機能ロボット設計の研究


目次

 

1 始めに

2 産業用機能ロボッ

3 機能ロボットの設計過程

4 機能ロボット設計・作成の実際

  4−1 課題の定義

  4−2 課題の機能への展開

  4−3 各機能要素のコンセプト・デザイン

  4−4 各機能要素デザインの選択と全体設計

  4−5 機能ロボットの作成と作動テスト

5 考察と今後の課題

 

付録 センサーとプログラミングの小研究

付録 コンセプト・デザイン・メモ(掲載略)


 

1 始めに

 

   小学6年のときにHONDAのP3を見て、なぜ人のように歩いたり、傾いたりしていてもたてるのかということに興味を持ち、ロボットの2足歩行についての研究をしました。その後いろいろと調べてみると、ロボットにはP3やアシモのように人型をしたもののほかに、より実用的な産業用の機能ロボットがあることがわかりました。今回の研究では、そのような実用的なロボットはどのように考え、設計・製作すればできるのかということを考えたいと思います。


 

2 産業用機能ロボット

 

              ロボットという言葉が始めて使われたのは、1920年で劇作家のカレル・チャペックが書いた劇曲の中で、チェコ語で労働や苦役を意味するROBOTAからロボットを造語したのが始まりのようです。この劇曲の中で使われているようなロボットは、小説や漫画などでは数多く登場しますが、あまり実用化はされていません。前述したP3やASIMOがこの系統にあたると思いますが、現状では人間の動きの真似をすることが精一杯で、実際に労働をしたり人の代わりを勤めたりするところまでにはいたっていません。

一方1960年代から主に工場生産の効率向上のために、産業(機能)ロボットが盛んに製造・使用されるようになりました。これらの産業用のロボットの特徴は、人の姿や動きにはとらわれず最初から人の代わりとして働き、さらに人が行うよりも効率よく仕事をすることを目指して設計開発されているということです。このころのロボットには例えばスポット溶接用ロボットなどがあります。あらかじめ教えられた通りの動きを繰り返す機械と言ってもよく、動きを記憶するためにはIC メモリや磁気テープといった記憶装置が使用されました。

またこのころ、NC(数値制御装置)ということが言われ始めいろいろな工作機械を自動制御することが始まりました。

 

1970年代はロボットの発達年代の第2世代と呼ばれ、ロボットメーカー数も、約120社まで増えます。このころのロボットは、アーク溶接用ロボットなどであり、センサーがついていて作業対象物の状況などに応じて、作業内容を変更することが可能になりました。センサーから入った情報を元に判断し行動する、という知覚と判断能力を持ったロボットといえます。

1980年代は、日本ではロボットの発達年代の第3世代となり、汎用組立ロボットがつくられ、知覚装置、認識装置が向上し、学習機能を備えた知能ロボットとなりました。一方欧米諸国もロボット化に乗り出します。そして1984年に直接駆動ロボット第1号である『アデプト・ワン』を、米国のアデプト・テクノロジー社が開発しました。

これらの産業(機能)ロボットは充分に実用化されており、現代社会のなかで必要不可欠なものになっています。

 

 

3 機能ロボットの設計過程

 

              機能ロボットの特徴は、そのロボットがはたさければならない役割(機能)が明確に定義されていることです。例えば自動車の塗装をするとか、組み立てをするとか、紙を印刷するとか、ネジを造るなどです。それでは実際に機能ロボットを設計するにはどうすればいいのでしょうか? 実際にロボットの設計をする前にその過程について考えてみます。

 

まず課題の定義についてであるがこの定義は明確で疑問のないものなければなりません。そうでなければ本来期待されていたものとは違う機能をもったロボットが出来上がってしまうからです。例えばネジをしめるという課題であればどのような形のネジを、何個、どのような強さで、とぃうような事が明確に定義されている必要があります。与えられた課題の定義が不十分な場合には設計を始める前になるべく正確に誤解のないように最適議する必要があります。

 

課題が明確に定義されれば次のステップはその課題を機能要素へ展開することだと思います。実際の課題は複数の機能の組み合わせによって実現される事が多いと思うのでそれらをなるべく細かく単機能の機能要素に分解する事によって設計をより簡単にする事ができるはずです。例えば絵を書く機械ならば、鉛筆を持つ、書く物を確認する、鉛筆を動かす、絵ができたら紙をどかす、などというように機能要素に分解する事でより具体的なイメージが湧き設計が容易になるのではいかと思います。

 

次に分解された機能要素を実現するためのアイディアをいろいろと出す必要があります。同じ機能を実現するためにもその方法はいろいろあります。最適な設計をするためにはできるだけ多くのアイディアを出すことが重要です。この過程を各機能要素のコンセプト・デザインと呼ぶ事にします。

 

次に各種出たコンセプトデザインから最適なものを選択しなければなりません。選択の基準はその時々で変わってきますが、例えば実現のしやすさとか、実現のための費用とか、機能が確実に動くか、などが基準となります。選択をする場合やその前のコンセプトデザインを行う時には簡単なモデルを作ってよりデザインを具体化することも必要だと思います。実際に物をつくって作動を確認することにより、実現可能性の確認も容易にできるし改良型のアイディアもでてきます。

 

最後に各機能ごとにいくつかのデザインの最終候補を絞り込み、それらを一つのシステム(ロボット)として組み上げます。デザインによっては組み合わせが簡単な場合もありますし、困難あるいは不可能な場合もあります。どうしても組み合わせができない場合は、もう一度デザインの選択に戻って組み合わせ可能なデザインを選びなおす事になります。


以上の流れをまとめると以下のような図にります。

 

1・課題の定義

↓              

2・定義は明確か? 

 Yes 3へ           No 1へ

3・課題の機能への展開

4・展開された機能は十分設計可能か?

Yes 5へ               No 3へ

5・各機能要素のコンセプト・デザイン

6・全ての機能がコンセプトデザインできたか?

Yes 7へ               No 5または3へ

7・各機能要素デザインの選択と全体設計

8・製作可能なデザインがそろっているか?

Yes 9へ No 4、6、7へ

9・各機能要素は組み合わせ可能か?

Yes 10へ             No 4,6,7,8へ

10・実現可能な組み合わせは一種類か?

Yes 12へ             No 11へ

11・最適な組み合わせの決定

 実現可能か、価格、効率、正確さ、耐久性、使い易さ

12・製作

13・機能試験

14・課題は解決されたか?

Yes 15へ             No 2,4,6,8,11へ

15・設計・製作完了


4 機能ロボット設計・作成の実際

 

              ここでは前章で考えた機能ロボットの設計過程にしたがって実際にロボットの設計作成をおこなってみました。

 

  4−1 課題の定義

             

写真のようなコース(縦60センチ、横30センチ)においてティーグラウンドの任意の位置におかれた1個のゴルフボール(直径42.6ミリ、重さ45.9グラム) をグリーン上に載せる ロボットはティーグラウンドおよびグリーンには接触してもよいが池には触れてはいけない。コースの外は平面とし、自由に使用してよい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実際に作成したコースとゴルフボール

 

4−2 課題の機能への展開

 

              与えられた課題を考えやすいように以下のような機能に分解してみます。

 

ボールを見つける F

  ↓      ↓

移動する Ma  移動させる Mb  (持ち上げられるところまで)

   ↓        ↓

→→→→  持ち上げる L    →(打ち出す)

                                                                      (投げる )P

  グリーン上まで移動させる G                                 

                                                                     受け止める C

              降ろす(離す) R

 

○ (F)→Ma/b→L→[G→R]

       ↓

P→[C]

 

4−3 各機能要素のコンセプト・デザイン

 

              各機能要素ごとに自由に機能実現の方法をかんがえてみました。この段階では実現容易性などは考慮しないことにしました(付録のメモを参照)

 

4−4 各機能要素デザインの選択と全体設計

 

              まず前章でいろいろ考えたアイディアを評価し各機能ごとデザインを絞り込んでいきます。まず、ボールを見つける(F)についてはコンピューターによる画像の取り込みや位置発見のためのプログラミングが必要なので今回の研究では自動化・機械化はあきらめ人間によって場所を特定するか、移動させる(Mb)の機能によってティーグラウンド上のどの位置にあっても持ち上げることができるデザインを採用することにしました。次回以降の研究ではこの部分の自動化にも挑戦したいと思います。

 

次に移動する(Ma)機能はどこにボールがあっても対応可能で工作・作成の容易なモーター駆動の車輪による移動を選択します。フレームを作成しクレーンが自由に移動できるデザインは仕掛けが大掛かりになること細かいコントロールが難しいのであきらめました。

また回転・伸縮するアームは工作が難しいのでこれもあきらめました。ただこのデザインはより正確な位置に移動するには向いていると思うので場所を見つける機能の自動化を考える場合時には採用をしたいと思います。

 

次は移動させる(Mb)はガイドを左右から扇を絞る形に決めました。構造が簡単で工作が簡単なのが理由です。単純な回転運動だけでティーグラウンドの中心とグリーンの中心を結んだ線上にボールを移動させることができます。

持ち上げる(L)は一つ前の移動する(させる)工程とグリーン上に移動させる工程との関係で制約をうけます。タイヤによる自走式であれば“はさむ”方法か“すくう“(ブルトーザー方式)方法が便利だし、ガイドによる挟み込み方式では左右からすくいあげる方法が最も簡単に作成することができる。はさむ機能についてはよりデザインを具体化するためにいくつかプロトタイプを作成してみました。左の写真は一例で左右対称のギアによってアームが開閉しアームの先でボールをはさむことができます。

 

打ち出す・投げる(P)、受け止める(C)については今回はゴルフボールが重くグリーンまで届かせることができる安全な装置を思いつかなかったため採用しないことにしました。

 

グリーン上まで移動させる(G)機能は自走式の場合はボールを持ったままコースの周りを移動していくことになります。ボールをもっても安定して走行できるバランスが重要です。ガイドで絞り込む方式ではガイドそのものをレールにしてガイドを傾斜させることでボールを移動させることができるはずです。ボールをグリーン上でとめるためのストッパーをレール上に装着することが必要になると思います。

 

最後に降ろす(離す)(R)機能ですが、はさんで持ち上げた場合はその逆の動作をすることになります。ガイドによってすくいあげた場合はガイドを開くことによってストッパーで固定されたボールをグリーン上に離すことになります。

 

以上の検討により今回は車輪による自走式でアームではさんで持ち上げるタイプとレールを兼ねたガイドで左右からはさみこむタイプの2種類を作成することにしました。


 

4−5 機能ロボットの作成と作動テスト

 

自走アーム式

自走部分はモーターを2個使用することで小回りの効くものが出来上がったが、思ったよりティーが広くアームがかなり長いものが必要になりました。またゴルフボールをしっかりとはさむためには左右から挟みこむだけでは不十分であることもわかりました。そこで左右のアームを水平に開かせるためとボールの挟み込みを3点で支持できるようにスタビライザーを工夫して装着しました。 これのスタビライザーによってアームの安定度が増しボールをしっかり挟むことができるようになりました。また本体部分にはボールの重量とバランスさせるために金属板を装着しています。


 

ガイドレール方式

 

もっともシンプルに課題を解決できる仕組みだと思います。最大の特徴はボールを移動させるものとすくうものと移動させるものが一体化していることです。これによってコントロールしなければならない要素が減少しシンプルでかつ精度の高いものになっています。今回は時間がなくガイドレールのの駆動を自動化させることができませんでしたが、自走アーム式の駆動機構に手を加えることによって、左右から挟む→持ち上げる→左右に開くという三段階の駆動ができると思います。

(今回の実験では駆動は手で行っています。)

 

 

 

 

 

 

 

はさみこと移動

 

 

 

 

 

 

    グリーンへのリリース


 

 

5 まとめ、考察と今後の課題

 

              今回の研究では機能ロボットを設計・作成するために機能展開、展開された機能ごとの設計、その機能要素の選択と組み合わせによる全体設計という過程を考えました。実際に簡単なロボットをその過程に従って設計・作成することにより、この方法を使えば機能ロボットの設計・作成がより簡単にできる事を確かめました。

 

また実際の作成過程では思ったとおりには動かないことがあり、その場合には設計に戻るか、追加部品などの制作上の工夫で解決するかという判断が必要になることもわかりました。

 

実際作成したロボットは自分の技術力が足りないので自動化することはできませんでした。

今後や自分が弱い以下の点を勉強・研究して自分で行動できるロボットの作成をしたいと思います。

 

1)認識のしくみ(センサー、プログラミング)

2)制御(動かす、とめる、連続動作のコントロール)

 


付録 センサーとプログラミングの小研究

 

LEGO社から出ているマインドストームを利用すると、今回の研究では見送った認識のしくみ(センサー、プログラミング)や 制御(動かす、とめる、連続動作のコントロール)についてある程度理解することができます。

 

ここでは小研究としてマインドストームのRCXというコントロールユニット(センサー3系統、モーター3系統のコントロールが可能)とRoboLab(Lego社とMITの共同開発)という簡単なプログラミングのシステムを使って基本的な認識、制御、プログラミングの基礎について勉強します。

 

<基本>

RCXの2つのモーターにタイヤをとりつけシンプルな車を作成。この二つのモーター(Aポート、Bポート)をプログラムやセンサーからの信号(1〜3ポート)でコントロールする。

 

<ぶつかったらとまる>

A,Bポート反時計回りにスピード2 (前進)

1ポートのタッチセンサーが押されるまで継続

 

<床に書かれた黒い線の上を走る>

右にまがる(白になるまで)

左にまがる(黒になるまで)

前進する(白になるまで)

右に曲がる(黒になるまで)

前進する(白になるまで)

 

<感想>

以上の実験によって認識、制御、プログラミングの基礎については理解することができました。今後はこれらの基本の組み合わせによってより応用できる範囲を広げて生きたいと思います。