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1月19日、集会をもち岡田さんの話を聞いた。参加は22人。集会では講演・討論の
のち集会アピールを採択。NO!NO!バンドが「花」を演奏して終了した。
以下講演の要約を紹介する。(文責:NO!AWACSの会)
●アフガン戦争の背後にある石油利権
アメリカによる戦争でものすごく多くの人々が死んでいる。その一方で1月21日か
ら東京でアフガン復興支援会議が開かれようとしている。アフガンに爆撃を続けなが
ら復興が語られ、日本がそれを積極的に支援していくという構図だ。
アフガン戦争の背後にあるもの、明らかにその一つに中央アジアのエネルギー資
源への利権があるだろう。98年1月1日付、97年8月30日付の東京新聞をみると
中央アジアには石油天然ガスが豊富にあり、カスピ海周辺の石油埋蔵量は1800億
バレルとされる。この資源をめぐって米・中・欧・ロの争奪戦があり、日本の伊藤忠
も
参加していること、カスピ海からの輸送ルートとして、アフガン・パキスタンを経
由して
インド洋へとパイプラインを引く計画がすでにあったことがわかる。
アメリカはアフガン戦争の開始にあたり、中央アジア各国も含むアフガニスタン周辺
諸国の軍事基地を使用するみかえりとして、これら各国との関係を改善してきた。
アフガン・ゲリラ諸勢力を支援してきたアメリカが、今度はタリバンをつぶすことで巨
大な利権を得ようとしている。今回の戦争はブッシュのいうような「善と悪との戦争」で
はない。この利権のためにさらに何万人ものアフガンの人々が飢え、こごえ、苦しんで
いる。 ブッシュ家とビン・ラディン家が石油ビジネスでつながっていたという報道もあ
る 。朝日新聞2001年9月25日付(夕)によれば、ブッシュが70年代に石油ガス採
掘会社を設立したとき、オサマの長兄が共同出資者となっている。ブッシュはこの会
社から顧問料として年間12万ドル(のち5万ドル)を得ていたという。
中央アジアからアフガニスタンを経由してパキスタンやインドに至るパイプライン建
設が、アフガンの復興の基盤になるという発言もある。この戦争の特徴は、戦争と復
興と利権が、ひとつながりになっていることだ。
●パレスチナ暫定自治の実態
アメリカの9.11事件はパレスチナ人に何をもたらすのだろうか。
昨年9月というのは、2000年9月末にイスラエル右派リクード党の党首シャロン
(現首相)がイスラムの聖地に強引にのりこみ、それに対するパレスチナ人の闘争
が開始されて、1周年の時期に当たる。また1982年9月、イスラエルによるレバ
ノ
ンへの軍事侵攻、そのさいのサブラ・サティーラでの3千人余のパレスチナ難民の
虐殺事件(当時、シャロンは国防相だった)から19周年だった。昨年2月、その強
硬派シャロンが首相となり、これまで以上に和平プロセスはすすまなくなり、パレス
チナ人への弾圧は厳しくなった。
昨年の9・11テロは、アメリカがイスラエルなみになったという印象をもった。
アメリカを頂点とする世界秩序=グローバル化が抱える矛盾のなかでのテロと報
復の連鎖だ。だが、パレスチナの状況はさらにひどいものだ。
現在、イスラエル国内で一般的に売られているイスラエルの地図を見ると、ゴラン
高原もイスラエル領とされている。これがイスラエル側の認識だ。
一方99年のパレスチナ暫定自治の地図では、茶色はイスラエルの自治区、緑色
は行政権はパレスチナだが治安はイスラエル軍という地区であり、1967年以後イ
ス ラエル軍が支配を継続している白色の地域も多い。
暫定自治とはいうものの、面積では約6割が今もイスラエルの軍事占領下にある。
暫定自治区は離れ小島のようにバラバラに存在している。ヨルダン川西岸地区の
各地にあるイスラエルの入植地と、それらを結ぶバイパス道路が、パレスチナの暫
定自治地域を網の目のように囲い、分断していることがわかる。
ガザ地区では、例えばパレスチナ人たちの住むハーン・ユーニスはイスラエルの大
きな入植地に接していて、その境界はコンクリートブロックでおおわれている。そこか
らの銃撃が日常的にある。これらの入植地とイスラエルをむすぶバイパス道路と、ガ
ザ回廊に以前からあった道路が交差する地点で、衝突がよくおきると言われている
。
アブー・グネイムというエルサレムとベツレヘムの間にある山(小高い丘陵地帯)
に、新しいイスラエルの入植地が建設されている。1997年3月から2001年8月に
かけての写真をみると土地が没収され、山が削られ、大地が破壊されて入植地がつ
くられていく過程がよくわかる。(http://www.arij.org/paleye/abughnam/pictures.htm)
このようなイスラエルによる入植地建設が、どれほどパレスチナ人の怒りをかうやり
方なのかわかると思う。
●新たな民衆運動の形成
パレスチナ暫定自治政府のアラファト体制の矛盾も顕在化してきている。かつてのよ
うなPLOを中心とした解放運動は、今はない。イスラエルの軍事占領はひどいが、暫定
自治政府も汚職や人権抑圧、死刑などの問題がある。また、今のパレスチナ人たちの
闘争(インティファーダ)は、大衆的な運動というよりも、テロ攻撃と武装(銃
)の誇示が
突出し、それがイスラエルからの報復攻撃の口実ともなっている。
そのなかで新しいパレスチナの運動の模索もある。例えば「人権と環境のためのパレ
スチナ協会」は、イスラエルによる人権弾圧のみならず、パレスチナ自治政府の人権抑
圧ともたたかっている。
またサーブリーンというパレスチナ人の音楽グループは、演劇や絵画、詩などの文化
運動を行ってきた人々とともに、イスラエル軍の弾圧や戦争によって傷つけられた子ど
もたちの心の問題を考え、いやすための活動を行っている。しかもサーブリーンは、こ
の活動を、女性が積極的に社会参加してゆくための活動でもあると位置づけている。
イスラエル内でも、たとえば「ターユシュ」(アラビア語で“共存”の意味)という団体が
でき、イスラエル国内からガザ地区のパレスチナ人に支援のカンパをおくる活動をはじ
めている。さらに、このグループも含めて複数の運動団体が、兵役を拒否するイスラエ
ルの若い人々の支援も行っている。イスラエルという、社会全体が非常に軍事化された
国家の中で、しかしそうした軍事至上主義それ自体を問い、軍事力では人々の安全は
守ることができないのだと考えはじめた人々の運動だ。
イスラエルは国民皆兵であり、男女とも兵役がある。兵役を担うことが国家による社
会サービスをうける前提となる。62人の高校生が兵役を拒否する事件が昨年8月に
あったが、兵役拒否は処罰される。
パレスチナ人自身が今後どういう社会をつくっていこうとするのか、それと不可分のも
のとしての和平を、どのように具体的に模索するのか、そしてイスラエル人自身が共存
へのとりくみをすすめていくこと、そのような民衆レベルでのイニシアティブの形成と運
動展開が必要であるし、そこに注目したいと思う。
●アメリカの戦争をめぐって
9.11について、「アメリカのグローバリゼーションに対する、世界中で苦しむ人民を
代表した異議申し立てだ」といった趣旨の評価があるが、それは違うと思う。
パ レスチナ人のもとめてきたもの、それをパレスチナ人たちは「正義ある和平」と表
現 している。東エルサレムを首都とするパレスチナの独立国家建設、民族自決、難民
の帰還だ。イスラエルの背後にアメリカがあることをパレスチナ人たちは十二分に知っ
ているけれど、そのアメリカ人を何千人も殺せと主張していたわけではない。
パレスチナの運動体のひとつ、パレスチナ女性同盟は「テロ・虐殺の犠牲者であるパ
レスチナ人はアメリカのテロ犠牲者の悲しみがよくわかる」という趣旨の声明を、
9.11
の直後、その翌日に出している。
ブッシュは「善と悪の戦争」といっているが、その背後には石油利権をめぐる動きがあ
る。アメリカ国内では、アラブ人やイスラム教徒へのハラスメントが増加している。その
一方で、ニューズウィーク誌に載っていた漫画には、アラブ風の服を着た人間に対して
「おまえの生まれた所へ帰れ!」と言うと、その人間が「ニュージャージーへか?」と答
えるというのがあった。このコラムはアメリカ社会の現状をよく示していると思う。
1993年の和平合意以後、イスラエルは周辺アラブ諸国との関係改善をすすめた。さ
らにアラブ諸国がアラブ・ボイコット(イスラエルと取り引きをした企業とは、アラブ諸国
は取り引きをしない、という政策)を実質的に解除したこともあり、イスラエルは他国企
業とのビジネスも拡大していった。和平プロセスは、イスラエルが中東地域でグローバ
ル化するプロセスでもあった。そうした変化は世界中から歓迎されたが、それがパレス
チナにもたらしたのは、非常に危うい暫定自治だけだった。
日本では、テロ対策法制定、自衛艦隊のインド洋派兵(事実上の日本の参戦)、そ
して12月には領海外での「不審船」への発砲と撃沈を「正当防衛」とするなどの動き
があった。1月21日からの国会では有事立法問題がでてくる。様々な法律を改悪しな
がら有事立法化がすすんでいくとみられる。フィリピンでは、米軍が長期にわたる軍事
演習という名目で、「テロ組織」への掃討作戦が展開されはじめている。
このような軍拡と戦争への道ではなく、新たな平和な世界の創造にむけ民衆自身の
イニシアティブによる運動をともにつくりあげていきましょう。
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