Chlamydoselachus -living fossil-

2000/4/3 ([Bilab:4125][Bilab:4126][Bilab:4127] より一部改編)

今朝の朝日新聞などで読んだ方はご存知のことかと思いますが、古代のサメ「ラブカ」捕獲されました。
asahi.com に掲載された写真][東海大学海洋科学博物館に掲載されている写真

サメというのは「軟骨魚類」に属しており、「硬骨魚類」との分岐点は「有顎類」の下にあります。脊椎動物の系譜を簡単に説明しますと、まず「無顎類」と「有顎類」に分岐します。「無顎類」にはヤツメウナギなどが属します。つぎに「有顎類」が「軟骨魚類」「硬骨魚類」に分岐します。「軟骨魚類」にはサメなどが属します。つぎに「硬骨魚類」が「条鰭(じょうき)類」「肉鰭(にくき)類」に分岐します。「条鰭類」は、一般に言うところの「魚類」です。つぎに「肉鰭類」が「シーラカンス」「肺魚」「四肢動物」へと分岐します。つまり、「サメ」という種は、かなり昔に分岐して、そのまま現在にいたっている種なのです。

「コイ」も「サケ」も「サメ」も「エイ」もみんな「魚類」としてまとめられてしまいますが、実は、その分岐点は、だいぶ昔にあったというわけです。

「ヒト」は「サメ」よりも「サケ」に近い、ちょっとびっくりですね。



masakazu> 鮫は通常口が下にあるのに,ラブカは前にあるというのに驚いています.


新聞などには、以下のような説明が書いてあります。
「ラブカは生きた化石と呼ばれ、約3億5000万年前から形を変えずに生き残ってきています。」

この「約3億5000万年前」というのは、四肢動物似た魚類が、地球上に初めて登場した時期でもあります(デボン紀末)。そのころには、まだ現代の海洋型のサメ目は登場していません(現代の海洋型の鮫目は、中生代の終わり頃に登場する。デボン紀末から2億年くらい後?)。デボン紀末に存在した、後期サメ型魚類の近縁だったと考えられる「クラドセラケ(クラドセラケ目)」などは、口の形に関しては「ラブカ」に、非常に似ています(しかし、体はウナギ型ではありません)。

恐竜はもとより、四肢動物が登場するよりもはるか昔に地球上にあらわれていた「ラブカ」。ぜひ、「卵」だけでも見に行きたいものです(出張費でるかな…いや冗談です)。



ら‐ぶか【羅鱶】
ラブカ科のサメ。体長二メートルに達する。細長く背鰭(セビレ)の基底は長く、尾鰭(オビレ)は槍の穂状。体は暗褐色。他のサメと違い、口が頭の先端にあることなどにより、原始的とされる。深海性で、生息地は日本では相模灘・駿河湾が知られる。(広辞苑)


軟骨魚類
[Chondrichthyes 英cartilagenous fishes]

脊椎動物亜門有顎動物下門魚形上綱の一綱.内骨格は軟骨性で,頭蓋は軟骨頭蓋である.板皮類と近縁とされる.サメ・エイ類など多数を含む板鰓類と,ギンザメを含む全頭類との2亜綱からなる.前者は別々に開口する5対以上の鰓をもち,多くは成体に至っても噴水孔 (spiracle) を備え,総排泄腔を形成するのに対し,後者は膜質の鰓蓋をもつ4対の全鰓で,噴水孔は成体では消失し,総排泄腔はないなどの特徴で区別される.一般に尾鰭は異尾で,少なくとも幼期には歯と同様の構造の楯鱗をもつ.口と鼻孔は腹面に開き,雄は交尾器 (clasper) をもち体内受精する.腸にはらせん弁があるが幽門垂はなく,心臓には心臓球があるが動脈球はない.また鰾 (うきぶくろ) ないし肺類似の器官が全くない.成体の排出器は中腎で,尿素を排出する.生殖輸管は独立せず,泌尿管が代行する.体液の浸透圧は海水よりも高い(→トリメチルアミンオキシド).卵は一般に極めて大形で,特有の卵嚢に収められるものも多い.ほとんどの種類は海生であり,かつ通常は捕食性である.デボン紀の中期から繁栄し始め,現世に至る.現生約900種.(岩波生物学辞典)


V.軟骨魚綱 Chondrichthyes
VA.全頭亜綱 Holocephali
 †ミリアカンツス目 Myriacanthiformes
  †Myriacanthus
 ギンザメ目 Chimaeriformes
  Chimaera ギンザメ,Harriotta アズマギンザメ,
  Rhinochimaera テングギンザメ
VB.板鰓亜綱 Elasmobranchii
 †クラドセラケ目 Cladoselachiformes
  †Cladoselache
 †クラドーヅス目 Cladodontiformes
  †Cladodus,†Denaea
 †クセナカンツス目 Xenacanthiformes
  †Orthacanthus,†Xenacanthus
 †クテナカンツス目 Ctenacanthiformes
  †Bandringa,†Ctenacanthus
 †ヒボーヅス目 Hybodontiformes
  †Acrodus,†Hybodus
 カグラザメ目 Hexanchiformes
  Chlamydoselachus ラブカHexanchus カグラザメ,
  Heptranchias エドアブラザメ
 ネコザメ目 Heterodontiformes
  Heterodontus ネコザメ
 ネズミザメ目 Lamniformes
  Alopias ハチワレ,Apristurus ヘラザメ
  Carcharhinus メジロザメ,Carcharodon ホホジロザメ,
  Cephaloscyllium ナヌカザメ,Cetorhinus ウバザメ,
  Chiloscyllium テンジクザメ,Galeocerdo イタチザメ,
  Mitsukurina ミツクリザメ,Mustelus ホシザメ,
  Scyliorhinus トラザメ,Sphyrna アカシュモクザメ,
  Triakis ドチザメ
 ツノザメ目 Squaliformes
  Centroscymnus ユメザメ,Etmopterus フジクジラ,
  Pristiophorus ノコギリザメ,Squalus アブラツノザメ,
  Squatina カスザメ
 エイ目 Rajiformes
  Anacanthobatis イトヒキエイ,Bathyraja ソコガンギエイ,
  Dasyatis アカエイ,Manta オニイトマキエイ,
  Myliobatis トビエイ,Pristis ノコギリエイ,
  Raja ガンギエイ,Rhinobatos サカタザメ,
  Rhinoptera ウシバナトビエイ,Torpedo ヤマトシビレエイ,
  Urolophus ヒラタエイ


「†」は絶滅種