講師紹介
荒木克仁:1979年生まれ、関西の私立大で経済学を学び現在は製造業に勤務。

1.今国債は危ないのか?

2002.6.12
>角地
以前お話しましたが、私はドル建てのMMFを持っています。 ドルを持とうと考えたのは、日本経済が破綻するかもしれないと思ったからです。 実際日本の国債の格付けは援助国よりも下がっていますから、かなり危険な状況にあるのではないかと思います。ですからさらにドルを買い増ししたほうがいいのではないかと思っています。私は経済に詳しくないのですが、ここのところどう考えていますか?意見を聞かせてくれれば有難いです。

>荒木
米国ドル建てMMFの件ですが、結論から言えば今は買い時かと思います。理由としては、125円台という安定した相場であることです。角地さんのお求めになった132円くらいの水準からナンピンできます。ナンピンとは値下がりした物を新たに買い足すことで平均取得価額を下げることができることです。仮に100ドルを200円で買った場合、20000円が取得価額ですが、100円まで円高が進んだときに100ドルを買い足せば200ドルを30000円で買ったことになり、平均取得価額は150円になります。
>ドルを持とうと考えたのは、日本経済が破綻するかもしれないと思ったからです。
アルゼンチンのこともありますので、角地さんの言われる意見は一概に極論ではないとは思いますが、日本国は債務大国でもあり、債権大国でもあります。マスコミが大きく報じているのは、大量の国債発行を懸念することばかりで、その反論を報じる機会は少ないですから、こうした極論が一般的になると思います。
格付けが下がている点に関しては、心理的に危険と思ってしまいがちですが、神経質になる必要は無いです。基本的に債券の格付けは将来性を見るためのものなので、確かにリスクは高まります。しかし、社債もそうですが設備投資をし、その設備を使い収益を向上させるという目的で資金集めするという点では、国も同じで,社会インフラ整備するための資金調達を国債発行により行うので、その調達した資金の使い方を見てムーディーズが格下げを行っているのだと思います。わが国は社会インフラもほぼ整備し尽くされていますし、本来なら国債を発行してまで資金調達を行う必要はないのです。しかしながら、多くの経費が必要な行政を抱えているが故、赤字体質に陥っている歳出を賄うための資金調達を国債によって行っているのが現状です。この構造を改善することで国債の格付けは向上するはずです。アルゼンチンの破綻とわが国の経済状態は同じではないため、格付けが下がっても国債を買わないという人は少ないと思います。現に国債の金利が上がっていませんし、購入者層は国内の銀行等がほぼ占めるので日本国債がデフォルトを起こす可能性はきわめて低いと思います。紐解くともっと出てくるのですが、このあたりは直接お話できる機会にでも。

>角地
丁寧にご返事いただいてありがとうございました。小国までは電話代がかかるのでメールで相談しましたが、仕事の邪魔をしては悪いので今夜電話でさらに詳しく質問させてください。

掲示板にて
>角地
国債がやばいです。これでは間違いなく破綻します。日本経済が破綻すれば銀行もつぶれるから、預金が返ってこないかもしれないのでは。

>林田
国債の大量発行も時代遅れのケインズ経済学に基づく愚策です。政府が借金してでも金を使えば市中に資金が回り、景気が回復するという空論に依拠しています。お金は使ったらなくなるものであり、借金は将来返済しなければならないという常識ですら忘れた理論です。

>角地
無駄な公共事業は建設業者を潤すだけで人類の発展には何の役にもたちません。日本はすでにインフラが整備されているので、これ以上高速道路、新幹線、空港などは必要ないです。そのような予算があるのなら、宇宙開発など科学技術に費用を回すべきです。

>林田
私も公共事業削減には大筋で賛成です。環境破壊をもたらすものが多いことも理由ですが、財政再建の為の支出削減のためでもあります。この財政再建という点においては特殊法人改廃にも同様に賛成です。というよりも財政再建を理由に公共事業に反対するならば、こちらも支持しなければ筋が通りません。但しこれまで公共事業や特殊法人を後のことを考えずに増大させてきた自民党が、それについては何らの批判もせずに見直しを主張するのは支持しません。財政再建の為に公共事業削減を支持するので、削減によって浮いた資金は国債の償還に充当すべきです。公共事業を減らして別の事業、例えば宇宙開発に当ててしまうならば、一向に財政再建につながりません。

>角地
日本国債の格が下がっているのは国債額の増大だけでなく、その投資先が無駄な公共事業であることにもよります。ですから例え国債が増えていてもそれが将来性のあるものに投資されるのであれば評価できます。インフラ整備に予算が配分されているのは土建業者が政界で権力を握っているという日本の悪いところでしょう。

>林田
日本の国債の格付けが下がっているのは、単純に発行量が返済能力に見合わないからです。使い道によって良い借金と悪い借金があるのではなく、仮に良い借金というものがあるとすれば、返済能力に見合った借金、将来に負担をかけない程度の借金ということでしょう。日本の道路も空港も需要に応じた供給がなされておらず、混雑を極めています。必要性という観点では公共事業を正当化してしまうことは可能です。


2.アメリカ経済の今後は?

>荒木
こんにちは。お元気ですか? 先日は楽しかったです。時々一席設けましょう。本多が勉強不足でお役に立てずに申し訳ないといっていました。ただ、証券会社の進められる商品に手を出さないでくださいとのことです。自分で見極められればいいのですが、むずかしいですね。
さて、表題の件ですが、今回の円高はかなり悪性ですね。当社も含め、輸出業種は痛手を食らうのではないかと心配しているところです。輸出が減ると、今の日本は内需が期待できないだけに景気悪化につながります。さらに、追い討ちを掛けるように米国の半導体メーカーの業績悪化が懸念されています。実際にワールドコムとかなんとかいう大手のデバイスメーカーが大幅な業績悪化 が伝えられています。米国発の世界同時不況といわれ始めています。
米国経済についてはもう少し調べてみます。 それでは。

【ニューヨーク1日=坂本裕寿】巨額の粉飾決算が発覚して経営危機に直面している米通信大手ワールドコムは1日、取引先銀行団の一部から融資が債務不履行に陥ったとの通知を受けたことを発表した。
また、同社株を上場しているナスダック店頭市場から今月5日にも上場廃止の可能性があると警告を受けたことも明らかにした。これでワールドコムが米連邦破産法11条(会社更生法に相当)の適用申請に追い込まれる可能性が一段と高まった。
ワールドコムは、世界の主要金融機関60社からすでに約27億ドルの融資を受けている。粉飾決算の発覚後は新たに50億ドルの融資枠の設定を求めて、銀行団との協議を続けているが、今回の債務不履行発生によって協議は難航し、資金繰りは絶望的な状況になると見られる。
ワールドコムは、同社の監査委員会が1999―2000年まで期間を拡大して会計処理の再チェックを開始したことを米証券取引委員会(SEC)に報告しており、新たな会計不正処理が見つかる可能性も出ている。(読売新聞)

>林田
アメリカではワールドコムの粉飾決算発覚で市場が一段と冷え込むようです。 日本人のアナリストはこれを好機とばかりに、米国の問題点と日本の安全性を声高に叫ぶでしょう。しかしエンロンにしてもワールドコムにしても粉飾までしても株価維持に努めなければならないのは、それだけ経営者に対する投資家の評価が厳しいためです。銀行から借りるだけで市場の厳しい評価に耐えるような情報公開をしていない日本の経営者がエンロンやワールドコムを批判する資格はないでしょう。米国市場が問題を抱えていることは明らかですが、日米比較となると問題点が露呈し責任が厳しく追及される米国の方がはるかに救いがあります。

>角地
アメリカの不況が世界的に波及するのではないかと懸念しています。アメリカではテロよりも不況の方が心配であるとの声が高く、ブッシュ大統領はテロ対策よりも経済対策に重点をおくべきであると思います。

>林田
ブッシュ大統領も経済に全く無関心というわけではないです。しかし問題なのは彼の念頭にある経済がオールドエコノミーであることです。温暖化防止への消極的姿勢はオールドエコノミーの意向を反映したものです。対テロ戦争すら経済的に見ればオールドエコノミーの柱である軍需産業のてこ入れ策になります。しかしオールドエコノミーが経済をリードする時代が終わりました。IT産業などのニューエコノミーはよりデリケート・センシティブであり、従来の露骨な保護育成策ではかえって発展の芽が潰れてしまいます。この点、ゴアが大統領になっていれば違ったでしょう。


3.低金利時代の投資先

>林田
銀行が収益を上げるためには利子収入と手数料収入のいずれかを増やすという方法があります。後者の方が手っ取り早いため注目されがちですが、消費者のコスト意識の高まり、デフレ傾向のために手数料を上げるならば致命的な失策になるでしょう。手数料収入を増大させるとしても薄利多売を目指すことになり、経営を短期間で好転させることは難しいと思います。一方、前者はリスクに見合った利子の設定という点からも支持できます。銀行は利率を上げることによって利ざやを稼ぎ、収益を増大させるべきです。しかし政府のゼロ金利政策により銀行はリスクに見合った利率を設定することができないでいます。この点では政府は銀行の経営健全化の足を引っ張っています。

2002.6.1
>林田
金利は上がるのが当然であると私は思います。潰れる会社が増加している状況では資金を貸し付けることはリスクが高いです。一方、信用が収縮し、キャッシュフローが重視される現状では現金を有していることが強みになります。ですから金利が上がるのが需要供給原則からは当然の帰結です。にもかかわらず、政府は金利を下げれば資金を借りる企業が増え、設備投資が行われ、景気が回復するという時代遅れのケインズ経済理論に固執してゼロ金利に止めているのです。しかし上の理論は金銭の流れ(フロー)しか見ていません。金銭は商品交換に使われるだけでなく、蓄積できるという点で画期的な発明です(ストック)。合理的な人間ならば将来に不安があれば資金を蓄えようとするものです。ですからどんなに金利が安くても借金して設備投資するという馬鹿げた行為はしません。それ故、政府が間違った理論に依拠してゼロ金利政策を維持しても景気回復には有害無益なのです。

>角地
角地です。国債の記事は少し読みました。国債が安全だとしても、投資先としてあまり魅力的とは思いません。利回りも低く、定期預金とほとんど変わらないですからわざわざ国債を買う利点がないように思えます。今は外貨預金というのも考えていますが、これはどう思いますか?ドルは金利が低いですが、ユーロや豪ドルなどは高いようです。

>荒木
相対価値は上昇しているんですよね。昔500円していた牛丼が、今は同じ金額で2杯きますから、結果的に500円の価値は当時比2倍になっていることになります。新聞記事は、来年の1月に個人向けでも買いやすい国債が発売されるというものでしたね。今までは途中で換金しようとすれば、証券会社を通して市場で売りに出され、そこで決められた価格でしか換金できませんでした。すなわち10万円額面の国債でも市場で8万円にしかならなかったら8万円しか手に入れられません。しかし、個人向けは国(財務省)が直接額面価額で買い取ってくれます。すなわち10万円額面なら10万円が手に入ることになるというものらしいです。またいい記事があったら送ります。それでは。


4.年金制度は必要か

>大森
20〜30才の比較的若い人の年金納付率が低く、年配者が高いのは、 単に自分が貰える世代になりつつあるかというだけではなく、 世代的に払うことが当然とされていたのと、20〜30年後の将来は 分からないとしても、自分達が貰う事になる間ぐらいは 破綻しないだろう、という気持ちからなのではないかと思います。
今の若い世代、特に30才以下というのはバブルの頃をあまり 覚えていないか、あるいは知らなくて、「不景気の日本」しか 記憶にない人たちです。仮に幼少時代に好景気を経験していても 覚えていないでしょうし、景気を最も強く感じる就職活動をする頃 には平成不況にどっぷりつかっていました。
当然、日本経済に対しても、また自分達の将来に対しても不安や失望 的な気持ちが強く、銀行や保険会社がバタバタ潰れていく様、あるいは 不良債権や国債の発行残高、あるいは歯止めのかからない少子化を 見れば、公的年金も危ないと感じることも理解できます。
さらに、国に対する信頼も、団塊の世代に比べれば明らかに低いことが 追い討ちをかけています。
問題は、公的年金に入らない人が、他の方法で老後の人生設計を しているかというと、何も手を打っていないことです。今が楽しければいい、 という短絡的な発想の下、回りにも払わない人がいるからという安心感の下、 なんとなく生活をしているというのが、未納者の現状ではないでしょうか。

>宮川
同感です。ある程度我々のアイディアが固まった段階で、一度1000件規模の アンケートをやってみてはどうかと思っています。いかがでしょう。

>角地
この前の話では、普通どおりに生きれば絶対年金は 払っていた方が得という結論でした。しかしそれは、若いとき に使うお金と老後に使うお金とが全く同じ価値のものであると仮定した場合で す。老後になってから、あるいは障害者になってから使う1万円と若くて元気なときに使う1万円では大きな差があります。実際消費意欲は若い人が高いのですから、老後に備えてお金をためるより、今の人生を楽しみたいと思うのは当然だと思います。


5.中国経済の今後

>Kさん
ところで、中国に注目されているとのことですが、 やはり中国株は所有されているのでしょうか? 最近少し中国株に興味があるもので・・。

>角地
中国に注目しているのは宇宙開発が強いからというわけで(つまり火星に行けるから)、経済の話になると別かもしれません。 アメリカも軍事、宇宙開発に国費をつぎ込んで、経済力は落ちたので今後中国経済が発展するかどうかは疑問です。 アメリカ経済が立ち直ったのはレーガン大統領によるプロパテント政策の影響もあります。 中国で知的財産に相当する専利が今後普及するかどうかが、中国経済を活性化させるポイントとなるでしょう。