韓国 梅香里の反基地運動

12.15 NO!AWACS集会での都裕史さんの話(要約)〜

●はじめに

 私は日本で生れ育った在日2.5世(父は1世、母は2世)です。佐世保で生まれ、今は大阪で
生活しています。インターネット上で韓国の反基地の動きを紹介し、ここ半年は梅香里の動きを
中心に報告しています。私は中学生のころから祖国に行きたいと思っていましたが、28年めに
してやっと韓国を訪問できました。私は日本で韓国の民主化運動に参加してきました。韓国には
今も反共治安立法といえる国家保安法があり、最高刑で死刑で、これによって民主化運動や統
一運動、そして米軍問題は大きく制約を受けています。また、いまだに「民主化された」祖国に自
由往来できない韓国人も存在しています。

 今年は南北統一にむけての動きが高まった年でしたが、日本の植民地支配とその後の米軍統
治と分断は20世紀朝鮮の受難の歴史でした。沖縄差別と同様、日本からはそれがみえないの
ですが韓国からはよくみえます。浜松でAWACS、安保と軍事がみえても他からはなかなかみえ
ないように、日本は平和ボケというよりも豊かさボケの状態だと思います。

●在韓米軍と犯罪・軍事文化

 韓国内には3万7千人の米軍が駐留しその中心は陸軍で、ソウルに司令部があります。
 旧日本軍の基地を中心に全国96ヶ所に米軍専用施設があります。韓米駐屯軍地位協定(S
OFA)は完全な不平等条約です。米軍犯罪、その多くは交通事故ですが、1日平均5件おきて
います(沖縄では1日4件)、この前の殺人犯である米軍に対する判決では売春婦の殺害に対
し6年刑でした。それも、1審8年の刑から「大韓民国の国土防衛に貢献した」という理由で米
軍人の刑を減刑したのです。米軍は韓国で特権をもち、米軍犯罪に対しては殆ど泣きね入りの
状態が続いています。ちょうど沖縄と似通った状態です。
 米軍(軍隊)がいると、そこに必ず犯罪がおきます。現場の兵士は人を殺し、物を壊すことが
仕事です。発想が軍事文化のなかで粗野になりがちです。まじめに暮らしていくという根拠が
兵士には乏しいのです。金がなくなると犯罪をおこすため、米軍は兵士に2週間に1度給料を
わたすようにしています。一度に渡すとすぐに使ってしまう。そして無くなると犯罪を犯すように
なると言うわけです。
 浜松基地の空自広報館を今日案内されて見ましたが、軍事文化に子どもをそめていくところ
です。戦闘機シュミレーションやビデオ映像を通しては、武器を撃つ側から見て、撃たれる側か
らみることができなくなるのです。

●梅香里の米軍基地

 梅香里は京畿道華城郡にあり、ソウルから約60キロほどの村です。陸上射撃場と海上爆撃
場があり、米軍の国際爆撃場としてF15・A10(対戦車攻撃)などが訓練をおこなっています。
1951年に法的根拠もなく設置され拡張されてきました。地上すれすれに爆撃機が飛び、24
時間の爆撃訓練、1週間余の夜間訓練もおこなわれます。
 攻撃機のキーンという騒音は住民に異常なストレスを与えます。人間の神経を破壊し、人間
の中の大切なものを喪失させます。現地・梅香里住民被害対策委員長の全晩奎さんの父は
謎の自殺をしました。全さんは祖父の代からの住居を売り払ってまで闘争を継続し、いまは公
民館の一室を借りて親子5人で生活しながら、13年間孤立無援のたたかいをすすめてきまし
た。地域では家畜の異常分娩、子どもたちの非行率の増加、ストレスによる自殺の増加など
がおきています。なかには米軍の実弾演習で臨月の妻を撃ち殺され、その後に基地の警備
員として雇用を得たが、ストレスと酒で自殺した人もいます。
 住民が眼下にいると、パイロットは緊張感を高めることができる。つまり、梅香里は米軍にと
って爆撃のシュミレーションができるAランクの爆撃場であるというわけです。
 梅香里には砲弾のカラがゴロゴロところがっています。重金属による地域汚染の深刻な問
題もあります。

●梅香里での反基地闘争

 2000年5月8日、米軍機が事故のため爆弾6ケを投下する事件がおきました。韓米の合
同調査団は6月1日「直接被害なし」の報告をおこないました。翌日住民の闘いがはじまり、
今日のビデオにあったように全晩奎さんは基地内に入り、オレンジの旗を引きさいて連行さ
れました。全国から人々が結集し、汎国民対策委が結成され、梅香里での反基地運動がた
かまりました。7月、私も梅香里へ行き、連帯のアピールをしました。そのとき、闘いのビデ
オを見て、約20分に編集してもらって日本語文をつけ配布しています。8月18日に、陸上
の射撃演習と海上での実弾射撃を中止させました。
 9月には機動隊が梅香里への道路を封鎖するなか闘争がおこなわれました。鉄条網をひ
きちぎり、内へと突入した人々もいました。グッズをつくったり、中学生を案内したりする活動
もすすめています。黙認耕作地もあります。ただしその土地は、元々住民のものであったの
を廉価で挑発され、今は逆に賃貸料を支払って工作している状態です。
 韓国では26ヶ月間の徴兵制があり、軍隊から戦闘警察へと派遣され、住民や学生らを強
く弾圧しないと上官にリンチをうけることもあるそうです。けれども機動隊員が運動側にカンパ
をわたすこともあると聞きました。梅香里の管理はロッキード社がおこない、抗議しても米軍
は直接住民の前に出てきません。
 2月、ソウルの米軍基地から漢江へとホルムアルデヒドの流出事件がおき、内部告発され
ました。これまで一度も韓国民に謝罪したことのない米第8軍司令官が、広報官に読ませる
形で謝罪しました。
 朝鮮戦争下、米軍による韓国民の大量虐殺事件(老斤里など)も明らかにされました。
 50年間言えなかったことが言えるようになったのです。米軍は虐殺を認めましたが、上官
の命令によるものではないとしています。
 10年前では考えられなかった韓国民衆によるたたかいが生まれてきています。梅香里の
反基地、ホルムアルデヒド流出事件、朝鮮戦争下での住民虐殺、この3つから、米軍が自
分たちにとってどういうものであるのかが南北統一の流れと一体になってみえてきたのです。
 米国防省は反米感情が高まり、駐屯上のリスクが発生する場合、日本の岩国基地をのこ
し、それ以外から撤退することも視野に入れているといいます。かつて駐留は天国でしたが、
今はいいことがあまりない状況においこまれています。

●地域からの主権の回復とネットワークを

 先日、小樽、函館へ行きました。現地では非核条例運動がすすんでいます。米軍の民間港
への入港を止めようと市民が立ち上がっています。キティホークなどの空母は数十階建ての
ビルの大きさであり、そこに数千人が居住しているわけですから、その入港は1つの基地が
入ってくることなのです。自治体・民間の協力なくして空母は動けないのです。キティホークが
入ると港湾のタグボートのみならず外出用にNTTの専用電話まで使われるのです。日本の
不沈空母化がねらわれ、新ガイドライン下、周辺事態法が制定され、有事立法の準備もすす
んでいます。
 しかし、政府は主権者である住民を恐れています。市民運動のネットワークがこわいのです。
現実は永田町からではなく地方からかわります。非核神戸方式は力を持っています。自治体
が港湾の権限をもつことは米軍の軍事機能をマヒさせることにつながります。防衛庁も気を
使わざるをえません。
 浜松基地の周辺に最近目かくしの白いボードが貼られているのをみました。何をかくそうと
いうのでしょうか。皆さんのねばり強い活動が力です。市民の声を防衛庁は恐れています。
 平和のための市民による主権の回復をめざす具体的な運動と連帯が戦争の道を阻むと思
います。
 米軍基地による環境汚染についていえば、基地内の土壌を採取してみると鉛・PCB・ヒ素
などの汚染があります。日本の基地も同様だと考えられます。
 今自衛隊員はいつ戦場に送られるかもしれないわけです。反戦意識は強いわけですから、
自衛隊員に話し働きかけることも大切です。
 軍隊・基地は基本的に横暴なものです。軍隊は住民を守らない。犯罪は必ずついてくる。
“生まれは偶然、愛は選択、殺人は仕事”これが駐韓米軍の「標語」になっています。軍隊
の発想です。土壌をはじめ環境汚染がすすみます。生命と土を守ることは民衆の権利です。
 日本は軍事大国となっています。侵される側から考える視点が大切です。差別される側か
らみると真相がみえます。アジアの人々は日本人を信用していない。相手の足を踏みなが
ら握手をしているからです。戦後処理をせず心から謝罪をしていません。さらに軍備強化も
すすめています。
 平和を求めて地域ではいつくばって活動している人々とのつながりをつくっていくこと、AW
ACSや空中給油機に反対する人々との交流と信頼関係の形成はできます。
 地獄にむかう「日本丸」という船の進路を変える力をもちましょう。自分たちの子どもたちを
このままこの日本においておくことはできません。“戦争があれば景気がよくなるのに”と飲
み屋でオジサンが平気で語る時代に入りました。
 “テポドン”“拉致”などのマインドコントロールに日本の民衆は馴らされ、異常がすすんでい
るのがみえない。
 この状況に勝つには地域での血のにじむ取りくみがなければと思います。

(文責:NO!AWACSの会)