P波君とS波君

 地震が起こると揺れますね。揺れるものは、理科では「波」として扱われます。地震の揺れも波としてみようとしたときには、特別に「地震波」という名前をつけています。「地が震うときの波」という感じで、地面が海の波のように波打つのです。

しかし、海の波とは違って、地震の時に実際に地面が波打つ様子を見た人は、あまりいません。海の波が1mとか日常茶飯事に見えるのですが、日ごろ感じる地震は目に見えないほど、小さいのです。目に見えないほど、小さいけれど、感じます。

このような地震波を目に見えるようにするために、地震計というものが発明されました。発明したのは、明治になって、お雇い外国人として日本に招かれた人が、地震にびっくりして作ったんです。それから、目に見えるようになりました。紙に記録されるようになって、それを元にしていろいろ調べられました。

今では、地震の波にはP波・S波・レイリー波・ラブ波などがあることがわかってます。そのほか、別の波もあることが知られています。このうち、P波・S波は、もっとも普通に地震の波に含まれています。これを人間にたとえて、ここでは仮にP波君・S波君と呼んでみましょう。

P波君は陸上のスポーツ選手で、足は速くいつも1等です。私には羨ましい人です。私は運動会の徒競走は、負けてばかりで良い思い出がありません。それに対して、S波君は、お相撲さんです。大きくて力持ちですが、陸上選手のように足は速くありません。これも私には羨ましい人で、喧嘩しても、やはり負けてばかりで良い思い出がありません。

P波君とS波君は、ヨーイ・ドンで走り出す事になりました。それで、ちょっと遠くに待っている人と腕相撲するのです。結果がみえてますね。P波君はいつも1等です。先に到着して、腕相撲しますが、これは負けてしまいました。S波君は、2番目に到着しますが、力持ちですので腕相撲は勝ちます。

地震があったときに、最初、ピピピと下から突き上げるような振動を感じ、そのあと、しばらくしてから、ユサユサと大きく横にゆれますが、このピピピがP波君で、ユサユサがS波君というわけです。地震で被害が出るのは、ほとんどの場合、S波のためだと考えられています。力持ちだからです。

ちなみに、P波のPは、Primaryで最初のという意味で、1等賞です。S波のSはSecondaryで2番目という意味で、2等賞です。足の速さで付けられた名前で、力持ちかどうかでつけられたものでないんですね。