5月下旬

5月29日

 出社直後トヨピーから昨日も格納ミスがあったことを聞かされた。まずいな、ここ暫く毎日のように発生している。

 あろうことか出荷作業管理のサトッチが現場のパートさんに、格納ミスしたのは「馬鹿な社員」の仕業と触れまわっているのをトヨピーが耳にして、ぐうさんに言ってきた。

 荷受け格納の同僚を馬鹿呼わばりするとは何ごとか。ミスしたのはサトッチ、お前と仲の良い番長の可能性大なんだぞ。

 副所長にサトッチの軽口を止めさせるようかけあう。

 「馬鹿な社員」の件でちょっと機嫌が悪かったぐうさんだが、またも娘18才のおとぼけで腹を抱えて笑い転げる結果となった。来週から始まる新規商品が大量に入荷して、その検品を行っていた18才、何やらうずくまって数分程考え込んでいたが、やおら挙手をして
「ぐうさん!」

ぐうさん、
「ん?」

 18才、
「この商品、数が全然足りません」

ぐうさん、彼女の手にしたハンディスキャナーの下面を覗き込む。
(1パレット分の数量しか入れてないやんけ)
彼女の周囲には同じ商品が4パレット分もあるのに。

ぐうさん、
「18才、まわり見たか?」

娘18才、周囲を見まわして、
「あっ」

ぐうさんが頭を叩くふりをすると、娘はわき腹くすぐり攻撃をぐうさんに仕掛けて逃げる。こんな時は素早い。

「だってこのパレットに没頭してたんだもん」
と言いつつ商品の外箱にウサコレの絵を書き始める。

ぐうさん、
「こらこらこらあ、それ商品だっつーの!」

大物だ…。

 
 午後、横浜総合競技場近くの店からレインコート1680着の注文が入る。無いって。そんなに。月末だから在庫薄いんだよね。

 こいつは台湾系の会社が中国本土で作らせて毎月決まった量をEVER GREENという有名な海運会社のコンテナ船で日本へ運んでくる。とても1店舗で1680着という注文には応えることは出来ない。FCと交渉して半分に減らした。が、後がない。頭痛の種が一つ増えた。

 

5月25日

 商品の格納ミスが発端による出荷商品違いが発生した。

 「仏袋」を出すところ、類似商品を出荷してしまった。途中で気付いたが半数の配送車はすでに積み込みを終えて自分の会社へ戻っている。

 急遽正しい商品をピッキングして残っていた車両に持たせて、翌朝の配送の際、ドライバーに交換してもらうことにした。これはドライバーにとってかなりな負担である。

 出荷作業開始前に必ず棚入れされた商品のJANコードチェックを行っているが、それが適当であったことが判明した。

 最大の原因は荷受け格納Gの商品格納ミスだ。

 すぐに「格納した者は番長である」という報告が上がってきた。こういったミスは誰でもありうることなので、番長には何も言わなかった。とは言え、ぐうさん、トヨピーの2人のリーダーに見放された番長には自分から進んで口をきくメンバーもいない。

 表向き涼しい顔でたまに思いついたように格納しては事務所に引きこもる。あんまり現場には出ない、在庫管理も用度しか持たない番長は暇で仕方ないはずなのだが。

 かつて身体が持たないとトヨピーに直訴して用度以外の在庫を外してもらった番長だが、以外なことが返品のパートさん達の間から伝わってきた。

 「これから自分が返品のリーダーになるので、皆従うように」
と誰も決めていないのに彼自身がパートさんに話したことから、何か番長は勝手なシナリオを作って動こうとしているという疑惑が生まれたのだ。

 「仕事でボクはミスをしたことがない」
とパートさんに言って、さすがに彼女は呆れていた。
番長、ミスしてるじゃないか、今回の格納ミスや先週の検品ミス。

 やはり自分は特別という自負が言葉に表れものなのだろう。

5月24日

 センターの始業開始前の朝礼で本社から営業が大挙押し寄せてコンビニ部門は身の置き所がない。通常、コンビニ部門が並ぶ位置に腹の出たおやぢどもが出張って並べない。

 「営業なんか朝礼出るんじゃねえよ」
うちの所長シゲさんが毒づいている。

 人生の敗北者を思わせるその集団は会議のために集まったらしい。まさに会社の足を引っ張っている連中だ。会議なんかいいから売れる商品見つけろよ。

 業務開始時間を過ぎても入荷が少ないので、現場に出るぐうさん以下、たるんだ雰囲気で仕事をする。今のぐうさん以下、在庫管理メンバーは発注頻度を減らしているので入荷量は多くても種類は少ないため検品しやすいはず。

 さっそうと半ケツでチャリに乗って現れた18才、目のやり場に困るぐうさんの横へ来るとまたあくび…。

「ふぉわあああぉ………」

 娘、わざとやってない? 
ぐうさん、
「○ァンケルの検品からな」

娘、
「はっ」
やっと電気のスイッチが入る

 しかしながら今日は休みの同僚年上のパートさんに比べ検品ミスをしない。こちらのパートさんはせっかちで検品は早いがミスだらけ。遅いが確実。検品は正確さが要求されるので娘に軍配が上がる。

 大物だ


 
5月23日

 昨日の帰り間際、西東京センターが神奈川センターへ依頼してきた商品移動の書類に不備があったので、西東京センターへぐうさんが電話を掛けると、電話に出た男はいきなり、

こらっ、外線電話使うんじゃねえよ! 内線で掛け直せ」

呆気に取られたぐうさん、
「…………。」

すると相手はたたみこんできた。

「この野郎、黙ってんじゃねえよ!何とか言えよ」

わかりましたと電話を切ったぐうさん、
(何だこいつ?)

 どうも納得が行かないというよりアドレナリンが身体の
奥底から涌き出てきてややテンポが遅れてブチ切れた。

 再び西東京へ電話する。今度は女子社員が出た。
ぐうさん、
「今さっきの電話に出た奴は誰?」
女子社員、
「うちの所長です」

 今度は神奈川の所長、シゲさんのところへ行って、
「西東京の所長、あの対応はないでしょう。頭にきました」

 シゲさん、
「あいつ、そんなこと言う奴じゃないんだけどなあ」
と言いつつも西東京に電話を掛ける。

 暫く西東京の所長と話していたシゲさん、電話を置くとぐうさんに、
「あいつ自分のセンターのことで虫の居所が悪かったみたい。謝ってたって言ってくれって」

 「そうですか」
とシゲさんには答えたぐうさんではあったが、

俺に直接謝らない限り容赦しない。

5月20日

 この前GWでばたばたしてたと思ったらもう5月下旬だ。仕事自体は閑散期なのだが、身体は楽なものの、取り巻く環境が余りに悪くて気が滅入る。

 大打撃だったのは交通費の支給方法がいきなり変わったこと。これまでは半年分の電車・バスの定期代を前払いで貰っていたが、先月、いきなり紙っ切れ一枚の書類が人事から来て、
「来月から交通費は毎月一律2万円の支給になります」

 しかも一ヶ月置いての支給。半年分の定期ならかなりお得だったのに、一律2万円じゃあぐうさんの場合、8万円の定期を購入するのに6万円も不足する。しかも後払いだから6万円の負担がまるまるのしかかる。

 遠距離通勤している社員は生活成り立たなくなった人もいるんじゃないだろうかねえ。これは会社が現金を確保したいがための方便なんだよね。以前にも給料の締め日をずらして給料一ヶ月支払い、遅らせるなんてこと平気でする会社だから。

 それだけで終わるとは皆思っていないのが不良ベンダーだ。通達も来ていないけど今月分の給料は算定方法が変わるという噂が社内を飛び交っている。良くなる筈はなくて、住宅手当が消滅して一律2万円の減給じゃあないのか? という噂。

 食ってけねえだろ。

 なけなしの薄っぺらい給料で半年分の定期を購入したつけは来月の光熱費その他に来る。今回は来月回しにしたから。

 不良ベンダーの社員は毎月の給料をあてにしちゃいけない。

 


戻る
戻る



5月中旬
5月中旬