初稿 2002.11.20
改訂 2003.4.14
私が一昨年から取り組んでいる、行政の電子化の問題点について。
住民基本台帳ネットワークの稼動が話題になっています。政府が大丈夫と言えば言うほど不安が募ります。コンピュータもシステムも人間が作るものですから絶対とか完璧などと言うことはあり得ません。なぜ、大丈夫と言えるのでしょうか。
行政の電子化は、急ぎすぎている
実は、多くの自治体が不安を抱え、セキュリティや費用対効果に疑問を投げかけている中、強行に稼動が開始されてしまったのです。内部での運用に関する規則等は、最終的に自治体に提示されたのは、昨年の7月中旬でした。接続まで半月ほどのことでした。
あまりにも、泥縄的です。
話が違うでしょう
住民基本台帳ネットワークを稼動するためには、個人情報保護法を整備することが条件でした。そして、それは情報を取り扱う省庁や役所・委託業者への規制するものであるはずでした。ところが、法律ができるどころかマスコミ規制など全く見当違いの方向へ行ってしまっています。
また、当初は19省庁の93事務事業にしか情報を利用しないと言うものでしたが、国会を重ねるたびに増え続け、とうとう264事務にまでなってしまいました。今後もなし崩し的に増えることでしょう。
「便利」などと言う言葉で片付けられなくなりつつあります。
便利になる?
引越しの際の届出が簡素化される・全国どこでも住民票が取れる・免許証やパスポート取得に住民票の添付が必要なくなるなど、ことさらにメリットのみを強調されすぎているようです。けれど、居住地以外のところで住民票が必要となることがそんなに頻繁にあるのでしょうか。
戸籍情報はないので、戸籍謄本・抄本は取れません。
住民基本台帳カードとは
メリットを享受できるのは、住民基本台帳カードと言うICカードを持っている場合です。今年の8月には、実用化される予定です。発行は、「任意」ということなので本人が選択可能です。もちろん、有料です。
ICカードには、大量の情報が入れられるので各自治体がそれぞれの行政サービスの利用していいといわれています。このカードには、その人が本人であると言う個人認証のパスワードが入れて本人を確認します。これはキャッシュカードをイメージして頂ければいいと思います。
どんな情報が入るようになるのかは分かりませんが、紛失した場合大変なことになりそうです。大切な情報をたっぷり詰め込んだカードを持ち歩く勇気は、私にはありません。
今後、区で検討していくことになりますが、便利さに踊らされない慎重な運用を訴えていかなければなりません。
指定情報処理機関とは?
住基ネットを管理する、総務省の外郭団体で「地方自治情報センター」というところです。公官庁ではないので、問題があった場合でも情報公開の対象になっていません。今、ここも情報公開の対象にする事が、審議されてはいます。
「地方自治情報センター」が今後管理するのは、住基ネットだけではありません。電子政府を構築するために全国の自治体業務を連結する「総合行政システム」が、2003年に結合されることになっています。(都道府県は、2001年10月に結合済み)そのために、庁内全般にわたって電子化が進められています。このときに導入される住民サービスを利用する際に必要になってくるのが住基カードなわけです。このパスワードの発行は、各自治体ですが管理も「地方自治情報センター」になりそうです。
電子政府が個人情報を一括管理しないと言い切れない
電子化の計画が様々提案されていた中、昨年9月に議会質問をしました。「今のところそれぞれが独立したシステムだから統合されることはない。」という答弁がされました。けれど実際には、両システムの管理者が一緒だと言うことをその時に初めて知ったと言うことです。
莫大な予算を費やして作ったシステムを有効利用するためにシステムを統合していくと言うのは、目に見えています。図らずも、片山大臣が、「住基ネットワークは、電子政府の基盤になる。」と言っていました。なんのことかマスコミも理解していなかったようですが、住基ネットの「氏名・住所・生年月日・性別」以外のものもデータ収集されてしまうことが起こりえます。今、止めなければ大変なことになってしまいます。
ほんとうに、いまさら、なのか
もう、すでに民間に情報なんて流れているんだし、今更たかだか、「氏名・住所・生年月日・性別」程度の情報くらい…、という声も聞きます。ほんとに、そうなんでしょうか。
自治体の持っている個人情報というのは、出生届から始まって、新生児検診・幼稚園・保育園・小学校・中学校と続き、福祉や年金・税金、銀行口座など非常に多岐にわたり、且つデリケートなものも含んでいるからです。
セキュリティも甘いが、モラルはもっと甘い
ネットワーク社会を形成するために最も重要な、情報管理者のモラルが確立されていません。情報漏洩の90%は内部からのものです。法が未整備のままで、罰則規定がありません。この状態で、全国を、ネットワークでつなぐことを危惧しています。
自治体はどこまで責任を取れるのか
住民とのやり取りの最前線は区ですが、市区町村は、都道府県にデータを送ってしまいます。都道府県が「地方自治情報センター」に送るのですが、何か問題が起こったときは抗議する権利は、都道府県にしかありません。それも、賠償を要求するとか、処罰を求めるとか言うものではなく、せいぜい接続を止めるくらいしかできません。ましてや、市区町村では、説明を求めることくらいしか出来ない上に説明を受けられるかどうかも保証されていません。
このような中で、住民のプライバシーを守ることができるとは思えません。2002年6月の議会・9月議会で、区長に参加延期の申し入れをしましたが、2003年4月現在、接続されたままになっています。