カンピロバクター[Campylobacter]
グラム陰性微好気性桿菌の一属。らせん状、ないしは S 字状を示し、一端または両端に鞭毛をもちコルク栓抜き様の運動をする。動物・ヒトの生殖器・腸管に見出され、C.jejuni はヒトに急性腸炎ないし食中毒、稀に髄膜炎、菌血症などを起こす。1970 年以前にはほとんど報告されていなかったが、1980 年以降から増加、現在では小児・成人の腸炎起炎菌として最も高頻度に分離されるようになった。感染は主として汚染された食肉による。C.fetus は家畜の流産を起こすが、抵抗性の弱ったヒトに日和見感染を起こすし、しばしば重症になることが知られている。エリスロマイシン・アミノ配糖体に感受性であるが、β−ラクタム系抗生物質には耐性である。
また、ニワトリ、イヌ、ブタ、ウシなどの腸内常在菌であるため、この食中毒は、生の牛乳や飲料水によることが多く、トリ肉、七面鳥肉、ハンバーグ、アイスケーキなども原因になる。食後二〜七日で発症する。潜伏期が著しく長いのが特徴。症状は下痢、発熱、腹痛、嘔吐である。
「岩波:生物学辞典」「朝日新聞社:知恵蔵」より抜粋