私の開発体験談

11 奥が深い技術1
 ある程度の知識を身につけると、回路技術は本当に奥が深いと今さらながら思ってしまう。
 なぜか?あらゆることに神経を使わなければいけないからである。
 抵抗一本にしても、許容W数、ノイズレベル、ばらつき、温度特性、消費電流、信頼性、回路の前後関係から見て適当な値か等々、すべてを考慮して決めなければならないのである。
 これがアナログの難しい点でもある。
10 感動しよう
 ものづくりにとって、大切なものがある。感動する心である。
 入社したての頃、尊敬する先輩が、試作品が動いたときに、「すばらしい!」とはしゃいでいた。私も、一応感動していたのだが、その頃は「男は黙って勝負する」ぐらいに考えていたので、クールさを装っていたのだ。
 そしたら、先輩が、「近頃のやつは、感動する気持ちが無いのかね。。。」なんて言われてしまったのである。「いや、すごいと思いますよ。」とまたクールに切り返したら、「もっと感動したんなら表現しろよ」と言われた。
 それ以降でしょうか、今までにない技術とか製品を見ると「すばらしい!」なんて、声を上げて感動するようになってきました。そうすると、その技術がどーしても知りたくなってウズウズしたものです。
 また、その印象が頭に残って、そーいやあのときあんな技術があったなーなんて覚えているもんです。
 ぜひ、感動を表現して、頭を活性化させましょう。なんかいい知恵もわいてくると思いますよ。 

「感動することは、大事だ。自分にもパワーがみなぎってくる。常に感動できる心を持って、皆さんに感動をあたえられるようなそんな政治をしていきたい。」 by 小泉総理(内閣メールマガジンより)
謙虚になろう
 人の話を聞かない、理論的で無いものを否定するという態度は、時として、問題解決を遅らせる要因になっている。
 その最大の原因はプライドにあるのである。特に一流大学出身の新入社員に多い。最初はまじめに先輩方の話しを聞いてはいるが、時が経つにつれ、我流を押し通してくるのである。
 しかも先輩方の助言を謙虚に受け止めないので、時が経つにつれ、アドバイスをしたくなくなってくるのである。それが、会社にとっての不利益と分かっていてもだ。
 一番の助言としては、とにかく謙虚に話しを聞くことではないだろうか。バカな事を言われていても、なぜそんな事を言ったかが、後々分かってくるのだ。
 しかし、気付くときは後の祭りであることが多いようだ。なんせ、数ヶ月かかって、そこにたどり着いても成果が出ていないのだから。
 新入社員はある程度、許されるが、2、3年経てばそうもいかない。開発者としての資質を問題にされ、後は他部署へ移動である。
 そんなことにならないように、みなさんも気を付けられたい。ある先輩が言っていたが、程度にもよるが、優秀な先輩や職人肌の先輩と話しをするときは、「バカな振りをしろ。それで色々教えてもらえるんだったらありがたいことじゃないか。」と。 
直感でとらえる大切さ
 配属先の室長には、技術的な説明をするのに大変苦労した(わざと苦労させていただいたのであろうが)。それは、直感的に分かるように説明しないと納得してもらえないからだ。
 いくら私が「方程式を立てて計算するとそうなる」、と言っても納得してくれない。実は、自分はというと、そうとしか説明できないである。ようするに自分自身が直感(センス)的に分かっていないのである。
 それを式でそうなると説明しても、相手が納得する訳がないことは、あたりまえだのクラッカー(古すぎるか?)ということに気付いていくのである。
 あるとき、壁(トラブルなど)にぶちあたったとき、またもや方程式をこねくり回していた。しかし答えは出るが、なぜそうなるのか本質が理解できない。
 そこで、室長に説明に行くと、室長は突然、紙にスラスラと図形を書いて机上実験を始め出したのだ!
 室長 「こういうことかー」
 それを見たとたん私は、「すっすごい!直感的に分かりやすい!」と心の中で叫んでしまった。
 それ以来、式も大切だが、直感的に分かるまで、想像力や図をこねくりまわそうと思ったのであった。
 直感的に理解していることのメリットは、問題解決のポイントを探り当てるのにも有効であるということも、身にしみて分かってくるのであった。
近似の思考
 近似の思考は、物事を手っ取り早く判断するのには、もってこいである。
 この思考回路は、物事の本質をとらえるのにも大いに役立つのである。
 もともと物理を学んでいたから、それが身に付いているのかもしれない。極端な事を言えば、世の中に「絶対」ということは存在しないのだ。
 ニュートンにしろアインシュタインにしろ、近似の世界で導き出した理論であって、そのおおもとになる原理は、実験により確かめるしかないのが現状である。
(例えば、物体間の引力は、距離の2乗に反比例するとあるが、これは実験によって小数点第**位まで確かめられているにすぎない、一諸現象である。なぜそうなるかは、神のみぞ知るところなのだ。)
 話しがだんだんそれてきたが、現在の学校教育を考えるに、わり算などは、完璧に割り切れる数しか扱わない。そんなものが出てきたら、即座に計算が間違っていると反射的に考えるように教育されているのだ。そこに疑問を持って、割り切れない答えを出そうもんなら、即バツである。
 だいたいこんなもんかで捕らえて大局を見通す。そんな思考がクリエイティブなエンジニアに求められるのではないだろうか。
費用対効果の罪
 「費用対効果」。この言葉にみなさんは何を感じるであろうか。確かに、会社が発展していくためには、避けて通れない命題である。しかし、この言葉は時として、人を萎縮させるのである。
 管理職になって教育を受けた人、入社当時からそういう教育をされている人、様々であるが、ことあるごとに「費用対効果」という言葉が口をついて出てくる。
 そんなとき、ふとあることに気付いた。「費用対効果」と口に出し続ける人は、斬新なものを生まないという事実に!
 なぜか?行動パターンがそれを物語っているのである。半田付けなんか今更(いまさら)できないとか、自分の時間給に見合った仕事をしなければならないとか、理由は最もらしいものばかりである。
 つまり、一見どっちにころぶか分からないもの、くだらなそうに思えること、価値に見合わないことには、一切手を出さないのである。
 しかし、新しいものを生み出すには、なんらかの試行錯誤が付き物である。これは、会社を軌道に乗せた先輩諸氏がそうであったように、ソニーなどの開発秘話を聞いていてもそうなのである。
 そんなときは、みんなどうしているか?アングラ(アンダーグラウンド)で密かにやっているのである。
 それが数ヶ月か数年後に花開き、立派な主力製品に成長しているというのが現実である。
 また、今まで出会ってきた優秀な先輩技術者から「費用対効果」なんて言葉は、上から押さえつけられて言ったことはあっても、普段はそんなことはみじんも言葉に出さない人たちであったことは確かである。
 まずもって、「費用対効果」を連呼する連中は
できない奴と思って間違いなさそうだ。
未知との遭遇
 回路の知識が身に付き始めたある日、実験室にこもって、トラ技を参考にオリジナルの分周回路を作り実験していた。
 ディスクリートのディジタルIC5〜6個を寄せ集めて作った基板に電源を投入し、発信器を接続して出力を確認した。考えていた動作とは異なっていたが、それなりに動いていた。
 未知との遭遇はその直後に起こった。なんと電源をOFFにしても回路が動き続けているのである。
永久機関ができたのか!?一瞬胸が高鳴った。世紀の大発見だ!
 いやまてよ、そんなはずないだろ。その後、数回電源のON・OFFを繰り返した。
しかし、動き続けているのである。やっぱり偶然にも永久機関ができてしまったのだ!!!
 イスから飛び上がって、狂喜した。
 昼飯の時間がきて、ふーむと考えつつ喜びつつ、発信器の電源をOFFにした。っっ!そのとたん、回路の動作が停止したのであった。
 もう、おわかりになると思うが、電源は、発信器から供給されていたのである。なっなんと、やっと我に返って、そりゃそーだよな。。。と冷静になった。
 そのころからであろうか、ICの中身について興味を持ち始めたのは。
開発に求めるセンスとは?
 開発職に就いて1年くらいたったある日、回路の試作評価をしていたとき、尊敬する先輩から、「おまえはセンスがない」と言われた。
 当然、私はそこで落ち込むような人間ではない。そんなセンスという言葉で片付けられても、納得がいく訳がない。当然その場は言い返した。「それじゃセンスっていったい何なんですか!悪いところがあるんだったら教えて下さいよ!」みたいなことを言った記憶がある。しかし、先輩はちゃんと答えられませんでした。
 それからある日、実験室にこもってモータ制御部の改良を行っていたとき、その先輩が入ってきて、技術的な話しをしていた。
 そのときの記憶は定かではないが、先輩が、ある部品の発熱状況を不振に思ったのか、私に部品置き場に行って数Ωの抵抗を持ってこいと言われた。
 なにも考えずに抵抗を持ってきて先輩に手渡した。先輩はおもむろに抵抗の両端を、電源に接続して電源をONにしたのだ。そして、何を思ったか、抵抗に指を当ててアチッと言いながら、抵抗を触っていたのである。
 いったい、何をやっているのか皆目(かいもく)見当が付かない状況に見えたとき、先輩が、「**Wも電流が流れると熱いね〜」と言ったのだ。
 つまり指で感じた温度で、回路の異常部分が正常かどうか判断していたのではないかと思った。
 そのとき、ハッキリとなにかが氷塊(ひょうかい)し始めたような気がした。
 一つ目のセンス・・・つまり体の感覚なのである。どこが異常か正常かを見極める体を通した感覚が、自分には無いことを、そのとき悟ったのであった。
 自分は無線マニアでもなければ、回路マニアでもなかった。つまり、体が回路の気持ちを理解できないのである。
 それ以来、回路に異常があるごとに、あちこち触ってみる、手をかざしてみるなどの、一見して回りの人たちが何をやっているか分からないことをやり始めたのだ。
 なんと、それを試して以来、異常部分は9割方、発見できるようになった。
パソコンとの格闘
 配属が決まったその日から、パソコンとの格闘が始まった。
 当然、キーボードの位置確認もままならない。研究室の9割方の人たちはパソコンでプログラミングなるものをできるのであった。
 私の教育担当になった先輩が、「パソコンは楽をするための道具である。」と言われた。なるほどなーと感心した。
 さっそく日曜日に初任給でパソコンを購入。シャドータイピングの練習を始めた。1ヶ月後には、キーの位置を目をつむっていても確認できるレベルにまでなった。しかし、それはプログラミングなるものの、ほんの入り口にすぎないのであった。
 ベーシックは理解できたが、プログラミングはまだまだ遠い先の話だ。そこで思いついたのが、先輩たちが作ったプログラミングの解析だ。
 コードをプリントアウトして、家に持ち帰って研究し始めた(今では許されない行為だろうが)。 だんだんとプログラミングなるものの全容がつかめてきた。
 しかし、そこで第2の壁が立ちはだかる。プログラムの制御対象が、パソコンでクローズしていない。パソコンはあくまでも外部機器を制御するための手段だったのだ。
 それから数年後、面接時に約束したとおり、タイピング速度、プログラム開発速度は室内でトップを争う腕になった。(たぶん・・・)
開発職への壁
 1浪2留の後、やっと卒業のメドが付き、時期を相当遅れて就職活動を開始した。
 当時は、バブル全盛の幕開けであり、就職は引く手あまた。こんな経歴の私に対しても簡単に就職できる良き時代であったのだ。
 教授に推薦状を書いてもらい、某メーカへの面接に望んだ。当然希望は、開発職だ。面接員に対しても開発職を絶対にやりたい!そうじゃなきゃ就職しない!ぐらいの気持ちでいどんだ。 
 面接会場にて、社長以下数人の面接を受け、開発者としての資質をいきなり試された。
 
面接官A 「君はコンピュータを扱えるのかね?」
 
私 「いいえ、できませんが、やればできます!大学の教授も、我流でやったら変なクセが付くから、コンピュータは会社に就職してから覚えればいいと言っていました。」
 
面接官A 「そんなわけは、ないんだけどね。本当にできるのかね?」
 
私 「やれば絶対にできます。」
 
面接官全員 「笑」
 
面接官B 「mmの下の単位を順番に言って下さい。」
 
私 「10の−10乗がÅです・・・」 実際、mm以下の単位についてはÅしか知らないのである^^;
 
面接官B 「いや、mmの下がミクロンだよね。それから・下は・・」
 
私 「ん〜。Åは知っているんですが・・・」
 
面接官C 「まーまー、いいじゃないですか、それぐらいで。」

 たぶんこのとき、私の開発者としての資質はゼロに近いと判断されたことは、間違いない。しかし、1ヶ月の研修の後、あっさりと開発職に就くことができたのだ。
 なぜか?開発研究所に来て分かったことは、回りに物理学科出身の人間が多いのだ。しかも、ちょっとした変わり者?(個性が強い)が多いことに気付くのだった。
 後に分かったのは、物理屋はつぶしがきくそうなのだ。つまり、メカ屋さんでも回路設計屋さんでも、評価屋さんでも、なんにでもなれるらしいのである。
 良い方にとらえれば、物理屋は物事の基礎を分かっているから応用がきくらしい。
^^;
電子回路との出会い
 電子回路との出会いは、小学校時代に買った電子キットだった。当時は半田付けというものを、全く理解しておらず、基板に抵抗の足を通して、火ばし(当時は暖房は豆炭でした)を、抵抗の足に押しつけてくっつけようと頑張っていた。
 当然、こてと半田を使わずに付くはずもなく、結局完成には至らなかった。
 それから月日は流れ、再び電子回路に興味をいだくようになったのは、大学時代に本屋で出会った一冊の本だった。本の名前は忘れたが、内容は電源が無いのに、電気エネルギーを溜め込むトランジスタを組み合わせた電子回路について書いてあった。
 その本に刺激を受け、この回路を理解したい!そんな思いがあった。しかし、当時は、トランジスタなんて分かりようも無く、ましてや回路なんてサッパリだ。
 また、大学にて電子回路に関する講義を受講したが、これまたさっぱり。
 もともと物理専攻だったので、コンデンサ、コイル、抵抗等の知識は持ち合わせていたが、それが回路という固まりになって現れると、このコンデンサは何のためのものだ?この抵抗は何の役目をしているの?・・・考えれば考えるほどボーゼンとするしかなかったのを憶えている。
 当然、講義は投げだしたのであった。^^) 
直線上に配置

1.電子回路との出会い
2.開発職への壁
3.パソコンとの格闘
4.開発に求めるセンスとは?
5.未知との遭遇
6.費用対効果の罪
7.近似の思考
8.直感でとらえる大切さ
9.謙虚になろう
10.感動しよう

直線上に配置
回路設計は難しい、という印象をお持ちの方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
 そんな方々のために、私が電子回路に興味を持ってからある程度の基本をマスターするまでの体験談をお伝えしたいと思います。
 思いつくままに書きますので、時系列ではないことをお断りしておきます。
12 「やればできます」はできるのか!?
 転職するまで、人はだれでも「やればできる」と思っていた。しかし、様々な人と出会い、この考えが間違っていることに気付くのである。
 つまり、エンジニアの世界においても、できる人間と、できない人間がいるのだ。
 できる人間とは、まさにできるのである。結果をちゃんと出すのである。会社にとって大事な人間だ。
 一方できない人間には、4種類存在する。本当にできない人間、できる能力はあるのにやらない人間、「やればできます」とは言うができない人間、そこそこできる(アマチュアレベルの)人間である。
 みなさんは、いずれに該当するであろうか。
 人のことは言えないが、「やればできます」は入社2〜3年間、通用する言葉である。
 ましてや、40代以降のエンジニアには「やればできます」は通用しない。「できます」の一言にエンジニア生命がかかっている。
 本当にできる人間になれるかどうかは、これ以降の努力にかかっている。

11.奥が深い技術1
12.「やればできます」はできるのか!?

13.「なーんだ」とはなんだ!
14.考える力
15.まかせられる人ってどんな人?
16.生(は)え抜きのプライドを捨てよ
17.ちょっと休憩
18.エンジニアの目
19.一つのミスの怖さ
20.商売道具

13 「なーんだ」とはなんだ!
 先輩にノウハウを教えてもらったとき、あるいは他人の作った商品の中身を知ったとき、「なーんだ、こんなもんか」と口にする奴がいる。一般的にインテリに多い傾向だ。
 しかしどうだろう、そのインテリさんは他人が苦労して成し遂げた事を、いとも簡単に自分の知識にしてしまい、さも私が考えましたとさえみれる態度で他人様の知恵を使っているのである。
 そもそも、インテリさんは苦労をしようとはしない、本や人のお話を聞いて、分かった気になってしまう。また、その裏にいかような試行錯誤や失敗があろうとも、へとも思っていないのである。
 あるときは、さも自分が考えたかのように、他人の前で振る舞う。とんでもない奴が増えたもんだ。
 盗人たけだけしいとはこのことであろう。
 インテリさんはプライドばかり高くて、他人のものを横取りしても何とも思わないらしい。
 まーほっとけ、ろくな奴じゃないことは確かだ。(補足:これは自分にも言い聞かしている言葉で、謙虚になろうと言いたかっただけなので、誤解のないように。)
14 考える力1
 考える力は、教えてもらって身に付くものではない。自分で訓練して身につける以外にないのだ。
 こんな人がいた。なにか問題にぶつかると、すぐさま先輩に、それなりの解決方法を教えてもらう。またある人は、すぐさま「これは××さんに聞いて見て下さい。」と言う。
 つまり、自分で考えない、または、考えさせない人たちがいるのである。
 入社したての頃ある先輩は、「
**さんは、分からないことはすぐに先輩に質問に行くから、絶対伸びるよ・・・。」と言われていたのを憶えている。
 それから月日は過ぎ去り、ある日、
「**さん」が私に質問に来たのであった。私は、アドバイスをしたり、プロジェクトの問題等を聞いてみたが、いまだに問題解決の手法を自分の中に構築していなかったり、知識の応用がきかないのである。
 そのとき明らかに、エンジニアとしてのレベルの違いを感じたのであった。いわゆる伸びていないのである。
 私は幸運?にも、放任主義の先輩(室長もですが)だったので、自分で考えたり、本を読みあさったり、問題解決の手法を構築できたのであった。(当然、考えて分からないことは、先輩から指導をしてもらっていますので、誤解の無いように。)
 問題の程度や、緊急の有無にもよるが、少しの時間でもいいから、まずは自分で解決策を考えたり、解決策を試してみるとよいのではないだろうか。
 ある人は、「すぐに質問する人」は、報連相ができて「できそうな奴」と思う。一方「考える人」は、「それなりの人」、「レスポンスの遅い奴」等々、ひとつ下に思われているだろう。
 しかし!数年後には「すぐに質問する人」は「それなりの人」に、一方
「考える人」は「まかせられる人」、「会社に必要な人」になっているのである。
 断っておくが、すぐに質問することが、悪いことだとは言っていない。「聞かざるは一生の恥」と言うように、質問することは、自分を伸ばす上で、非常に重要なことである。しかし、考えてからの質問と、考えない質問は、明らかに質が違うのである。知識を吸収するだけでなく、なぜそうなのかを考えてほしいのである。
 ちょっと言い過ぎたかもしれないが、いずれにしても「考える力」は、早めに訓練したほうがいい。
15 まかせられる人ってどんな人?
 入社して数年経ったある日、尊敬する先輩(たびたび出てきますが)に、レポートや試作品の評価結果などをチェックしていただいた。
 これを見た先輩が、
「まだまだ、おまえに仕事はまかせられんな」と言われたのである。
 そのころの私は、技術的な未熟さや性格的なアバウトさも手伝って「一応理解できるだろう」程度のものを報告していた。
 なおかつ、「人間はミスをするのはあたりまえ、それを他人(先輩)がチェックして、完璧なものに仕上げればいい」ぐらいに考えていたのだ。(とんでもない奴だった。懺悔)
 しかし、この考えの甘さが、ケアレスミスにつながって、ひいてはとんでもないしっぺ返しを食らうことがある。
 先輩が言いたかったのは、「
仕事をまかせられる人とは、自分がやったことに対して、自分でチェック(修正)できる人」なのではないだろうか。しかも、完璧と思えるほどに。
 その頃からだろうか、自分の出した結果やレポートについて、提出する前に何度も何度も見直すようになったのは。
16 生え抜きのプライドを捨てよ
 転職する前、ある先輩から、「うちの会社のトップは転職してきた人が多いんだよね。生(は)え抜きが少ないんだよね。うちの室長(生え抜き)をもっと、盛り立てよーぜ。」なんて事を言われたことがある。
 その影響かもしれないが、私はその頃、生(は)え抜きのプライドなるものを持っていたような気がする。
 
しかし、転職して気付いたのだが、いくら素晴らしい技術を持っていても、いくら同じ階級の人たちより優れていても、転職組は結果を出すまでは仲間意識を持ってくれない人たち、助けてくれない人たち(生え抜き)がいることに気付かされる。(私の場合は運良く?売り上げアップにつながる商品を開発できましたが。)
 ものごとは巡ると言いますが、自分がそういう立場になろうとは、転職するまでは思いもよらないことであった。
 しかしどうだろう。会社の創業当時は、技能を持った人たち(生え抜きではない)が寄り集まって、ここまで会社を大きくしてきたのではないのか?
 また、生え抜きという立場にあぐらをかいて、会社に甘えていた部分もあったのではないか?
 考えれば、考えるほど、生え抜きというプライドを持っていた頃の自分が、恥ずかしく思える。 
17 ちょっと休憩
 今までの内容を見直してみると、じぇんじぇんアナログチックじゃなく人生論みたいになってきた。^^;)
 まずいな〜これは・・・
 かんじんの制作のポイントも進んでないよ〜。ぐははは。
 方向転換でもするかな〜。よしっ!なんでも書いて、まとまったら本にしよう。^^)
18 エンジニアの目
「エンジニアの目はオシロ(スコープ)なんだよ。」先輩に、そんなことを言われたことがある。
 ある日、試作した回路に不具合が起きたとき、私は回路の出力をデジボル(ディジタルボルトメータ)で確認していた。「ふむふむ。ここは**Vだ。OK、OK。ふむふむここは**Vだ。OK、OK。おかしーなー、どうして動かないんだよ〜。先輩、出力は正常なんですけど、動かないんです。」
 先輩がおもむろにオシロ(オシロスコープ)を取り出し、信号チェック!。なんとそこでは、デジボルでは予想もつかないアナログチックな世界が広がっていたのだ。
 発振あり、スパイクノイズあり、ありありの世界なのだ〜。もっと恐ろしいのは、動作が不安定でも(例えば内部回路が発振していていても)、まともに動いている(ように見える)時がある。 当然、このまま商品として発売してしまえば、どえらいことが起こることは間違いない。
 これ以来、ディジタル・アナログ問わず、まずもってオシロで確認しなければ、怖くて眠れない性格になってしまった。^^;) 
20 商売道具
 近頃、商売道具を持っていない奴が目立つ。エンジニアだというのに、関数電卓さえ持っていない奴がいるのだ。
 入社して1年目の奴、入社後数年経った奴、色々いたが、入社年度に関係無く、明らかに思考回路はアマチュアレベルである。
 商売道具も自分で揃えられないような奴(金を惜しむ奴)に、いい仕事ができるはずもない。 
19 一つのミスの怖さ
 最近、携帯電話の回収が相継いでいる。なんと、携帯電話から知らぬ間に?個人情報が流出するらしい。
なんとも、お粗末?な話しである。(それとも、裏モードがばれたのだろうか?)
 ともかく、これを作ったエンジニアは致命的なミスを犯してしまったのだ。
 このミス一つで、全台回収&交換なのである。なんと、これにかかる費用数十億か数百億か。。。
 今までの会社の利益を吹っ飛ばす大惨事である。中小企業なら即倒産であろう。
 謝って済む問題では無いことは、言うまでもない。
 エンジニアのみなさん!あらためて肝に命じてほしい。仕事は完璧にこなすぐらいの気持ちが必要な事を! →「まかせられる人ってどんな人」参照のこと^^) 

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