●はじめに〜それは月極テーマ掲示板のネタだった
WEBサイト「珍獣の館」では、かつて月極テーマ掲示板というものが存在しました。毎月変わるテーマにそって語り合うための掲示板です。
その時のログは残念ながら公開していませんが、「生まれ変わるとしたら何になりたい?」「好きなお酒はなんですか?」「秋を見つけたら書いてください」「好きなアニメはなんですか?」など、さまざまなテーマで活発な論争が繰り返されました(微妙に誇張された表現)。
読者のみなさんの中には、こう思われる方もいることでしょう。
「メイン掲示板より面白そう。そんな掲示板なら自分も参加したい。なぜやめちゃったの?」
その疑問には、たった一言でお答えできます。
「テーマを決めるのがめんどくさいんです!」
すると、読者のみなさんの中には、こう反論される方もいらっしゃるでしょう。
「そんなの適当に決めればいいだろう」
本気でそう思うのなら、珍獣ではなく、あなたがサイトを立ち上げてやればいいのです。誰もそのことを止める人などいません。ぜひおやりになってください。
そもそも適当とはなにか。
それは「適切であること、要求に対して相当な状態であること」であり、何も考えずにできることではないのです。
よろしいですか、みなさん。WEBサイト「珍獣の館」は普通のサイトではありません。「普通」という言葉を安易に使うのは珍獣としても心苦しいのですが、ここでは、テーマを決めずになんとなく始めてしまった個人サイトという意味くらいにとっておいてください。そういったサイトが悪いといいたいのではありません。珍獣も練習でページを作っていた時代には、そういったテーマのないコンテンツを公開していた時代もあったのです。でも、今はちがいます。現在の「珍獣の館」は、一言では説明しがたい(仮にできてもしたくはない)世界ができあがりつつあるのです!
つまり何が言いたいかともうしますと、月極テーマといえども、何をテーマにしてもいいわけじゃない、ということなのです。
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そのテーマから、「珍獣の館」に「適当」な書き込み込みを予想できること
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それでいて、誰もが「これなら参加できる」という気分になれなくてはならない
月極テーマを決定するにあたり、以上2点は常に念頭におかねばならぬことであります。黄金律といっても過言ではありません。
時々、「お遊びだからいいじゃないか」と軟弱な発言をされる方もいらっしゃいますが、そのような考えは、よそで主張なさってください。
珍獣はここに主張いたします。遊びこそ真剣にやらねばなりません。遊びにすら真剣になれない者が、どうして仕事に真剣になれましょう!(注1)
さて、前置きが長くなってしまいましたが、黄金律にのっとったテーマの選択は、頭で考えるほどやさしいものではありません。やがてネタにつまる日がやってまいります。珍獣がネタにつまっているとき、おともだちがこう言いました。
「たほいやって、掲示板でやれないのかな」
これがすべてのきっかけでした。
注1
ただし、遊びに真剣な人が、仕事も真剣とはかぎりません!
●「たほいや」とはなにか?
「珍獣式たほいやもどき」についてご説明する前に、本家「たほいや」のルールを簡単にご説明しましょう。
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最初に参加者全員でくじを引き、親(リーダー)を決める。
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親は広辞苑を開き、誰も知らないと思われる単語を1点選び出して発表する。
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親は自分が選んだ単語の意味を、誰にも見られないように紙に書く。
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子(親以外の参加者)は、親が選んだ単語のウソの意味を考えて紙に書く。
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親は、ウソの書かれた紙を子から集め、自分が書いた真実の紙を混ぜ、1枚ずつ読み上げる。
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子は親が読み上げたものの中から、真実の意味と思われるものを当てる。
ざっと説明すると、以上のような流れのゲームです。これにもうちょっとゲーム性を加えるために、子は正答と思われるものにチップを賭けて、当たるとチップが増えるというような方法をとるようですが、採点法などについては詳しく説明したページがいくつかありますので、「たほいや」で検索をかけて各自探してみてください。
とりあえず、こことか↓
http://www.asahi-net.or.jp/~RP9H-TKHS/tahoiya.htm
(たぶん、「たほいや」を最初に始めた団体のページだと思うのですが)
すでにお読みいただいたとおり、本家「たほいや」は、それ自体かなり面白いゲームですが、掲示板でやるには少々ルールが複雑すぎ、不向きと言えます。
掲示板には不特定多数の人が訪れます。そもそも、人間とは本来「あわよくば楽しみをわかちあいたい。でも責任を負うのはイヤ」という生き物であり、見も知らぬ不特定多数の人に「参加したい人!」と呼びかけたところで、「やります!」と手をあげる人など、いるわけないのであります。これではリーダーの選択から挫折してしまいます。
それでもやりたいと思ったら、「たったひとりでもできる」ルールになおす必要があります。
●「珍獣式たほいやもどき」の誕生
ところで、本家「たほいや」は正解を当てることに重点のあるゲームですが、そこだけに注目すると、このゲームのおもしろさはわからないと珍獣は考えます。このゲームで最も重要なのは親の役目ではなく、ウソの意味を考える「子」の存在なのです。
想像してください。ウソでいいのだといって、すぐにデタラメとわかるようなことを全員が書いてしまったらどうなるか?
本家「たほいや」は多者択一クイズです。複数の選択肢の中から、たったひとつの正解を選び出すゲームです。なのに、考えずに正解がわかってしまったらどうでしょう?
つまり「たほいや」とは、参加者全員が言葉に対して興味を持ち、ありとあらゆることに興味を持ち、常に知識を求めてさまよっているようでなければ成り立たないゲームなのです。
そこで珍獣は考えました。「珍獣式たほいやもどき」は、正解のないゲームにしようと!
●「珍獣式たほいやもどき」のルール
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親(ここでは珍獣)が、広辞苑または各種外国語の辞書などから、誰も知らないであろう単語を選び出し、「お題」として掲示板で発表する。
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子(ここではWEBサイト「珍獣の館」の読者全員)が、その言葉の意味を考え、掲示板に書き込む(投稿期間は「お題」が発表されてから1週間)。
「珍獣式たほいやもどき」のルールは、たったこれだけです。「珍獣式たほいやもどき」では、子が掲示板に書き込んだ答えのすべてが「正解」であり、そのまま作品として成立するものとなります。いわゆる「正解」である「辞書に出ている意味」は、投稿期間終了時に親から発表されますが、こんなもの(あえて「こんなもの」と言わせていただきます)、発表する必要すらないのであります。
珍獣が考えるに、言葉とは、発音とその意味ではなく、「伝えたい想い」と「それに見合う響き」であります。
人が意味を知らない言葉というのは、いわゆる専門用語のほかに、「伝えたい想い」と「それに見合う響き」の結びつきが薄れた言葉であると考えます。
「珍獣式たほいやもどき」の参加者は、あたえられた言葉の響きから、「それに見合う意味」を必死で考えます。それゆえ、参加者がつむぎだしたウソの意味は「辞書に出ている意味」以上に、言葉として力を持ち、燦然と光を放っているはずです。
そこで、もうひとつだけルールに書き加えることがあるとすれば、
3.子は意味を考えるために辞書を引いてはならない。
の一文を加えるべきかもしれません。
しかし、これについては監視できるシステムがあるわけではなく、紳士協定として暗黙のうちに心のとめておいていただければ幸いです。このゲームに参加している間は、辞書を閉じておくことをお薦めします。
あなたが生きてきたこれまでの記憶、魂にきざまれた人生の記録から、その響きに見合うものを導き出すこと。それが「珍獣式たほいやもどき」の極意であり、この作業に辞書は必要ありません。むしろ、邪魔であるとすら言えます!
●おわりに
たったひとりでもできる「たほいや」として作られた「珍獣式たほいやもどき」のルールですが、ある程度の参加者がいたほうが面白いことも確かです。
「珍獣式たほいやもどき」の作品は、世間一般には「ウソ」と呼ばれるものかもしれませんが、珍獣が思うに、これらはまぎれもない「真実」です。なぜなら、参加者が、自分の人生経験から導き出した「響きに見合う意味」なのですから。
人は自分の生き方を説明するために自叙伝を書きますが、「珍獣式たほいやもどき」の作品は、参加者の魂から生まれるのですから、形を変えた小さな自叙伝なのです。自叙伝を「ウソ」とは言わないはずです(多少の誇張や、より鮮やかに真実をつたえるためのフィクションをわずかに含むとしても)。
作品集を読めばわかりますが、その作品はさまざまな分野にまたがっているでしょう)参加者は珍獣の館の読者さんですから、いくぶん神秘系にかたよっていますが、これもデタラメではなく「真実」を導きだそうとする努力の結果だと考えられます)。
ひとつひとつの作品を単独で読むのはもちろん面白いのですが、こうして各自が自分の世界を持ちよることで、輝きはさらに増してくるのです。
古代人は道と道が交わるところを辻と名付け、辻には神秘の力が宿ると考えました。おそらく、道を通って来る人たちが辻に残す情報が集まり、1+1=2以上の効果を生み出すことを、古代人は経験的に知っていたからにちがいありません。
「珍獣式たほいやもどき」の作品集は、いわばネット世界の辻であります。このページを最後まで読んでしまったあなたの前には、異世界への扉が存在しています。
自分の魂の声に、そしてすれ違う人の魂の声に耳をかたむけてください。扉の鍵は必ずみつかります。
異世界は遠くにあります。
けれど、自分の中にもあります。
それではみなさん「珍獣式たほいやもどき」でお会いしましょう。
2001年12月
珍獣ららむ〜
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