C O L U M N L I B R A R Y 「ID理論とIDE理論」 2006/6/25 ID理論とは、 「1990年代後半、アメリカの科学者の間から起こり、抵抗を受けながらも浸透しつつある新しい科学のパラダイム。宇宙自然界に起こっていることは機械的・非人称的な自然的要因(原因)だけでは説明できず、そこには「デザイン」すなわち構想、意図、意志、目的といったものが働いていることを科学として認めようという理論かつ運動である。これまで科学の前提であった自然主義(唯物論)という方法と哲学が、時代に合わなくなったという認識のもとに、これに見切りをつけて新しい地平を開こうとする。特に、公認学説となっているダーウィニズムに批判の矛先は向けられるが、生物学だけでなく科学一般、特に宇宙論にこの新しい科学の枠組みは及ぶ。 「インテリジェント・デザイン」理論は、この宇宙が(次元的)外部へ開かれたものであって、自己充足的な閉鎖系ではないと考える。自然界に、知性あるものの「デザイン」の事実が「経験的に検出可能」なものとして証明しうる以上、何らかの超自然的「デザイナー」の存在を想定しなければならない。従ってID理論は、超越的世界に開かれたものであると同時に、経験的・実証的な科学としての条件を満たしている。その意味で、IDは従来の創造‐進化論争に対して第三の観点を提供するもの、あるいは宗教と科学をつなぐ理論と言われる。」(HP「創造デザイン学会 DESIGN-OF-CREATION SOCIETY」より) 映画パンフレットより 一方、IDE理論とは、ご存知イデオンの物語に登場した人類の創造者の名称であるIDE(イデ)にちなんでイデオンの物語の世界、また特にそこにおける有神論(創造論)を著者はIDE理論と勝手に名付けたのだ。 イデオンの物語の世界では、人類は目的をもった知的存在者によって意図的に創造されたという設定になっている。イデオンには創造者が登場するのだ。ただその創造者が宗教でいう「神」よりもむしろ、上に書いたID理論でいう「デザイナー」のイメージに近い。いや、正確にはもっと独特な主張をする。映画パンフレットによれば、イデ本体とは人間の精神エネルギー(註1)を物質エネルギーに転化する金属・イデオナイトだとされている。神の如きイデの正体が金属・物質なのだ。 「神は物質である」という命題はイデオンの世界では真であるが、しかし、これが実際の世界に適用できるだろうか。宇宙、時空間、物質は未だ未解明の未知の代物だから、それと人類の創造者・神との関係については不明という以外にない。実際の世界がどれほど複雑怪奇か。科学の進歩によってそれが漸次明らかにされている。 また、イデそのものが誕生するプロセスの設定も意味深長だ。イデは、遠い過去の宇宙の人類の「高度な科学力」と精神エネルギーによる「意志の場」、それに想定外のアクシデントによって誕生する。等式で表すと次のようになる。 遠い過去の宇宙の人類の「高度な科学力」+精神エネルギーによる「意志の場」+アクシデント=イデ ここにあるアクシデントが重要だ。これがあることで正真正銘の神秘的な神の介入、或いは、更に高層の親イデとも言うべき存在の介入などが示唆されているのだ。図にすれば次のようになる。 これは無限後退である。現代科学では理解は困難だ。しかし、人間は、この人間特有の宇宙観や時空間観、物質観などの癖を離れて異なった観から世界を見ることができれば、無限後退のような袋小路は見えないのかも知れない。 「IDは従来の創造‐進化論争に対して第三の観点を提供するもの、あるいは宗教と科学をつなぐ理論と言われる。」 イデオンの物語には、サイエンス・フィクションでありながら、神の如き創造者や人類の水先人となるメシア、更に多くの霊が登場し、サントラには宗教音楽のエッセンスがふんだんに取り入れられている。イデオンの物語も、宗教と科学を繋ぐ物語と言える。 IDとIDE、この両者はアナロジカルでありシンクロニシティを感じさせてくれる。21世紀の現代に、両者のアナロジーを誰が予言できただろうか。或いは、誰が意図的にそのアナロジーを仕組むことができただろうか。著者はやはり、つくづく人類の創造者が今も生きて働いておられることを信ずるのだ(註2)。 註1 「精神エネルギー」とは何だろうか。いや、その前に「精神」とは何だろうか。唯物論者が言うように脳内で起こっている化学作用なのだろうか。では問うが、脳とは何なのか。現代科学では脳の構造や機能等は完全には解明されていない。また、現代科学では宇宙に存在する物理法則、化学作用も完全には解明されていない。未だ謎の部分がある。それなのに「精神」は脳内で起こっている化学作用などとは、どんな根拠で主張しているのだろうか。そもそも「精神」とは何なのか、それ自体がはっきりしていないのに、その発生源がどうして特定できるのか、不思議だ。「精神エネルギー」とは、神秘のベールに包まれた未知のエネルギーというところか。 註2 ID理論は、人類を創造した創造者、超自然的「デザイナー」の存在を肯定する。そのID、Intelligent Design はイデオンに登場するイデの人類創造を知的な側面から見て表現するのにふさわしいと言える。しかし、もう一つの大事な側面がある。映画「THE IDEON」の後編のサブタイトルは「発動編 / Be INVOKED」 という。 INVOKE=祈願、懇願である。イデオンのあの血のにじむ物語の中で描かれていたものは、イデによる人類への懇願だった。イデは最期まで人類の和解を願っていた。イデの人類創造、そして、再創造の歩みを Intelligent Design のみで表現しては軽薄に感じる。言うなれば、Invoke Design である。人類は懇願の中から生み出されてゆくというのがイデオンの物語には表現されているのだ。 パンフレットに、「Be INVOKED」 の文字がある。 カララの傍らの赤ちゃんがメシア。聖母マリアとイエスを彷彿させる。