
目次
| 1.ナマズのことをやることになったきっかけ |
| 2.魚類の異常生態に関する調査研究 by 東京都水産試験場 |
| 3.ナマズは地震の何に反応するのか |
| 4.電磁波とは? |
| 5.ナマズデータの解析 |
| 1)ナマズの異常行動と地震の地域性〜GMTを用いたマッピング〜 |
| 2)ナマズが予知した地震についての統計処理 |
| 3)前兆先行時間と地震の数 |
| 4)ナマズは雷にも反応するか? |
| 4’)続・ナマズは雷にも反応するか? |
| 5)震央距離・マグニチュードと地震予知率 |
| 6.鯰と地震の歴史 |
| 7.阪大見聞録 |
| 8.ナマズの電気感覚について |
| 9.的中率と予知率・確率利得について |
そもそもなまずを中心にやっていこうと決めたきっかけをお話します。
研究するにはまずなにかデータが必要ということで、どうしようと思案していた時に、数年前まで、なまずを飼育観察していた機関があったことを知りました。
その機関とは、東京都水産試験場というところで、1987年1月から1992年3月にかけてナマズを飼育し、その暴れ具合をデータとして残しておられたのです。
早速僕はそこに電話して、恐る恐る、「そのデータを私に見せてくれませんか?」と尋ねたところ、「いいですよ、それじゃあ送るんで住所教えてください。」と、なんとも親切な応対をしてくれたのでした。
僕の研究内容は、その観察データの再解析です。水産試験場の方々の行なわれていない手法によりデータを分析し、なにか発見はないか、日々探している、といったところです。よってまず水産試験場の方々による研究内容および結果をここに書きます。
2.魚類の異常生態に関する調査研究― by東京都水産試験場
1.目的
地震前の魚類の異常生態として、移動、出現、行動、斃死、繁殖などの現象がみられている。これらのうち、報告例が多く、比較的観察が容易と思われるナマズの行動観察から地震予知の可能性を究明する。
2.方法
| 2−1.ナマズの飼育環境について |
| 3つの水槽を用意し、各水槽に常時数匹のナマズを飼育する。ナマズが死んでしまったときは同じくらいの大きさのナマズを補充する。 水槽の一部は金網により仕切り、ナマズの振動を感知するためのセンサーに直接触れないように配慮してある。また、飼育部のそこにはシェルターとして土管または塩ビ管を配置した。 飼育水は地下約70mからくみ上げた井戸水を使用した。井戸水は一旦高架水槽を通してから溶存酸素量を高めた上で各水槽に導いた。水槽内の水はオーバーフローに^して水槽下のウォーターバスに流れ込み、またウォーターバスの底にはアンツーカーを敷き、水が地下浸透するようにした。つまりそうすることによって水槽を外部から独立したものにしないように、地下からの情報が伝わりやすくしてある。 ナマズのごはんは主に生きた金魚を与える。 |
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2−2.振動計による行動量の把握
毎日の行動を、振動計による行動量の把握と、ノックによるナマズの反応の観察、ナマズの位置・動作の目視観察により長年にわたり記録。
@.振動計による行動量からナマズの異常行動を判定する。
ナマズが動くことによって生ずる水もしくは水槽の振動を、公害用振動計によって振動加速度レベルで計測した。振動計によって得た信号は、コンピューターにより解析され、毎時間ごとに、毎日の集計結果を表およびグラフに出力した。
異常行動としての判定基準は次の通り。
N≧N+3σ and Nh≧Nh+3σhが2時間以上
N:1日の行動量の平均 σ:1日あたりの行動量の標準偏差
Nh:1時間の行動量の平均 3σh:1時間あたりの行動量の標準偏差
この基準を満たしたものを、振動計によって異常行動と判定された、とする。
A.ノックによる反応から判定する。
3つの水槽に対して、毎朝ノックをし、それに対するナマズの暴れ具合に応じて、0〜3ポイントを与える。各水槽の合計ポイントが7以上の場合異常行動とする。
| 名称 | ナマズの反応 | 反応ポイント |
| Sensitive | シェルターから飛び出す 又はシェルター内で激しく動く |
3 |
| Somewhat Sensitive | シェルター内で身体を動かす | 2 |
| Less Sensitive | シェルター内でひれ、口等を動かす | 1 |
| Not Sensitive | 全く動かない | 0 |
B.目視観察により異常行動を判定。
1982年から、1,2のような数字で判断できるデータ以外に、人間の目でナマズの行動を観察し記録することが始められた。「住み家としている土管から顔を身体をのぞかせていた。」とか、「水槽を泳ぎ回っていた。」などの情報を記録。
3.結果
元水産試験場職員である江川紳一郎さんによると、記録中に東京都で発生した震度3以上の地震91例中、欠測4例を除いた87例に対して、明らかに10日前までに異常行動の見られたものが27例。つまり3割以上の成功率を誇る。これはかなりの的中率であると思われる。
3.ナマズは地震の何に反応しているのか?
様々な考えられる要因について考察してみます。ただしこの内容は、「動物は地震を予知する(ヘルムート・トリブッチ著)」に多大な影響を受けてます。
1.聴覚の可能性
もし地震前の動物異常の原因として音波シグナルを考えるなら、候補となるのは人間の耳に聞こえない音である。以下に様々な動物の可聴周波数帯を列挙する。
| 動物名 | |
| 人間 | 16Hz〜10万Hz。中央部分に感度はよい。 |
| 犬、ヒツジ、シカなど | 超音波感度が発達。 |
| コウモリ、イルカなど | 10万Hz以上まで聞こえる。 |
| 鳥類 | 人間とほぼ同じ。超音波は聞こえない。 |
| 昆虫 | 低周波に鈍感。5万〜10万Hzの高周波数帯に敏感。 |
| 魚類 | 低周波の音に対する感度は人よりよい。超音波は聞こえない。 |
| ネズミなど | 5万〜10万Hzの高周波数帯に敏感。 |
地震前にはどんな音波が発生している可能性があるのだろうか。地震直前に岩盤にクラック(裂け目)が生じることにより音が発生したとする。震源はだいたいが数kmの深い地殻中で起こり、これが地表まで届くまでに超音波は岩盤が完全に吸収してしまうので、地表に届くのは周波数の低い音だけだ。しかし実際の動物異常行動の報告例では低周波には鈍感なネズミやネコなども存在し、音波が原因だとはいうことはできないが、その可能性を完全否定するのは危険でもある。
2.電場の可能性
ナマズは電場の変動に敏感である。 0.05μV/cmまで感知可能(人間の100万倍)で、
特に、直流よりも低周波電場変動に敏感である。
餌の小魚が出すわずかな電気パルスを捕らえるために発達したものと考えられる。
3. 電磁波の可能性
今僕が最も有力と考えている要因。地震前に起こる地下での岩石の微小破壊時に電磁波が生じる。ナマズは普段えさとなる小魚などの発する微小な生体電位を察知し捕食をしていることから、地震前の微小な電磁波に反応して異常行動を示すものと考えられている。
4.帯電エアロゾル(イオン)の可能性
ヘルムート・トリブッチが提唱。プラスイオンが動物に不快感を与えることが知られているが、このイオンが地震前に発生しているという。岩盤に圧力が加わることにより、石英などある種の結晶は、電荷の分布がずれることにより電場を作り出す(これをピエゾ効果という)。この電場が地下で放電を起こし、水が化学反応を起こしイオンを生成する(電気化学的グロー放電)。
また、エアロゾルの発生の仕方には別の考えもあり、地震前に岩石にかかるストレスにより、岩石中のラドンが大気中に放出され、ラドンが崩壊してできるPb+の正イオンが大気中のチリや埃などと結合してエアロゾルになるという説がある。このイオンの発生を感知し地震を予知しようという試みが、岡山理科大のPISCOというところで行なわれている。
しかし、水中にいるナマズがイオンにどれほどの影響を受けるかは疑問が残る。
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4.電磁波とは? 5.ナマズデータの解析 |