差は「ノーサイド精神の有無」



◆中田市長と田中県知事
 長野県の田中康夫知事が五日、議会から不信任をつきつけられた。オール与党の対抗馬を破って当選した同知事と議会側とが、しこりを引きずった果ての結果だ。選挙構図は横浜市の中田宏市長とそっくり。しかし同市長は「中田と田中は名前の通りにまるで正反対」と自信をのぞかせる。市職員や市議のこれまでの市政への感想をまとめると、中田流と田中流の違いが浮かび上がる。

◆選別より融和
 市職員が両者の「決定的な差」として挙げるのが「ノーサイド精神の有無」だ。田中知事は選挙での応援の有無で人を選別。「私の意見を気に入らない人は外国へ行けばいい」とまで明言し物議をかもした。
 一方の中田市長は「ノーサイド派」。当選直後には高秀秀信前市長の応援の先頭に立っていた高梨昌芳横浜商工会議所会頭と面会。最近では高秀ファンであるボクシングチャンピオンの星野敬太郎氏ともエールを交換した。
 「見渡せば自分を応援してくれなかった人ばかり。排除していては市政が成り立たない」というのが中田流全方位外交の理由。「『県民イコール味方。味方以外は県民にあらず』との構図にこだわり続ける田中知事とは対照的」(市幹部)という。加えて周囲は年長者ばかりという、三十七歳の若さが自然と頭を下げられる環境をつくり、融和を加速しているようだ。

◆理想より現実
 長野の場合には「ダム建設の是非」という政策上の争点があり、これが知事不信任につながっている。しかし横浜市の職員や市議は中田流と田中流の「外交姿勢」を重ね合わせ、その違いが不信任まで発展したとみる。
 いわく「ダム建設に代わる地域振興策の立案には関係市町村との協議が不可欠だが、市町村長は知事選ではアンチ田中派。この溝を埋めないままに脱ダムを打ち上げてしまった」(ベテラン市議)との解釈だ。実際、代替振興策への不満はその内容ばかりでなく、「地元自治体の意見が反映されていない」といったプロセスにもぶつけられた。
 中田市長によると、先の市長選のさ中には田中知事サイドから応援の申し出があった。しかし「正論や理屈だけでは人はついてこない。(田中知事は)自分の理想とする首長像とは違う」と固辞したという。
 「敵も大切な市民」と現実路線をとった中田市長と、「県民ならば私の味方であるべきだ」と自らの理想に固執し続ける田中知事とのスタイルはたしかに「正反対」。長野の騒動は市長選後の横浜のあり方を考える上での「反面教師」ともなったようだ。
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媒体 神奈川新聞 掲載日 2002.07.08