□ D a y s






* 2004年8月10日

□ お粥

『こちら、田中。応答せよ』
「こちら、ボビー応答したよ」
『中の様子はどうだ』
「人質を取られている模様」
『そうか、そのまま待機して居ろ』
「なんで?」
『後で、応援が来るからな。そのまま動くなよ』
「一歩も動くな、ってことですね」
『そうだ、一歩も動くな』
「お粥は食べて良いですか?」
『ん?』
「……え?」
『今、なんつった』
「お粥を食べて良いかと聞きました」
『なぜ、お粥を持っているんだ』
「お粥が好きだからです」
『もっと集中しろ』
「お粥にですね」
『違う!人質にだ!お粥は何処かにしまっておけ!』

『こちら、田中応答せよ。ボビー』
「はい?もっしー?だれー?」
『え?いや、こちら、田中だが』
「え?田中?あー、高校の時の。久しぶりー」
『あっ、久しぶり』
「え?今、何やってんの」
『今、人質を見張っているのだが』
「へー、何それ。ちょーウケるじゃん」
『あの、ボビーじゃないよな』
「ボビーって何?ねぇ、ミキ、ちょっと来てよー。なんかおもしろいよ、田中」

(え?田中って誰?)
(ほら、高校の時の)
(あー、あのハーフの)
(そうそう)
(あの子、学者になるって言ってなかった)
(え?そうだっけ?)
(で、田中、なんて言ってるの?)
(なんか『ボビーじゃないよね?』だってさ)
(何それー。笑えなーい)
(私って、ボビーじゃないわよね)
(そうそう、ボビーじゃないわ)
(誰よ、ボビーって)
(あんた、田中ってほんとに高校の時の田中なの?)
(え?)
(だって、高校の時の田中ってさ、ボビーって言ったことないわよ)
(そうよね〜、間違い無線機かしら)
(そうよ!絶対そうよ!)
(ヤバイ!私、ちょー普通に喋ってた)
(あんた、ウケるー)
(田中間違いも、ここまで来ると神業だわ)
(そうよ!ちゃんと丁重に断りなさいよ)
(分かったわ。やっぱミキは賢いわ)
(ふふふ)

『あの、ボビー……』
「はいはいはい!ごめんなさいねー」
『ボビーじゃないよな』
「うん、あの、私ね、ボビーじゃないわ」
『えーっと』
「えっとね、田中さんね、多分それ間違い無線機してますよ」
『あー、やっぱり』
「考えてみたら、高校の時の田中はこの世に居ないんだったわ」
『そうですか』
「すいませんね」
『いえいえ、ご迷惑をお掛けしました』
「では、ボビーという人に会えますように」
『あっ、はい、失礼します』

「…こちら、田中応答せよ。ボビー」
『こちら、ボビー応答したよ』
「あの、ボビーすまんな」
『急にどうしたんですか』
「いや、色々あってな。で、人質の様子はどうなってる」
『死にました』
「なんだと!」
『死にました!』
「な、何故だ」
『さあ、それはさすがに僕でも』
「何故、死んだんだ。殺されたのか」
『いや、多分、風邪じゃないですか』
「なんだそれは」
『教官、風邪をご存知なく?』
「知っているが、私が知っているような風邪では死なないのだ」
『…そうですか』
「なぜ、風邪だと思ったんだ」
『風の噂です』

「……。」

『風の噂です!!』

「もういい!(飽きました)」







* 2004年7月23日

□ トレーニング

『おい、腕立て伏せしようぜ』
「なんだよ、急に」
『腕立て伏せしようよ』
「なんでだよ、お前一人でやれよ」
『俺一人?』
「そうだよ、一人でやれよ」
『……お前、変わったな』
「え?」
『昔は違った。お前、昔は違ったな』
「どこがだよ」
『昔は、一緒にビニールやってくれたじゃなか』
「どういうことだよ」
『俺に聞くなよ』
「お前に聞くしかねぇだろ」
『俺に聞けよ』
「だから、聞いてるじゃないか」
『そうか、聞いてたか』
「だから、"一緒にビニールやってくれた"ってどういうことだよ」
『俺が知りたいよ』
「もういいよ」
『……。』
「……。」
『なぁ』
「……。」
『なぁって!』
「なんだよ!」
『お前ってさ、彼女居る?』
「なんだよ、当然」
『いるかって聞いてるんだよ』
「あぁ、まあな」
『いないのか』
「いるよ!まあな、で分かれよ!」
『いるのか。可愛いのか』
「あぁ、まあな」
『まあまあか』
「まあまあじゃねぇよ!まあな、って言っただけだよ。可愛いよ」
『可愛いのか、良かったな』
「なんだよ、お前いないのか」
『いるよ』
「おおー!なんだいるんじゃないか」
『そりゃ、いるよ』
「そうだよな、いるよな。名前、なんて言うんだ?」
『言うのか』
「おう!聞きたいじゃん、そういうの」
『え?とか言うのなしだぞ』
「名前聞いて、え?なんて言わないよ」
『そうだよな』
「そうだよ」
『じゃあ、言うぞ』
「うん」
『‰だよ。』
「……(ん?)」
『だから、‰だよ』
「!!」
『いや、聞いてる?‰だって』
「おう」
『可愛いだろ』
「う、うん、可愛い」
『まだ、付き合って2ヶ月なんだけどさ』
「うん」
『なかなかラブラブなんだよ』
「そ、そうか。なんて呼び合ってるんだ?」
『え?』
「いや、その前になんて発音すればいいんだ」
『まあ、普通はファンタジスタって呼び合ってるな』
「ファンタジスタ?」
『そうだな、もしくは、ファンタジーとかが多いよ』
「……。」
『ファンタジーとかが多いよ』
「……。」
『あれ?』