本 題
プロローグ
日本で「ガンダム」と言えば老若男女知らない人がいないと言えるほど、それはあまりに有名なアニメの一つだ! しかし、そこには聖書の中の世界と多くの点で一致していることが発見された!
しかし、それは、かの「エヴァンゲリオン」のように意図的にという意味ではない。勿論「イデオン」には、救世主として「メシア」と名付けられた子供が物語の鍵を握ってゆくが、ここでは、視点として例外の一つとなる。
著者は、「ガンダム」「イデオン」「ザブングル」の世界と聖書の世界との一致は、偶然の一致・シンクロニシティだったのではと考えている。しかし、それにしては出来過ぎているという意見もあろうし、かといって、意図されたものにしては雑であり貧弱である。
意図的にしろ偶然にしろ、それがヒットし社会現象とまで言われる所まで至らしめたパワーには注目できる。もし、ヒットしなければ注目する価値を見出すことができない。
ヒット・ブーム・社会現象らは、バロメータだと言えよう。その背後に、どれだけの意味があるかを目で見て分かるように表示してくれている。
では、その意味そしてメッセージとは一体何か? これについては一番最後に触れたい。先ずは、”1章 基礎知識”から読み進んで下さい。
勿論、その中に既に熟知の域に達している項目があれば飛ばし、時間と労力を節約して下さい。
※ 赤文字は、著者による強調箇所でポイントとなる部分です。
1章 基礎知識
1.聖書とその登場人物
a.聖書とは
聖書とは、世界三大宗教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の聖典・CANONであり、現在は1250以上の言語に翻訳され、年間4000万部以上の売り上げがあると言われている。
旧約聖書は、古代オリエント地域に伝わる神話・伝承・祭りの断片と、そのただ中で力強く生きたイスラエルの民の壮絶な記録の書であり、新約聖書は、イエス・キリストとその使徒達のこれまた壮絶な記録の書である。そして、旧約・新約をつらぬく一つのポイントが、「神が遣わされるメシヤによる救い」であった。
旧約聖書を一貫する思想は、神が歴史を導く主であり、イスラエルは神によって召し出され、契約によって神の民となったが、その使命は諸国民の精神的光となることであった。イスラエルは繰返しこの神との契約に背き、亡国にまで追いやられたが、神は「残れる者」をして御自身の歴史に対する意志を継続され、遂には、最後の一人の「残れる者」メシヤ(中略)を遣わされるであろう、という希望で終わっている。(中略)旧約はメシヤ出現の希望と約束で終わっており、新約なしでは不完全で中断してしまう。しかしまた、新約は旧約の歴史と思想を当然の前提としており、後者なしでは理解できない。(「世界の宗教と経典・総解説」株式会社
自由国民社PP47〜49)
b.登場人物
聖書に登場する人物で、知名度が高い名前といえば、アダム、イブ(エバ)、ノア、モーゼ(モーセ)、ソロモン、イエス・キリスト等であろう。それぞれの人物の立場や生涯は、一般にも、よく知られている。しかし、本論に関わってくる人物は、次に示す通りである。
また、ここに記されたエピソードの一つひとつが、後で見るアニメとの相関の重要なポイントとなるので、よく記憶しておいてもらいたい。
登場人物
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プロフィール・エピソード |
| アダム |
神により、最初に創造された人。 |
| イブ(エバ) |
アダムを元に創造された最初の女性。 |
| 天使 |
人の創造以前より神によって創造されていた。人と会話ができる。アダムとイブが堕落したのは、蛇に誘惑されて木の実を食べたからと、よく語られるが、古代オリエント地域の神話では天使の一人が蛇の正体とされている。 |
| ノア |
アダムから約1600年後、10代目の子孫。「ノアの方舟」「ノアの大洪水」で有名。 |
| アブラハム |
ノアから約400年後、11代目の子孫。ある時、神から指示に従って供え物をせよと神託を受けるが、失敗してしまう。(このあやまちは、その後、イスラエル民族の400年以上のエジプト苦役によってつぐなうことになる。)その後、100歳になって、やっと子を授かるが神はその子を供え物とせよと命じられる。非常な、つらさと切なさにさいなまされながらも、刃物で子のとどめをさそうとする瞬間、神はその心意気・信仰を見られ、子の代わりの供え物を裂いて焼くようにされた。 |
| イサク |
父アブラハムの手によって殺されそうになった子。 |
| ヤコブ |
イサクの子。双子。兄はエサウ。兄弟はある事件によって険悪となり、兄に殺されそうになって、家を飛び出し、母の実家で21年間生活する。その間、兄エサウへの贈り物を準備し帰郷の途に着く。その道すがら天使が現れ、夜明けまで格闘する。そして、次の日、いよいよ帰宅し兄と抱き合って再会を喜んだ。イスラエルとは、ヤコブが天使から賜った名前。 |
| イエス・キリスト |
イエスはユダヤ教徒らに、旧約聖書で待望されたメシアと認められず、十字架に架けられ壮絶な最期を遂げる。聖書には、イエスは非常に高い地位に昇るという予言と、十字架の悲惨な死の予言の二通りの予言があった。 |
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表−1 聖書の登場人物
※各々の色分けは、便宜的に一つの時代を表す。
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2.三つのアニメ
a.ガンダムとは
機動戦士ガンダム
主人公:アムロ・レイ
TV:1979.4.7〜1980.1.26 名古屋テレビ系
MOVIE:1−1981.3.14/2−1981.7.11/3−1982.3.13 松竹系 |
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| 人類が宇宙に進出した宇宙植民地時代を背景に、地球連邦とジオン公国間の一年戦争を描いた、リアルロボット路線のエポックメーキング。宇宙世紀0079、スペースコロニーのサイド3はジオン公国を名乗り地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。連邦はジオンに対抗してガンダムをはじめとする新型モビルスーツを開発。偶然ガンダムを起動させた少年アムロはそのまま実戦に駆り出され、ジオンの英雄シャアとの戦いを経て人の革新=ニュータイプへと覚醒していく。富野喜幸の名を一般に知らしめ、ヒットメーカーとして不動の位置に押し上げた永遠の代表作。人型巨大ロボットをひとつの兵器として解釈し、宇宙年代記を背景に持つ未来社会を創出、その中でシリアスな戦争と人間ドラマとを展開するリアルロボット路線を確立させた。放映当初は低視聴率のため終盤で打ち切りとなったが、のちにファン活動より火がつき、映画化後は社会現象的な一大ブームを生んだ。(「富野由悠季
全仕事」キネマ旬報社 P340) |
b.イデオンとは
伝説巨神イデオン
主人公:ユウキ・コスモ
TV:1980.5.8〜1981.1.31 東京12チャンネル系
MOVIE:接触編/発動編 1982.7.10 松竹系 |
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伝説の無限力(むげんちから)を偶然手に入れた地球人と、それを追う異星人とが繰り広げる宇宙追跡劇。植民惑星ソロで第6文明人の遺跡調査をしていたベスたち地球人が、異星人バッフ・クランと遭遇。誤解から両者は戦争状態に突入し、ベスたちは発掘した宇宙船ソロシップと巨大ロボット・イデオンを徴用して宇宙へ逃走した。遺跡メカに伝説の無限力が存在すると確信するバッフ・クラン軍は地球人を追撃し、この追跡劇はやがて全宇宙を巻きこむ破滅的状況へと発展していく。『ガンダム』同様、戦争に巻きこまれた民間人が偶然手に入れた兵器を使って生存のため戦うという設定を踏襲しつつ、地球人側と異星人側それぞれの内部で衝突する人間たちの愛憎劇を執拗に描いていく。さらに異人種間の恋愛悲劇を含めて、人のエゴが生む暴力や悲劇を徹底的に突き詰め、人の業にまで迫った問題作。だが玩具売り上げの不振から、最終話までのコンテまで出来ていながら途中打ち切りとなった。
(前略)超越的存在である無限力 イデは、自らを使う善き心を求め、地球人とバッフ・クランの対峙(和解)をあくまで迫る。両者は和解の機会を得ながらもやがて最終決戦に突入。そしてついにイデは発動し、宇宙の知的生命体をすべて消滅させてしまう。それは次なる善きかたちの人類を願う、再生のための滅亡だった。『2001年宇宙の旅』を思わせるクライマックスは難解との声も出たが、ためらいのないハードな展開や描写、哲学的命題にまで迫った主題は観客を圧倒し、富野アニメの頂点と評した者も多い。(「富野由悠季
全仕事」キネマ旬報社 PP342〜343)
第六文明人
遠い過去の宇宙では、第六文明人(地球人が6番目に遭遇した知的異星人)が繁栄していた。高度な科学文明を持つ彼らは、精神エネルギーの利用を考えていた。精神エネルギーを物質エネルギーに転化する金属・イデオナイトを開発し、それをとり入れた巨大な乗物−−イデオンとソロシップを建造したのである。
しかし、このシステムの力は、第六文明人の想像を超えるものだった。実験的にはコントロールできたが、数億に及ぶ第六文明人の意志を結集した時、爆発的に始動してしまったのである。
精神エネルギーによる「意志の場」を作ることにとどまらず、第六文明人すべての意志を吸収しつくしたのだ。こうして誕生したのが”イデ”である。”イデ”ができた時、”イデ”本体は自身のパワーを知らなかったために、第六文明人を滅ぼしてしまったともいえる。
そして、”イデ”と、それにともなうイデオン、ソロシップだけが残った。イデオンが全高100メートル以上というスケールなのは、第六文明人の体格が人間の2、3倍だったからと考えられる。 第六文明人は、精神的にも肉体的にも”巨人”だったのだ。
第六文明人の滅亡は、地球人とバッフ・クランの創造につながった。”イデ”は第六文明人の残滓である有機体を、双方の惑星に埋め込んだのだ。それが人類に進化するためには、億単位の歳月が必要だった。その間”イデ”はソロ星の地底で、自分を正しく使用してくれる人類を待っていたのである。このため、地球本星とバッフ・クラン本星は、ソロ星を中心にほぼ等位置にあるわけだ。(THE IDEON
映画パンフレット)
イデ伝説 −バッフ・クランの英雄譚−
−−むかし、バッフ星は女王によって平和に治められていた。ところが、9つの頭を持つ邪悪な怪獣が現れ、星は次第に荒廃してゆき、バッフ族は食べる物もなくやせ細っていった。女王の恋人(たくましい若者)が怪獣に立ちむかったが、かなうはずもなく、ただくやし涙を流すだけだった。そんな青年の目の前に、天から”イデ”の果実が降ってきた。”イデ”を食べた青年は、不思議な力を得て、再び怪獣に立ちむかった。怪獣は倒され、バッフ星には緑が甦った。青年=英雄は、助けた女王と一緒に、平和に暮らしたという。
だが、英雄が怪獣を倒せなかった時には、怪獣ともども英雄も、星のひとつになってしまう……。
”イデ”は善き力によって目覚める。人と人との和を求めるなら”イデ”は善き力を示し、そうでなければ人を滅ぼす−−。
これが、バッフ・クランに伝わる”イデ”伝説の概要である。同様の「英雄伝説」は、地球にも残っているし、”イデア(理念)”としての音声もあるのだ。第6文明人という共通する遠い過去の記憶が、両星の民族ともに脈々と生き続けていたのである。(THE IDEON
映画パンフレット)
c.ザブングルとは
戦闘メカ ザブングル
主人公:ジロン・アモス
TV:1982.2.6〜1983.1.29 名古屋テレビ系
MOVIE:1983.7.9 松竹系 |
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鉱石ブルーストーンを産出する惑星ゾラ(実は地球)を舞台に、シビリアン(人類)である少年の冒険を描いたロボット・ウエスタン。ジロン・アモスは父の仇の殺し屋ティンプを追い求めていた。運び屋から新型のウォーカーマシン=ザブングルを盗み出したジロンは、いつしか運び屋たちの仲間になる。ティンプを追うジロンは、ふとしたことでゾラの支配者イノセントと争い始め、やがてシビリアンの独立戦争の中心になっていった。
『ガンダム』『イデオン』でシリアス路線を極めた富野はユーモアとギャグ感覚の回復を期し、その通りに富野イメージの払拭に成功する。西部劇をベースにセリフ・パロディを取り入れた本作では、ハンサムでない主人公、ドジな敵の二枚目、二機存在する主役ロボなどパターン破りが続出。またザブングルは後半よりウォーカー・ギャリアに乗り換えられ、いわゆる「2号ロボ」のパターンを作り出した。なお富野は本作より富野由悠季に改名している。(「富野由悠季
全仕事」キネマ旬報社 P344)
イノセントとシビリアン
「ザブングル」の物語で重要な意味を持つのが、このイノセントの存在である。”惑星ゾラと呼ばれている地球”を支配し、ブルーストーンを収集させ、その代わりにウォーカー・マシンやランド・シップを与えるのだ。彼らは聖域と呼ばれるドームに住み、シビリアンたちとは隔絶された世界に生きる。
彼らイノセントは、シビリアンたちの生活を監督し、ゾラに適応し生き抜いていける力を芽ばえさせようとしていたのだ。彼ら自身には、ゾラの大気の中で生きていく力がない。大気中のバクテリアや気温、水分含有量など、どれをとってもイノセントたちには過酷な状態であったのだ。
イノセントは、なぜゾラに居て、どうしてシビリアンたちを監督しているのか?−−−それは、この星が、惑星ゾラと呼ばれている”地球”だからであった。かつて繁栄を誇った地球文明は、あるとき大異変にみまわれ、海面が4000メートルも降下、地軸や地殻にも変動をきたした。月も異常に接近してしまったのだ。その結果、地上は砂漠と荒地が支配する不毛の大地となった。
人々はひとまず宇宙へ逃げ、再び地上へと降り立った。だが、”ゾラ”では人々は生きていけない。人類が”ゾラ”で生きぬくためには、新たなる人類を生み出さねばならなかったのだ。こうして”人類再生計画”が実行された。生体改造によって生み出された新しい人類は、第一段階トラン・トラン、第二段階ハナワン、第三段階シビリアンと、徐々に完成に近づいていった。シビリアンたちの環境への適応力は十分であったが、彼らには生き抜いてゆくバイタリティが欠落していたのだ。そのためにイノセントは、”三日限りの掟”で弱肉強食の世界を作った。そして、ブルーストーンという大した価値のない鉱石を集めさせ、それによって経済を覚えさせようとしていた。
ジロンの両親を殺したティンプも、シビリアンの間に争いを起こすための”仕掛人”としてイノセントに雇われていたのだ。
イノセントの役目は、シビリアンの自立をはかり、シビリアンにかつての文明を引き継ぐことである。そのためにドームの中には、かつての文化遺産が数多く保存されているのだ。(ザブングル
映画パンフレット)
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