DINOSAURS

2000/4/18 ([Bilab:4163] より一部改編)

本編で登場する東洋一先生は、福井教育大学卒業後、小学校教諭を経て学芸員に、現在、今年七月に開館する 県立恐竜博物館の準備を進めています。また本編中にある引用は、朝日新聞の科学欄に掲載された記事を用いています。

「本気で探せば恐竜はまだ眠っている」
−東洋一(福井県立博物館総括学芸員)

「ここ十年で恐竜像が大きく変わってきました。」

数年前、「ロスト・ワールド(邦題「ジュラシック・パーク」)」という映画を見たとき、自分の頭の中にあった恐竜像と、スクリーンの中に登場する恐竜の違いに、ものすごい衝撃をうけました。おそらく僕らの世代が、小学館の学習百科などで見てきた恐竜と言うのは、どっしりとしていて、長いしっぽを引きずって悠々と歩く、とくにティラノサウルスなんてそういうイメージじゃなかったしょうか?(20代後半以降の人、どうでしょうか?)
ところが、「ロスト・ワールド」のスクリーンにでてくるそれは、頭の中にあるそれとは大きく違い、体は前傾姿勢、しっぽは地につかずピンと張り、意外と早く走る。まったく逆の様相でありました。その後、nature (だったかな?)に掲載された「恐竜は時速60Kmくらいで走れたのでは?」という論文を読んで、またまた卒倒しそうになった。

思えば「恐竜」なんてシロモノは、小学生の頃の遥か昔の、興味の対象の一つでしかなかった。しかし、学習百科のカラーページに描かれた、太古の昔の風景は、今でも鮮烈に脳裏に焼き付いている。「恐竜はもういないんだ」という気持ちが、いつの間にか僕の興味を、恐竜と言うものから引き離してしまったのだろう。おそらく、僕のような人はたくさんいるのではないでしょうか?みなさんも、幼稚園、あるいは小学生のころ一度は恐竜や、その化石というものに興味をもったことがあるのではないでしょうか?

さて、皆さんは恐竜というと何をイメージするでしょうか?トカゲやヘビの仲間、つまり「爬虫類」ということをイメージしませんでしたか?おそらく多くの人が「爬虫類の祖先」が恐竜だと思っていることでしょう。恥ずかしながら、僕も、爬虫類・恐竜の分類には疎く、恐竜はトカゲなんかよりも古い時代に分岐したものだと思ってました。ところが最近読んだ本で、爬虫類の系統樹が

 |- 哺乳類
-|
 | |-カメ類
 |-|
   | |-トカゲとヘビ類
   |-|
     | |-ワニ類
     |-|
       | |-鳥盤目恐竜
       |-|
         | |-竜脚類恐竜
         |-|
           | |-獣脚類恐竜
           |-|
             | |-始祖鳥
             |-|
               |-現生の鳥類

であることを知ってビックリしました。もちろん、この系統樹による分類は、数ある学説の分類うちの一つにすぎないのですが。トカゲやヘビ・ワニって恐竜よりも古い時代に分岐し、また鳥類は恐竜に非常に近いというのは驚きです。

1970年代の終わりごろ、骨格の特徴から小型肉食恐竜は活発に動けたのではないか、
そのためには温血だったのではないか、と唱えられました。
その後、中国で原始的な羽毛の跡のある化石が見つかったりして、
この説が優勢になってきた。あちこちで発掘が進み、爬虫類から
鳥までの骨格を連続して追えるようになったことも裏づけになっています。
たとえば指の骨は、鳥から遠い種類の恐竜ではワニのように
五本あるのに、肉食恐竜は三本だけ発達していて鳥に近づいていく。

なるほど、指の骨に注目するわけです。哺乳類でも奇蹄類・偶蹄類なんていう分類があります。それを爬虫類に当てはまると、肉食恐竜と爬虫類が近くなるというわけです。それにしても「羽毛」をもった小型肉食恐竜がいたとは…ますます「恐竜」のイメージが変わってしまいます。

爬虫類のような皮膚の跡の化石が出ている大型の草食恐竜もいて、
たぶんそれは(前述の肉食恐竜とは)違う。
わからないことはいっぱいあるんです。
草食恐竜の幼体がまとまって見つかった例がいくつかあって、
親がえさを運んでいたのではないかと言われていますが、
確実な証拠がない。肉食恐竜でも古い大型のものは温血なのか、
いま生きている鳥はどこから枝分かれして進化したのか。

前に述べたように人間を頂点とするピラミッドで考えると、このような図式は見えにくいですね。鳥類が、人間に至る進化の過程に組み込まれてしまいますから。人間もまた爬虫類から分岐した生物の一つと考えることで、鳥類も爬虫類から分岐した生物であると理解することが出来るのです。

日本本土で恐竜化石が見つかったのは1978年の岩手県が最初です。
…それまでは(日本では恐竜の化石が)出ないとばかり思われていた。
みんなで探そう、本気で探せばある、というのが大事なのです。

現在、恐竜は絶滅し、化石しか残っていない。真実は闇の中、本当のことはわからないということです。しかし、残された化石を見つけ出し、調べることで、僕らは、いろいろと想像をめぐらせ、新しいことを学ぶことができます。

理科離れっていわれてますよね。恐竜のように子どもが
まず親しみをもてる材料から、推理の楽しさ、なぞがなぞを生む楽しさ、
科学の楽しさと大切さをわかってもらいたい。
博物館の果たす役割は大きいと思います。
恐竜博物館は、骨を探す雰囲気や、
当時の環境を味わってもらえるような展示を考えています。

一昨年、上野にある国立科学博物館を十数年ぶりに行ってみました。小学生以来の科博の展示・企画は驚きの連続でした。化石の展示、天体の説明、生物の生活様式を表わしたジオラマ、身近な科学現象についての説明や実験。小学生のころには見つけることのできなかった、小さな、新鮮な発見がたくさんあり、あらためて科学の楽しさを知った気がしました。

これを機会にみなさんも科博にいかれてみてはどうでしょうか?就職活動の気分転換にはいいかも知れません?!また科博での新しい発見が今後の研究に役に立つかもしれません。上野なら日帰りコースなので時間の心配をすることもないでしょう。

あまり進化に関する話ではありませんでしたが、今回はこの辺で。