小僧寿し事件 判例全文

(1)自己の名称について
フランチャイズ契約により結合した企業グループは共通の目的の下に一体として経済活動を行うものであるから、右のような企業グループに属することの表示は、主体の同一性を認識させる機能を有するものというべきである。したがって、右企業グループの名称もまた、商標法二六条一項一号にいう自己の名称に該当するものと解するのが相当である。

(2)商標の類比判断の基準
商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。
これは氷山印事件の判旨を受け継いだものです。

(3)38条3項の損害賠償請求について
右規定によれば、商標権者は、損害の発生について主張立証する必要はなく、権利侵害の事実と通常受けるべき金銭の額を主張立証すれば足りるものであるが、侵害者は、損害の発生があり得ないことを抗弁として主張立証して、損害賠償の責めを免れることができるものと解するのが相当である。
損害賠償請求訴訟においては、原則として原告が損害の発生を主張立証する必要があります。ただし、38条3項により損害額を推定するときは損害の発生を主張立証する必要はありません。それでも損害の発生がありえないことを被告が抗弁理由とできる旨判決したものです。

フレッドペリー事件 判例全文

商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為であっても,
(1) 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり,
(2) 当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであって,
(3) 我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がない
と評価される場合には,いわゆる真正商品の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと解するのが相当である。上記各要件を満たすいわゆる真正商品の並行輸入は,商標の機能である出所表示機能及び品質保証機能を害することがなく,商標の使用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なわず,実質的に違法性がないということができるからである。
(2)は出所表示機能を害さないこと、(3)は品質保証機能を害さないことから導き出されます。

ジョージア事件

商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されていることをもって足りるというべきである。


レールデュタン事件 判例全文

 商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれ (こちらを「狭義の混同」といいます)がある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。
 「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。

SEIKO EYE事件 判例全文

「SEIKO」の文字と「EYE」の文字の結合から成る審決引用商標が指定商品である眼鏡に使用された場合には、「SEIKO」の部分が取引者、需要者に対して商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を与えるから、それとの対比において、眼鏡と密接に関連しかつ一般的、普遍的な文字である「EYE」の部分のみからは、具体的取引の実情においてこれが出所の識別標識として使用されている等の特段の事情が認められない限り、出所の識別標識としての称呼、観念は生じず、「SEIKOEYE」全体として若しくは「SEIKO」の部分としてのみ称呼、観念が生じるというべきである。
すなわち、商標において識別力を有さない部分のみでは他の商標との対比の対象とならないということです。

橘正宗事件

指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標は商標法2条9号(現4条1項10号)にいう類似の商品にあたると解するのが相当である。