8月と戦争とアニメ
2011/8/15

左「未来少年 コナン」のギガント
中央「風の谷のナウシカ」の巨神兵
右「THE IDEON」のガンドロワ
現代の日本において、8月とは戦争月間である。NHK、民放を問わずドキュメンタリー、回想録、ドラマ、映画目白押しである。なぜ8月なのか? それは、2発の原爆が炸裂した月であり、太平洋戦争が終わった月だからである。2011年現在でも当時兵隊だった人は存命であり、著者も焼夷弾の降る中を逃げ回る知人の話を聞いたことがある。現代の日本アニメの中に、この戦争の記憶が色濃く反映されている。巨大ロボットアニメの原点となる、横山光輝の「鉄人28号」は終戦から11年後の1956年、月刊誌『少年』で連載が始まる。その巨大ロボットは、帝国陸軍の秘密兵器として登場する。
「太平洋戦争末期、大日本帝国陸軍が起死回生の秘密兵器として開発していた巨大ロボット「鉄人28号」が戦後に現れ、鉄人を自由に操る小型操縦器(リモコン)を巡って悪漢、犯罪組織にスパイ団までもが入り乱れる争奪戦に、主人公の少年探偵・金田正太郎も巻き込まれる。数々の苦難の末に鉄人を手に入れた正太郎は、今度は鉄人28号の力で次々と現れる犯罪者や怪ロボットを倒して平和を守る為に活躍する。」Wikipedia
小さなロボットとしては、「鉄腕アトム」が1951年、終戦からわずか6年後「アトム大使」の中に登場する。「鉄人28号」の作者横山光輝は、「鉄腕アトム」を意識して大型のロボットを描いた。
「宇宙戦艦ヤマト」、「銀河鉄道999」でお馴染の松本零士は、「陸軍少佐の父親がテストパイロットをやっていた関係で、4歳から6歳まで兵庫県明石市の航空機メーカーの社宅に住んでいた。第二次世界大戦中は母親の実家がある愛媛県喜多郡新谷村(現在の大洲市新谷町)に疎開。このときアメリカ軍機動部隊の戦闘機や松山市へ空襲に向かうB29などの軍用機を多数目撃、この体験が後の作品に影響を与えたという。」Wikipedia
松本零士の「零」は、零式艦上戦闘機(通称ゼロ戦)の「零」をとったといい、言わずもがな「宇宙戦艦ヤマト」は、戦艦大和の再来という設定である。
日本でアニメといえば、この人を語らないわけにはいかない。宮崎駿は、「戦史・軍事マニアとして知られ、第二次世界大戦から前の甲冑・鎧兜や兵器・AFV(装甲戦闘車両)に造詣が深い。作中で登場する兵器や乗り物にはその知識が十全に活かされている。この方面の趣味が発揮されている作品としてはアートボックス社『月刊モデルグラフィックス』誌の『宮崎駿の雑想ノート』という虚実織り交ぜた架空戦記物の超不定期連載漫画がある。連載初期は珍兵器を描いた数ページの絵物語だったが、次第にコマが割られてストーリー漫画に変貌していった。漫画の形態に変わった後の特徴として、作中に登場する女性は普通の人間だが、男性は欧米を舞台とした作品の場合は擬人化された動物になっている。現在はモデルグラフィックス誌に零式艦上戦闘機の開発者である堀越二郎の若き日を描く『風立ちぬ』を2009年4月号より連載しているほか、一式戦闘機「隼」の活躍と陸軍エース・パイロットの戦果を記録した、戦史家梅本弘(市村弘)の著作『第二次大戦の隼のエース』の刊行に際して、アートボックス編集部に対し本書を読んだうえで賞賛・激励の文書を送っている。ジブリ内の会議中でも、暇さえあれば今でも戦車の落書きを描いているという。また『天空の城ラピュタ』や『崖の上のポニョ』の劇中、モールス符号での通信シーンが登場するが、あの符号は全て実在し、言葉としてきちんと成り立っている。」Wikipedia
そして、富野由悠季においてはその作品を見れば一目瞭然、キーワードが戦争である。特に太平洋戦争を想起させる部分は、「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」(劇場用作品
1982年)での「学徒兵」出陣の場面、或いは、「伝説巨神イデオン」(テレビ作品)では、登場人物らが「俺達はサムライだ」などと発言している。
太平洋戦争が日本人或いは、世界にそれまでにない衝撃として知らしめたもの、それが核兵器・大量破壊兵器だった。長引く戦争に終止符を打たせるための兵器だから特に、最終兵器とも呼ばれる。今でこそ最終兵器・大量破壊兵器は様々な映画・アニメに登場するが、日本アニメでは「宇宙戦艦ヤマト」の波動砲、「未来少年コナン」(1978年、テレビ作品)の、全世界を滅ぼした最終兵器・超磁力兵器を搭載した巨大航空機ギガント、「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」(劇場用作品
1982年)に登場する、「地球連邦軍の星一号作戦の際に、ジオン公国の最終兵器ソーラ・レイとして登場したのが最初である。サイド3のマハルと呼ばれるコロニーを改装した巨大レーザー砲で、電力確保には多数の太陽電池パネルを展開する必要があった」Wikipedia
そして、「伝説巨神イデオン」ではイデオン自体が巨大兵器ではあったが、映画版において巨大加粒子砲のガンドロワが登場した。宮崎アニメでは、「風の谷のナウシカ」(1984年
映画作品)に登場する、1000年前の産業文明を崩壊させた巨大な人型人工生命体の「巨神兵」。これは、庵野秀明による「新世紀エヴァンゲリオン」(1995年
テレビ作品)に登場する汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオンの着想の元になったとされている。勿論、物語の着想はイデオンにある。「天空の城ラピュタ」(1986年
映画作品)では、ラピュタと呼ばれるラピュタ人が飛行石を用いて建造したとされる空中都市が登場し、底部に展開した七基の石柱からエネルギーを集束して、核兵器に匹敵する威力の光弾(ムスカは『旧約聖書』のソドムとゴモラを焼き払ったという「天の火」やラーマヤーナの「インドラの矢」にも例えていた)Wikipediaがあった。
「宇宙戦艦ヤマト」の中で、未来の人類を破滅に追い込むものが、敵ガミラスの打ち込む遊星爆弾による放射能という設定、東宝が1954年(昭和29年)に公開した特撮怪獣映画「ゴジラ」では、ゴジラは水爆の放射能によって誕生したという設定など、放射能単体でもアニメ・映画に登場する。また東宝は戦時中、軍人教育用の「教材映画」、国威発揚のための「戦意高揚映画」の制作を行う。
人類が最初に巨大兵器を経験したのは旧約聖書、その他神話に記された「洪水」だったのではなかろうか。旧約聖書によれば、神はノアに言われた「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。」この後大洪水が人々を襲う。これに関する日本アニメを挙げるとすれば、「アニメ親子劇場」(1981年
テレビ作品)もそうだが、大友克洋の「スプリガン」(1998年 映画作品)で、ノアの箱舟は太古の地球規模の大気調整システムとして登場する。
誰がどのような意図で巨大な力を行使するにしても、後に残った荒れ果てた荒野の姿はみな同じである。8月中、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を振りかえる特集番組もあったが、この8月こそ戦争など人類の悲劇を避けるために何が必要かを考える月にしてはいかがだろうか。
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