平成15年9月10日
経済産業省商務情報政策局消費経済部長発
各経済産業局長及び内閣府沖縄総合事務局長あて

特定商取引に関する法律に基づく指示の内容について

特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という) 。
に基づく指示の内容について、下記のとおり整理したので、今後は、これによることとさ
れたい。

基本的な考え方
(1) 特定商取引法第7条、第14条、第22条、第38条、第46条又は第56条に 基づき過去になされた指示の多くは、当該各条に規定する特定商取引法の各種規制 に違反した事業者(以下「違反事業者」という)に対し、当該違反行為の事実認定に即し、対象となった商品の種類等に限定した形で、違反行為の是正を指示しているものである。これに対して、昨今、指示後に当該指示そのものに係る違反行為は行っていないものの、商品の種類等を変更するなどして、指示に係る違反行為と同様の行為を行っている可能性がある例が見受けられる。このため、違反事業者に対し、当該違反行為そのものの是正に限られることなく、いかなる内容の指示をす
ることができるか等の問い合わせを受けているところである。
(2) 特定商取引法は「特定商取引を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ること」により、購入者等の利益を保護すること等を目的としている(第1条。この法目的に基づき、上記の指示の根拠となる各条においては、訪問)販売等の各取引形態ごとに規定される各種規制に違反し当該各取引形態に係る「取引の公正」及び「購入者又は役務の提供を受ける者」等の利益が害されるおそれがあるときは、主務大臣が、販売業者、役務提供事業者、統括者、勧誘者、連鎖販売業を行う者又は業務提供誘引販売業を行う者(以下「事業者」という)に対し必要な措置をとるべきことを指示することができる」と規定している。
(3) 以上から、上記の各条の規定による指示については、当該各条にそれぞれ規定される訪問販売等の各取引形態に係る「取引の公正」及び「購入者又は役務の提供を受ける者」等の利益が害されるおそれを解消する必要が認められる場合においては、必ずしも商品の種類等につき限定した形で違反行為の是正を指示するだけでなく、主務大臣の判断により相当の措置をとることが認められているものと考えられる。
(4) このような基本的な考え方に基づき、具体的な指示内容については2.のとおりであり、特段の事情がない限り、当該取扱いによることとされたい。

2.具体的な指示内容について

(1) 指示の対象となる行為について
指示の対象となる行為については、特定商取引法及び特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号。以下「施行規則」という。)の各条、各項又は各号に分けて規定される各違反行為の類型ごとに、一の指示内容とする。
 例えば、訪問販売については、特定商取引法及び施行規則において、次のとおり各条、各項又は各号に分けて違反行為の類型が定められているところ、指示の対象となる行為については、かかる違反行為の類型を規定している特定商取引法又は施行規則の条、項又は号ごとに限定して指示するものとする。
氏名等の明示義務(特定商取引法第3条)、
申込時の書面交付義務(特定商取引法第4条)、
契約締結時の書面交付義務(特定商取引法第5条)、
不実告知の禁止(特定商取引法第6条第1項)、
威迫困惑の禁止(特定商取引法第6条第2項)、
債務履行拒否・不当遅延の禁止(特定商取引法第7条第1号)、
故意の事実の不告知の禁止(特定商取引法第7条第2号)、
迷惑勧誘の禁止(特定商取引法第7条第3号、施行規則第7条第1号)、
老人等の判断力不足に乗じた契約締結の禁止(特定商取引法第7条第3号、施行規則第7条第2号)、
契約書面に虚偽記載をさせる行為の禁止(特定商取引法第7条第3号、施行規則第7条第3号)、
道路等で顧客につきまとうこと等の禁止(特定商取引法第7条第3号、施行規則第7条第4号)、
契約の解除を妨げるため商品を消費させる行為の禁止(特定商取引法第7条第3号、施行規則第7条第5号)、
(2) 訪問販売等に係る商品等について
上記(1)に従って各取引形態別の違反行為の類型ごとに限定して指示を行う場合、対象となる商品、権利又は役務については、特段の限定を行わず、包括して指示するものとする。
(3) 広告表示事項、書面記載事項の不備について
広告に表示すべき事項や書面に記載すべき事項に欠落等の不備があることを違反として認定し指示をする場合には、当該違反事業者に対し、すべての必要的な表示事項又は記載事項を適切に満たした広告を表示し又は書面を交付すべきことを包括して指示するものとする。
(4) 不実の告知、故意の不告知の禁止違反における重要事項について
特定商取引法は、訪問販売等に係る売買契約等に関する事項であって、購入者等の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて、不実のことを告げる行為又は故意に事実を告げない行為を禁止している(不実告知の禁止につき、第6条第1項、第21条第1項、第44条第1項。故意の不告知の禁止につき第7条第2号、第22条第2号、第46条第2号。)。また、連鎖販売取引及び業務提供誘引販売取引については、特に、重要事項の細目を各号列記している(第34条第1項及び第2項、第52条第1項)。
これらの規定に基づき不実の告知又は故意の不告知を違反として認定し指示をする場合には、個別の重要事項の内容に限定せず、当該取引形態に係る契約に関する事項であって、購入者等の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実の告知又は故意の不告知をすべきでないことを包括して指示するものとする。連鎖販売取引又は業務提供誘引販売取引についても、上記各条各項において各号列記されている重要事項の細目の別に限定して指示するのでなく、同様に包括して指示するものとする。
(5) 社内、取引先への周知徹底について
勧誘員等が事業活動の一環として行った行為が特定商取引法の規制に違反している場合には、当該違反行為は、当該勧誘員等の属する事業者の行った違反行為として認定されるものである。したがって、事業者に対する指示が、経営幹部のみならず、勧誘員等による行為を含めて対象としていることは、当然のことである。
よって、事業者に対する指示において、指示の内容を社内に周知徹底すべき旨を記す必要はないが、個別の事案に照らし社内等への周知徹底を求めることが必要と認められる場合には、指示と併せて、文書により指導を行うこととする。
(6) 自主行動基準の策定やお客様相談室の設置について
自主行動基準の策定やお客様相談室の設置については、違反行為に係る指示の内容を実現するための具体的な手段と考えられることから、指示の内容には、これらの手段の実施を求めるような内容は記す必要はないが、個別の事案に照らし当該実施を求めることが必要と認められる場合には、指示と併せて、文書により指導を行うこととする。
(7) 指示後における広告、書面の確認について
欠落等の不備のある広告をし、又は不備のある書面を交付した事業者に対する指示については、すべての必要的な表示事項又は記載事項を適切に満たした広告を表示し又は書面を交付すべき旨を指示することとなるが、当該広告や書面の改善の結果につき報告すべきことを求める場合には、指示と併せて、報告徴収等によってこれを行うこととする。