4%以下なら涙を流して褒めてもらえる工業製品なんか比べ物にならないのである。

次に、いつでも成り立つ法則。
例えば、ニュートンの時代に発見された「万有引力の法則」が400年後の現在ですら成り立っているという事実である。
物理では、法則が間違っていたことはよくあるが、それは、データの取り方や解釈が間違っていたということであり、同じ条件で同じ実験をすれば、何百年経っても同じ結果が出るのである。
人間が作った法律が100年もつなんてことはほとんどないことを考えると、どれだけ素晴らしいことか。

最後に、数学・幾何学との親和性。
数学は、物理と違って、基本的に人間が勝手に作ったモデルの上に作られた法則の集まりである。
その人間が勝手に作った法則(数学・幾何学)が、人間とは独立した自然から観測された法則(物理)とよく一致する、という不思議である。
子供ですら、物理が数式で記述されるということに違和感を持たない。

本当に神様はけなげすぎる。
人間をゴミのように扱ってきた神様が、物理だけにここまで献身するとは考えられない。
だから、どこかにリンゴが上から下に落ちない地域があるはずである。
いつか地上のモノが物理法則を無視して勝手に飛び回り出す時がやってくるはずである。
それがどこなのか、それがいつなのか、物理は教えてはくれない。




2008.5.5
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