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2章 「ガンダム、イデオン、ザブングルの世界」と、「聖書の世界」の相関

   1.概 観

 いよいよ、本題中の本題に入っていこう。各々の相関関係を表にまとめると次のようになる。 

テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
ガンダム・シリーズ ガンダム ガンキャノン ガンタンク
エデンの園 アダム イブ(エバ) 天使
聖書 創世記 アダム ノア アブラハム
アブラハム以後三代 アブラハム イサク ヤコブ
第一から第三のアダム アダム イエス・キリスト 再臨のイエス
聖書的人類史の解釈 創 造 堕 落 復帰・回帰

表−2 相関の概観

 横列は、一般に一つの「テーマ」として知られているが、縦列は色分け毎に相関していることを表している。
 それでは順に解説していこう。

  

   2.タイトルの相関

    a.ガンダム


 先ず「ガンダム」と「アダム」の名前の相関からみてみよう。
 ガンダムというロボットの名前がどのような経緯から出てきたのか、幾つかの本に書いてある。

 記録全集1(日本サンライズ刊)に収録された設定書・原案には「1978年11月14日新企画ガンボーイとして/1978年12月1日新企画ガンボイとして改稿」との記述がある。この企画メモは、その前段階に富野監督が書いたものと推察される。(氷川竜介・藤津亮太 編「ガンダムの現場から」キネマ旬報社 P12)

 機動歩兵をもじって「機動戦士」。「小銃を持つロボット」というコンセプトと、少年たちが操縦するということから「ガン+ボーイ」で「ガンボーイ」。後にこのネーミングは、企画時の仮称『フリーダム・ファイター』の「ダム」を採って『ガンダム』と改められた。(「富野由悠季 全仕事」キネマ旬報社 P304)

 ここから分かることは、「ガン+ダム」或いは「ガン+ボーイ」だということだ。ここから導き出されるのが、「ダム=ボーイ」。これをふまえたうえで導かれるのが、一般的でもある「ボーイ=アダム」そして、「ガン+ダム」=「ガンアダム」=「ガンダム」である。
 数式風にすると、


「ガン+ダム」=「ガン+ボーイ」
「ダム」=「ボーイ」
「ボーイ」=「アダム」
「ガン+ボーイ」=「ガン+ダム」=「ガンアダム
      =「ガンダム

 このことから、「ガンダム」とは「小銃を持つ男子・アダム」とも言えよう。


     
b.イデオン

  
音韻の相関

 「イデオン」の名前と相関するのが、「イブ・エバ」「ノア」「イサク」「イエス」などである。
 物語では、無限の力を持つとされる神のごとき存在「イデ」が、全ての鍵を握ってくるが、その語源は、ギリシア語のidea(理念・観念)、英語のideal(理想)などから来ているという。このことは、「イデ」を前提・主眼とした「イデオン」であることを示唆していると受け止めることができ、相関として「イデ」=「イブ・エバ」=「ノア」=「イサク」=「イエス」となる。
 先ず、単純に音韻が似ていると言えよう。

  
イブ・エバ(女性・母)

 「イデオン」=「イデ」=「イブ・エバ(女性・母)」に関連した富野監督の発言が残っている。

 『イデオン』は企画改訂稿の段階では『スペースランナウェイ ガンドロワ』というタイトルであり、80年1月30日に『宇宙脱出 イデオン』に変更されている。(中島紳介・斎藤良一・永島收「イデオンという伝説」太田出版 P246)

 −−企画段階ではバッフ・クランの根拠地である『ガンドロワ』という、ある意味で父性的なものを象徴するようなタイトルだったのが、最終的に『イデオン』という母性的なものに変更されていますよね。それは何か理由があったんですか?
 富野  理由はないです。その当時の認識、自分の中での認識とか言葉の感性で、やっぱりイデを目指しているんだから『イデオン』しかないし、イデを乗せてるものかもしれないから『イデオン』しかないと。その言葉が女性的な感性を持った言葉かどうかという皮膚感までには、あの年齢のときには僕は達していませんでした。今、そのお話は僕にはとてもよく分かる話で、そうなんだよって答えられます。恐らく、ギリシア語でいわれているイデという発音もそうだし、英語でいわれているイデという発音もそうなんだろうけれども、それはひどく母性的に聞こえてくる音の組合せなんでしょうね。それにイデオロギーの、ロゴスが加わったときに、人というのは狂った。(中島紳介・斎藤良一・永島收「イデオンという伝説」太田出版 P246)

  
「神」

 「伝説巨神」であるが、普通ならば「巨人」となるところを、あえて「巨神」と設定されているのは、やはりその物語を語るうえで「神」或いは「神性」などが、意識圏にあったことを伺わせる。
 余談だが「神」について言えば、富野監督の手による、1977年放送の「無敵超人ザンボット 3」では、主人公とその仲間は「神(ジン)ファミリー」と呼ばれ、それぞれ「神」「神江」「神北」といった。
 ちなみに、日本には実際「神(ジン)」という姓はある。


     
c.ザブングル

 「ガンダム」「イデオン」と見てきたが、そこにはある意味で「表−2」の相関があった。よって、三番目の「ザブングル」にも相関が見られるのではないかと思うかも知れないが、実は、ここには相関は見られない。
 「−タンク」「天使(エンジェル・エンゼル)」「アブラハム」「ヤコブ」全然相関していない!
 ということで、次に進もう。


   3.ストーリーの相関

     a.ガンダム

 ガンダムのストーリーの大綱は、連邦軍がジオン公国の反乱、侵攻を鎮圧するまでの一年間の物語と言える。
 一方、旧約聖書のアダムを中心とした記述の大綱は、神が宇宙や大地を創造された後、アダムを創造されたが、平和だった彼らの前に突然ヘビが現れ、愛の園をだいなしにするというものだ。
 ここまでは、ほぼ同系列・同形態と言えよう。しかし、ガンダムの方は一年で、それなりに平和を取り戻してゆくが、アダムの方は悲しいかな、以後数千年に亘る、いきどうりと悲しみの歴史のスタートになる。これは相異点のようにも見えるのだが、ご存じの通りガンダムの物語は、ファースト・ガンダム(一年戦争)以後も綿々と戦いが繰り返され、いよいよアダム以後の人類史と一致することとなる。

     b.イデオン

 イデオンのストーリーの大綱は、宇宙の一角で、500万光年も離れた二つの星の人類が出会い、そして、すれ違い争い、最後には全ての人類が滅亡するが、彼らの魂・霊性は新たな生命の起源となって転生してゆく、というものだ。聖書における相関者は、「イブ・エバ」「ノア」「イサク」「イエス」「堕落」などだった。
 順に見てゆこう。


  イブ・エバとイデオン

 イブは女性であり母である。イデオンの物語の中で全てのキーを握っていたのが女性たちであった。
 ハルルとカララは姉妹である。父は、主人公たちとイデオンを執拗に追う軍の総司令だ。姉ハルルは父と行動を共にし、妹カララは理想主義者で、あえて父らとは、たもとを分かち異星人である主人公らと共に行動する。彼女らバッフ・クランには
「イデの伝説」(前述)があったがカララは、その伝説をポジティブに解釈しようとしていたからだ。
 カララは異星人とのあいだに子をもうけるが、父姉は妬み、嫉妬し姉がその手で妹の命を絶つ。
 おなかの子には「伝説の救世主の名」として「メシア」と名付けられたが、もし生き続けたら必ずや両人類のよき指導者、司となっていただろう。これが決定的な運命の命脈を絶つ結果となった。
 要するに、一つの家族の姉妹の不和が二つの人類の滅亡を招いたということだ。非常に辛く悲しい出来事である。

  ノアとイデオン

 ノアは「ノアの大洪水」として有名である。聖書では「(箱舟に入ったもの以外)わたしの造ったすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります。」(創世記7/4)とある。では、その大洪水がどうして起きるようになったのか。「世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ちた。」(創世記6/11)と聖書にある。言うまでもなくイデオンの大綱がダブって見える。

  イサクとイデオン

 心理面での相関が見られるようだ。緊張感、切迫感、焦燥感。暗く重い雰囲気である。
 アブラハムは、当時一人息子だったイサクを自分の手であやめ、神への生け贄にしようとした。聖書のイサクに関する記述では最も大きな出来事と言えよう。
 これはイエス・キリストの場合にもあてはまる。


  イエス・キリストとイデオン

 上記の面の相関に加えて、二つの伝説・予言の存在という点でも相関が見られる。
 聖書ではイエス・キリストが十字架に掛かることを予言するかのような記述と、十字架に掛からないことを予言しているかのような記述の二つのグループの予言がある(これは聖書解釈の問題なので、いろんな論議があるが)。
 バッフ・クランには
「イデの伝説」(前述)が伝わっていたが、彼らは、その伝説と目の前のイデオンを直結することができず、負の予言が成就することとなる。
 聖書でも、ユダヤ教徒は旧約聖書で預言(予言)されていたメシアが、目の前の青年のことだと結びつけることができず、負の預言(予言)の方が成就したと言える。
 更に言えば、イデオンの物語で重要な鍵を握った子供を「伝説の救世主の名」として「メシア」と名付けるシーンがあり、直接イエス・キリストと結びついてもいた。
 最後は、悲しいかな、どちらも「」がクライマックスを飾るが、どちらも、それが全ての終わりとはならず、かえって「生」への復活・再生へと転換する。


     c.ザブングル

 ザブングルには他にない特徴的な面が幾つかあった。

  ・二機存在する主役ロボ。(ザブングルが二機存在した)
  ・主役ロボの交代。いわゆる「2号ロボ」のパターンの創出。(ザブングルからウォーカー・ギャリアへ)
  ・富野アニメでは珍しくハッピーエンド
  ・富野監督は本作より富野由悠季に改名している。

 これらはアブラハムや特にヤコブに見られる特徴と一致している。
 アダムやノアは、その息子の代までで詳細な記述・叙述が途切れ、次の時代へジャンプするが、アブラハムの時は、イサク、ヤコブと三代までの出来事が色々書かれている。しかも、聖書での大きなネームバリューである「イスラエル」という名がヤコブと天使の格闘の後、与えられ、その足で兄エサウとの劇的な感動の再会の場面へ向かっている。
 アブラハムは元々はアブラムといい、イサクはイスラエルへと共に改名される。
 これらのことは、上述したザブングルの特徴と相関しているように思える。
 アダムとイブは天使にそそのかされて堕落したと言えるが、ヤコブは天使との格闘に勝ったと言える。そしてイスラエルという名を頂いた。これは重要なのではなかろうか。表−2にも記したが、もう一度、三つのアニメとあわせて見ておこう。

テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
ガンダム・シリーズ ガンダム ガンキャノン ガンタンク
エデンの園 アダム イブ(エバ) 天使
聖書 創世記 アダム ノア アブラハム
アブラハム以後三代 アブラハム イサク ヤコブ
第一から第三のアダム アダム イエス・キリスト 再臨のイエス
聖書的人類史の解釈 創 造 堕 落 復帰・回帰
ザブングル・三段階の人類 トラン・トラン ハナワン シビリアン

表−3 相関の概観+ザブングル・三段階の人類

 重要なのは、第三段階である。その部分のキーワードは「勝利」「逆境からの帰還・挽回」などだ。
 聖書では度々、アブラハム、イサク、ヤコブとセットで記述されたが、これはザブングルのストーリーにある
三段階の人類の再創造とその成功を垣間見る。
 これは次に見る「メ カの相関」や「アニメ メシア予言」とも直結する重要なポイントとなる。



   4.メ カの相関

 先ず、結論から表で記しておこう。

テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
ガンダム・シリーズ ガンダム ガンキャノン ガンタンク
エデンの園 アダム イブ(エバ) 天使
一年戦争 ガンダム シャア専用機
(ザク、ズゴック、ゲルググ)
エルメス
ジオング


表−4 メ カの相関


     a.ガンキャノン

  


 ガンダム・シリーズの一機であるガンキャノンが、どうして第二段階に含まれるのか。理由としては、

  ・一般に女性を象徴する赤色が機体色である。
  ・いつも、ガンダムを後ろから補佐する、よき女房役である。
  ・機体形状、及び配色が第二段階のイデオンと相関している。

     b.ガンタンク


 では、ガンタンクがどうして第三段階に含まれるのか。ガンタンクは特にザブングルに似ているわけでもなく、天使のような姿というわけでもない。しかし、聖書には次のようなことが書いてある。

 「主なる神は
へびに言われた、「おまえは、この事を、したので、すべての家畜、すべての獣のうち、最ものろわれる。おまえは腹で、這いあるき、一生、ちりを食べるであろう。…」」(創世記3/14)

 実は、聖書には「神の創造と、人の堕落と、その回復」の三大テーマが書かれていると言えるが、エデンの園ではその内、創造と、堕落が展開した。
 しかるに、ガンダム・シリーズの三機はそれをも象徴するから三段階目のガンタンクは、善としての創造本来の天使の姿と、同時に、悪の姿に変質したへびの姿をも表すと言える。
 下記の表のように、ガンダムは「創造から堕落の経過」の部分に該当するから、丁度、ガンタンクはその部分を典型的に表現していたとも言えよう。

テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
ガンダム・シリーズ ガンダム ガンキャノン ガンタンク
エデンの園 アダム イブ(エバ) 天使
聖書的人類史の解釈 創 造 堕 落 回 帰
聖書的人類史の解釈(2) 創造から堕落 堕落から回帰 回帰からその完了


表−5 
期間としての聖書的人類史の解釈

     c.エルメスとジオング

 聖書には、平和で幸福なはずのアダム、イブ(エバ)、天使(へび)の三者が、堕落を転機として、気まずいギスギスした関係に陥った事が書かれている。

 「神は言われた、「…食べるなと、命じておいた木から、あなたは取って食べたのか」。人(アダム)は答えた、「わたしと一緒にしてくださったあの女(イブ(エバ))が、木から取ってくれたので、わたしは食べたのです」。そこで神は女に言われた、「あなたは、なんということをしたのです」。女は答えた、「へびがわたしをだましたのです…」。」(創世記3/11〜13)

 このことは、ガンダムの物語で、ガンダム・シリーズ三機、対、シャア専用機(ザク、ズゴック、ゲルググ)、エルメス、ジオングという構図で表現されている。
 尚且つ、第二段階目は、第一段階目にも第三段階目にも接するので、下記のように表される。

テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
ガンダム・シリーズ ガンダム ガンキャノン ガンタンク
第一段階+第二段階 ガンダム
ガンキャノン(C-108)
ガンタンク(C-109)
 
第二段階+第三段階   シャア専用機
(ザク、ズゴック、ゲルググ)
エルメス
ジオング


表−6 

 ここでのポイントは、ガンタンクは映画版において、エルメスやジオングが登場する頃には姿を消しガンキャノン・C−109に、あたかも姿を変えたように描かれた。要するに、ガンキャノンが二機となっている。
 一方、ジオン側は、赤いモビル・スーツとして第二段階に対応したシャア専用機(ザク、ズゴック、ゲルググ)と、ガンタンクが姿を消す頃現れるエルメスとジオングが、対抗した。
 表−4の通り、エルメスとジオングは第三段階に対応するから、ガンタンクや天使、ヘビに対応するはずである。



 エルメスには、一年戦争に投入された機体には珍しく、羽根があり、加えて、天使のように飛び回るビットがある。エルメスは、より天使の要素を残した機体と言えよう。
 更には、パイロットのララァも清廉潔白な天使のような少女だった。ジオンの兵士といえば、どこぞの野郎というのが定番だったから、紅一点と言えよう。


               

 エルメスに、天使の要素があるのに対して、ジオングには天使の堕落した姿とされたヘビ(サタン)の要素がある。
 それはガンタンクの姿と相似する。遠くから見たら、同じに見えるのではなかろうか。

   ・下半身(足)がない。
   ・指が武器になっている。
   ・機体色が似ている。

 ではどうして、ガンタンクには本来の天使の要素が見られないのかである。これは謎と言える。
 しかし、同じ三段階に属するザブングル、ウォーカー・ギャリア(見えにくいが、背中に回転翼がある。)には羽根があり、ガンダムやイデオンにはない。


   


     
d.まとめ

 ここから言えることは、エデンの園の天使は、元々ヘビになる可能性があった。それがガンタンクの姿で表され、人が堕落する時、いよいよヘビとなった。それはジオングの最後の戦いで表された。しかし、そのヘビも最終的には天使に帰る。それが、ザブングルやウォーカー・ギャリアの姿で表されたのではなかろうか。
 これらを、三つの言葉でいえば、「創造」、「堕落」、「回帰」となる。

テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
ガンダム・シリーズ ガンダム ガンキャノン ガンタンク
エデンの園 アダム イブ(エバ) 天使
聖書的人類史の解釈 創 造 堕 落 回 帰


表−7

 



   5.エンディング テーマの相関

 三つのアニメのエンディングテーマには、上記の「創造」、「堕落」、「回帰」が典型的な形で相関している。ある意味では、この相関は一つの重要なポイントと言える。
 表にすると次のようになる。


テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
エンディング・テーマソング
(映画版テーマソング)
永遠にアムロ コスモスに君と
(セーリング・フライ)
(海に陽に)
乾いた大地
聖書の人物 アダム ノア アブラハム
イサク
ヤコブ
聖書的人類史の解釈 創 造 堕 落 回 帰


表−8 エンディング テーマの相関



     a.ガンダム


 永遠にアムロ

  作詞 井荻 麟 ※
  作曲 渡辺岳夫
  編曲 松山祐士
  歌  池田 鴻


 1.アムロ ふりむかないで
   宇宙のかなたに 輝く星は
   アムロ 
おまえの生まれた ふるさと
   おぼえているかい 少年の日のことを
  
 あたたかい ぬくもりの中で目覚めた朝
   アムロ ふりむくなアムロ
   男は涙をみせぬもの みせぬもの
   ただ明日へと 明日へと 永遠に








2.アムロ ふりむかないで
  宇宙のはてに きらめく星は
  アムロ おまえがすてた ふるさとだ
  
忘れはしない 少年の日の誓いを
  青春をかけ守りぬけ
 このしあわせを
  アムロ ふりむくなアムロ
  男はさびしさ隠すもの 隠すもの
  ただ明日へと 明日へと 永遠に

※ 「井荻 麟」は、富野監督のペンネーム

 ここで重要な部分が二つ目につく。
 一つ目は、一番の「
おまえの生まれた ふるさと」「あたたかい ぬくもりの中で目覚めた朝」これらからは、見事にエデンの園でアダムが創造された場面を思いださせる。
 二つ目は、二番の「
忘れはしない 少年の日の誓いを 青春をかけ守りぬけ」ここからは、禁断の果実を食べないという神との約束を思い出させる。
 この曲は、一番と二番で「
創造」をテーマにしているようだ。
 付言すれば、「ふりむくな」「涙」「さびしさ」などは、むしろ次に見る「堕落」を示唆する要素だが、ガンタンク同様、第二段階の「堕落」への悲しい予兆とも言える。
 この予兆は、次に見るイデオン、ザブングルのエンディングテーマにも見られ、著者は予兆・予知・予言が全てのキーワードではないかとまで捉えている。これについては、再度、考えることにする。


     b.イデオン


 コスモスに君と
 
作詞 井荻 麟
  作曲 すぎやま こういち
  歌  戸田恵子


 1.たった一つの 星にすてられ
   終わりない旅 君と歩むと
   いつくしみ ふと 分けあって
   傷をなめあう 道化芝居
   コスモスそらを かけぬけて
   祈りを今 君のもとへ
   コスモスそらを かけぬけて
   祈りを今 君のもとへ







 2.別れてみたら きっと楽だよ
   すりへらす日々 君はいらない
   おもいやり ふと あげてみる
   涙がかれた 乾いた肌に
   コスモスそらを かけぬけて
   祈りを今 君のもとへ
   コスモスそらを かけぬけて
   祈りを今 君のもとへ







 3.死んだ後でも いつか見つかる
   生き続けたら 君は悲しい
   愛しあい ふと ふれあって
   思い出だけに とじこめてみる
   コスモスそらを かけぬけて
   祈りを今 君のもとへ
   コスモスそらを かけぬけて
   祈りを今 君のもとへ


 ここで気が付くことは、二段階目なので「堕落」や「ノア」などに関する歌詞が曲の中にあると予想されるのだが、見た通りほとんど無い。たしかに、悲しげであり重苦しい感じはあるが、それだけでは話しにならない。そこで、助っ人を捜すわけだが、それがマイナーなものでもあまり意味がない。
 実はその役割を担うものが、映画版イデオンのテーマソング「セーリング・フライ」と、「海に陽に」である。
 なぜTV版に相関がなくて、映画版にあったのか。これは謎の一つである。


 セーリング・フライ
 
作詞 井荻 麟
  作曲・編曲 すぎやま こういち
  歌  水原明子


 1.
あこがれだけに まどわされたり
   つらさのがれの 逃げ道にして
   行ってはいけない メフィストのくに
   ばら色の唇が 君をまよわせて

   flying now flying now

   なにも思わず 心ふさいで
   生まれでる 君ならば
   忍び恋のように
   スペース・ランナウェイ スペース・ランナウェイ
   月と星のなかを スペース・ランナウェイ
   セーリング・フライ






 2.どうして人は 生きてゆくのか
   死にゆくためと あきらめきれず
   狩人のように そらかけぬける
   
ばら色の唇が 傷口をなめて
   flying now flying now

   のびやかな手が からだうけとめ
   さそうなら とんでみる
   忍び恋のように
   スペース・ランナウェイ スペース・ランナウェイ
   数えきれぬ星よ スペース・ランナウェイ
   セーリング・フライ

 古代オリエント地域の神話は、旧約聖書 創世記の編纂に多大な影響を与えたと言われる。そこでは、人類始祖が堕天使と性交渉を行うことで堕落したと伝えられている。「…ばら色の唇が 君をまよわせて」「ばら色の唇が 傷口をなめて」らは、それを表しているようだ。
 「
あこがれだけに まどわされたり つらさのがれの 逃げ道にして 行ってはいけない メフィストのくに」であるが、ここでは「メフィスト」がキーを握っているように見える。
 調べてみると、案の定、次のような事実が発見された。

 
メフィストフェレス Mephistopheles
 この堕天した大天使は弁舌に優れたエチケットの達人である。いくつかの物語においてメフィストフェレス(光を嫌う者)は
ルシフェル(サタン)の代理人(中略)悪魔である。(ジョン・ロナー「天使の事典」柏書房 P250〜251)

  この曲の「ノア」との関係だが、一点だけ発見できる。
 タイトルにある「セーリング」と言えば「セーリング・シップ=帆船」である。ノアの箱舟に通じそうだ。
 「ノアの箱舟」「ノアの大洪水」とイデオンのテーマソングの相関を考えるとき、もう一つの映画版イデオンの曲を挙げる必要があろう。



 海に陽に
 
作詞 井荻 麟
  作曲・編曲 すぎやま こういち
  歌  水原明子


 1.キャルメロ色の重さから
   ブルーの色をはえさせて
   ふると流れる ときをうつして
   
悲しさ重い深海魚たち
   星の光に似た夜光灯
   
潮の流れの目ざめの色に
   かわる時代のゆらめきうつし
   ねむり疲れた子供たちが
   ねむり疲れた夜をあけさせる






 2.
風と嵐と夜までが
   疲れた眠りはらいのけ
   ふるとすぎゆく ときをうつして
   くら闇おもく寝がえり忘れ
   
たゆたいうずく雲こがね色
   潮の流れのぬくもりがたち
   海の色まで血の色おぼえ

   ねむり疲れた子供たちが
   ねむり疲れた夜をあけさせる


 この曲のキーワードは「深い海」、或いは「陽を遮る厚い雲」ではなかろうか。取りも直さず、それは「ノアの箱舟・大洪水」のキーワードにもなりそうだ。


     c.ザブングル


 乾いた大地

 作詞 井荻   麟
 作曲 馬飼野康二
  歌  串田アキラ


 1.もしも友と呼べるなら
   
許して欲しい あやまちを
   いつかつぐなう時もある

   今日という日はもうないが
   いのちあったら 語ろう真実
   乾いた大地は 心やせさせる
   乾いた大地は 心やせさせる






2.もしも夢があるのなら
  
すてよう今は つらいから
  明日のいのちをつなぐため

  今日という日が消えてゆく
  いのちあったら 語ろう力を
  乾いた大地は 心すさませる
  乾いた大地は 心すさませる






3.もしも愛があるのなら
  
黙って欲しい 今日だけは
  いつか抱き合う 朝焼けに

  今日という日はもうないが
  いのちあったら 語ろうやすらぎ
  乾いた大地は 心こおらせる
  乾いた大地は 心こおらせる


 「創造=アダム」「堕落=ノア」と見てきたから、次は「回帰=アブラハム」が来ると予想できる。そこで、もう一度、前に挙げた基礎知識の内容を思い出してもらいたい。

登場人物 プロフィール・エピソード
アブラハム  ノアから約400年後、11代目の子孫。ある時、神から指示に従って供え物をせよと神託を受けるが、失敗してしまう。このあやまちは、その後、イスラエル民族の400年以上のエジプト苦役によってつぐなうことになる。その後、100歳になって、やっと子を授かるが神はその子を供え物とせよと命じられる。非常な、つらさと切なさにさいなまされながらも、刃物で子のとどめをさそうとする瞬間、神はその心意気・信仰を見られ、子の代わりの供え物を裂いて焼くようにされた。
イサク  上記のように、父アブラハムの手によって殺されそうになった子。
ヤコブ  イサクの子。双子。兄はエサウ。兄弟はある事件によって険悪となり、兄に殺されそうになって、家を飛び出し、母の実家で21年間生活する。その間、兄エサウへの贈り物を準備し帰郷の途に着く。その道すがら天使が現れ、夜明けまで格闘する。そして、次の日、いよいよ帰宅し兄と抱き合って再会を喜んだ。イスラエルとは、ヤコブが天使から賜った名前。


表−9 聖書の登場人物 アブラハム、イサク、ヤコブ


テーマ 第一段階 第二段階 第三段階
三つのアニメ ガンダム イデオン ザブングル
エデンの園 アダム イブ(エバ) 天使
聖書 創世記 アダム ノア アブラハム
アブラハム以後三代 アブラハム イサク ヤコブ
乾いた大地 1番 2番 3番

表−10 アブラハム以後三代とザブングル エンディングテーマの相関


 このエピソードは勿論、聖書に書かれている多くのエピソードの中のごく一部であるが、しかし、代表的なポイントとなるエピソードである。
 一つずつ順に見てゆこう。

 エンディングテーマの1番はアブラハムに対応している。
 許して欲しい あやまちを いつかつぐなう時もある
               ↓
 神から指示に従って供え物をせよと神託を受けるが、
失敗してしまう。このあやまちは、その後、イスラエル民族の400年以上のエジプト苦役によってつぐなうことになる。
 2番はイサクに対応する。
 もしも夢があるのなら すてよう今は つらいから
               ↓
 アブラハムは100歳になって、やっと子イサクを授かるが
神はその子を供え物とせよと命じられる。
 3番はヤコブに対応する。
 黙って欲しい 今日だけは いつか抱き合う 朝焼けに
               ↓
 帰郷の途に着く道すがら
天使が現れ、夜明けまで格闘する。そして、次の日、いよいよ帰宅し兄と抱き合って再会を喜んだ。


 このように、アブラハム以後三代の主な事件と、ザブングル エンディングテーマの1〜3番の歌詞は、丁度相関している。
 うまく歌詞と事件が噛み合っている典型的な相関の部分である。

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