9月

 
9月28日

 月末恒例の棚卸である。毎回棚卸は夜遅くまでかかるので憂鬱な一日なのだ。

 しかも朝から出荷作業準備のパートさんが思いっきり不足して棚卸どころではない。あくまで出荷が優先なので午後1時までには出荷作業が行えるよう商品を揃えて流通加工を完了しなければならない。

 ぐうさんは「らいおん丸」の尻尾を引っ張って出荷準備作業へ入る。

「ほぉぉぉ…」

 とある棚へ、へなちょこな声を上げて連れて来られた「らいおん丸」、ぐうさんが商品を集めて「らいおん丸」へ渡すと大あくび一発、流通加工に取り掛かる。

 検品、返品、出荷作業準備と仕事の幅の広い「らいおん丸」、ぐうさんはもとよりセンターにとっても宝のような存だと言うことに気づいている者はぐうさんしかいない。所長でさえ気づかない。

 大概のパートさんは工場で言う単能工(ある一つの作業しかしない)なのだ。

 現状、厳しく人件費の抑制を指示されているセンター側はパートさんの月間出勤日数を制限している。たとえば60人の在籍パートさんがこれまで月曜から土曜日まで稼動するセンターで1日休んでいたのを2日休ませて人件費を浮かそうとすると、これまでの平均出勤パート50人で組み立てていた作業計画を40人で組み直ししなければならなくなる。

 実際はどうか? 組み直しは全く出来ていない。減った10人分の穴は社員が埋めるという旧来の方法から抜けていない。残念ながらシゲ所長からT副所長、担当のhaゲに至るまでだ。

 前回、中途社員の研修がセンターで行われて本社サイド、特に人事がどういう目で中途社員を見ているか、トド課長の話でわかった。

中途社員は働きが悪い(積極的に動かない)
中途社員は元気がない(覇気がない)

 こういった状態に喝を入れる意味で研修を行ったのだろう。

意識を変えろと言いたいのだろう。

 そりゃ確かに正しいことなのだが、結果としては間違っている。

 積極的に動くことと覇気があることは密接な関連性があって、社員が自分の頭で考え、自発的な意思に基づいて仕事をする、人に指図されなくても自分で自律的に行動できる、ということだが、実は自律的に動く社員はいない訳ではない。

 それを単なる叱咤激励や教条主義的に詰め込むといった古いやり方で実現しようとするところに無理がある。むしろ自律的な社員までおかしくなる。

 ぐうさんにしてもいくら「この方法が正しいからこれでやれ」と教えられても、やった結果が自分にとって損だと分かっていればやらない。

 パートさんにしても同じことだ。同じ時給なのに今度はあっちの作業、それが終わったらこっちと振り回されて、それが特定の偏った人だけに指示しているようなら、そのような損な指示に積極的に従うパートさんなどいないのだ。

 じゃあどうすれば自発的にパートさんは動いてくれるのだろうか? 答えは公平に作業を回す環境を作ってあげることだ。パートさんが働きやすい環境を作り上げることが大事なのだが、それを行うべき担当のhaゲはそれが出来ないでいる。

 全くもってhaゲが無能だというには酷な面がある。この問題は順次上の方向へ展開していくからである。haゲが自立的に動けないのはシゲさんやT副所長がhaゲが動ける環境を整えてくれないことに原因の一端はあるし、センターが思うように稼動できないのは本社の支援体制に問題があるといったように、中途採用社員の問題よりも会社の体質に問題があることなのだ。

 行動が生まれうる条件を具体的に作り出すことで、内発的動機に基づいた動きをつくり出せるようにする。このパラダイム転換なしに、社員が本当にいきいきと自発的に動き出すことなどまずない。

 違った意味でぐうさんと「らいおん丸」は自律的に仕事をしていると言える。出荷準備作業に2人が入っても担当のhaゲの指示を受けることはない。自分たちの判断で返品作業が繁忙になればそちらへ入る、入荷が多くなればそちらへ入るとフレキシブルに動いて無駄がない。皆がこういう動きが出来るようになればセンターは変わるはずだ。けれども不良だからこういった動きができるのが現状であって、つらい現実にどっぷり浸った大半の従業員には無理というものだろう。

 棚卸は定時後にパートさんが帰ってから深夜にかけて再棚卸を社員が行う。在庫マスターの数を合わない商品をひたすら数える作業はとてもつらい。

 皆イライラし、ナイーブなトヨピーなどキレて商品を蹴り始める。ぐうさんだってこんな作業は一刻も早く切り上げて帰りたい。そんなときに元気が出るのは「らいおん丸」からの逐次送られてくる激励のメールだった。

 公私共にとても有難い存在の「らいおん丸」。勿論、ぐうさんが自律的に友達になったのだ。

9月26日

 毎週木曜日はぐうさんが指定休。で「らいおん丸」は火曜日が指定休だった。それが今月から「らいおん丸」も木曜日に変更しているのに気づいた。ちょっと嬉しい。

 午前中はうとうととだらしなくベッドの上にいたが、昼過ぎに相次いで「きち君」と「らいおん丸」のメールで起きる。

 「きち君」、昨日の人事の研修の結果が良好だったことを伝えてくれたが、ぐうさんは会社から阿呆に見られていた方が都合がいい。

 ちょっと格好を付け過ぎたと反省。明日からまっとうな不良社員に戻ることにする。

 一方「らいおん丸」は昼飯の報告から始まって、寝るまでメールのやりとりをしていた。休みの日も身近に「らいおん丸」を感じる。

 週末は夜遅くまでの棚卸が待っている。そろそろ寝ることにしよう。


9月25日

 人事の中途採用社員研修やらがセンターで行われた。よりによってぐうさんの研修時間は仕事より大事な「らいおん丸」とのトークタイムをツブす時間帯になってしまった。これだけでもぐうさんの怒り心頭に達していた。

 さて始まった研修。「きち君」の同僚K君と上司トド課長の二人が交互に研修を進行していったわけだが、冒頭トドが言う。

 中途採用社員は働きが悪い

 中途採用社員は元気がない

 中途採用社員は頭が悪い

 おお、全部ぐうさん当てはまるじゃないか!

 以下人事の説明は分かりきったことの羅列だった。これで2時間半消費。その穴埋めは2時間半の残業となって跳ね返る。

 対部分が中途採用社員で占められるセンター、皆グッタリしているとこへシゲさんの所長会議を踏まえたミーティングを行う。

 皆イライラしてるとこへ発表書類の整理もせずに報告と要望を延々述べるシゲさん、それじゃあわれわれの頭に入らない。焦点がボケちゃって。

 ぐうさんは「らいおん丸」とのトークタイムを潰されたのが気に食わないのでモロに顔に出ている。

 駄目な会社で頑張ったって無駄。

 ぐうさんがこの会社にいるのは時間稼ぎみたいなもの。出世するため全国転勤なんかもっての他。

 この会社で得たものは友人。すべて極悪ベンダーにとって不良ってのが笑える。


9月23日

 季節の変わり目は商品の入れ替えが激しい。コンビニで扱う雑貨ではストッキングや化粧品などの女性向け商品がガラリと入れ替わる。

 入れ替えはすべての店が行うのでそれだけ出荷する数量も多くなる。それに加えてガチャボックスが今週新規で4アイテムも。

 

9月21日

 今夜は弟子の「きち君」とぐうさんと「らいおん丸」の3人で焼肉をつつきに行く約束を一週間前からしていた。

 夕方の「らいおん丸」とのトークタイム、いきなり「らいおん丸」の携帯が鳴る。電話に出た「らいおん丸」、

「あとで掛け直すよ」

 1分もたたないうちにまた電話。

「あとで掛け直すったら」

 その後も電話は鳴り止まず、「らいおん丸」はぐうさんに、
「ちょっと待ってて…」
と言い残し、裏手へ消える。きっと彼氏でも電話してきたのかなと思い、しばし待つ。

 戻ってきた「らいおん丸」は憮然とした表情をしていた。

「どうしたの?」
とたずねるぐうさんに「らいおん丸」は怒りも露わに話し始めた。

 携帯に掛けてきたのはとある配送ドライバー。店からの返品商品を引き揚げてくる配送ドライバーと返品受付を行っている「らいおん丸」だから当然、会話の機会は多い。

 その配送ドライバー、「らいおん丸」を飲みに行かないかと誘ったそうなのだ。しかし今日は「きち君」とぐうさんとの予定があるので断った。いきなり今日飲みに行こうと言われても。

 そうしたら、かのドライバーは、

「断れよ!」

「ぐうさんと俺とどっちが大事なんだ!」

 唖然とした「らいおん丸」であったが、ぐうさんに相談してみるよと言うと

「もういいよ!」

 と言って電話を切ったという。

 それ「らいおん丸」に非常に失礼な身勝手な行為ではないか?どっちが大事などと迫るに至っては、まるで自分の彼女だと決めてかかっているみたいではないか。

 「どうしてあたしが怒られなくちゃいけないの?」

しばらくプリプリしていた「らいおん丸」だったが、そのうち

「ま、そんな人だって分かっちゃったからいいか」

 ぐうさんと「らいおん丸」がトークタイムでいつも話しをしている時間と場所は、かの配送ドライバーも知っているはず。あえてその時間を狙って電話してくるのも挑戦的だ。

 ま、そんなことでせっかくの焼肉パーティを暗くしちゃいけない。早く忘れようっと。

 結果、焼肉パーティは大成功だった。お互いの知り合えなかったことを皆さん知ったのでは。底抜けに明るい「らいおん丸」、主役はあんただ(爆)!

 

  9月16日

 ぐうさんは指定休だったが弟子の「きち」君はしっかり仕事だった。都内の本社では8時10分に朝礼が始まる。毎週月曜日の本社朝礼はまことに評判が悪い。

 特に今日は9時40分まで1時間半も続いたのだから始末に終えない。そんなに長々と何をしているのかと言えば、創業者である会長が愚痴るのである。

 話の内容は整理して話せば5分で終わるほどのもの。それが延々と同じ内容を繰り返し繰り返し何度も…。ただでさえ聞き取りにくい東北弁、話しているうちに感情が高ぶって後半は絶叫に近い。

 これでは秘書の女のコが複数具合が悪くなって退場するのも当たり前だ。

 いつ逝ってもおかしくない超老齢の会長。一代でここまで相応な規模の会社に育て上げたという自負があるのだろう。自分の息子で現社長がふがいないという気持ちもあるのだろう。

 しかし会長は第一線に余りにも長く立ち過ぎた。もっと早くから息子を社長にしておくべきだった。もっと厳しく社長としての教育をしておくべきだった。

 そして会長の取り巻きを切って、息子のブレーンを育てるよう仕向けるべきだった。

 会長は会社を大きくしたが、後継者の育成も、管理職の育成もことごとく失敗した。まっとうな管理職がいかに少ないことかは今、社内で叫ばれている在庫回転率の向上が一向に進展しないことで明らかだ。

 会長、あなたはイエスマンしか置いてこなかったのだ。自負が大きすぎて他人の忠告に耳を貸さなかったのだ。会長のやりかたは経済が右肩上がりの時には通用したが、今ではまったく通用しない。

 イエスマンでは自分で考えようにも、する訓練をしていないのだから直属の部下たる部門長もまた通用しない。

 会長一族以外の大部分の社員に残された道は、今のうちに何がしかの他社へ行っても通用するスキルを磨いておくことだ。

 極悪ベンダーは同業大手他社に比べ5年以上、優良製造業に比べ10年以上遅れていると思った方がいい。その根拠は会社で話題になるテーマが他社ではそれ位前には議論されていたからだ。

 これらを踏まえて罪ない社員にはいつどうなってもいいような自分に鍛え上げて行って欲しいものだ。
 

9月14日

 センターの朝礼。うっとおしいが、毎日やることになっている。神奈川センターの社員全員が参加する建前だが、実はかなりの社員が作業中と称してサボっている。

 朝礼の司会は週ごとにCVS部門とGMS部門が交替で出る。今週は我がCVS部門だが、誰も朝礼に出て来ない。自慢じゃないがぐうさんはただの一度も朝礼の司会などしたことはない。

 理由は大声で「T所長、(演説を)お願いします!」というのが大嫌いだからだ。ぐうさんはT所長(タジイ)が嫌いだ。おそらくセンターの全社員が知っているのではないだろうか。

 ところが今朝はなかなかCVS部門の社員どもが出て来ない。あわやというところでワラワラと出てきた。
(お、遅いじゃねえかお前ら…)

 ぐうさんは遅れて出てきた番長に、
(司会やれ)
と目線で合図した。が、何を勘違いしたかマツが、

「ボクはやりませんよ。昨日やったんだし」

ぐうさん、
(マツじゃねえよ、番長、早く前に出ろ)

 ようやく気付いた番長が司会に出る。緊張させやがって…。不良社員はこんなところにも神経を使う。

 仕事は順調に進んだのだったが、昼食後に商品の発注をしていたぐうさんの席の電話が鳴る。電話に出たぐうさんに相手は名も名乗らず、

「おい、2便どうした!?」

ぐうさん、

「は?」

相手は
「2便はどうしたって聞いてんだよ!」

ぐうさん、
「申し訳ありません、どちらの御客様でしょうか?担当の者にお繋ぎ致しますが」

相手、
「生協に決まってんだろうがっ」

ぐうさんブチ切れ。
「あの、お名前は?」

相手、
「○○だ!」

ぐうさん、
「てめえっ、どこに電話掛けてんだよ!違う会社によ」

相手、
「え?」

ぐうさん、
「黙って聞いてりゃ生協の○○だあ?オレは生協なんかと何の関係もねえんだよ。電話番号ちゃんと確認したのか?」

相手、
「あ、違うんですかぁ?」

ぐうさん、
「失礼な奴だなお前、上司出せよ」

相手、
「済みませんでした」

ぐうさん、
「いいから上司出せよ。○○さん」

相手、
「あの、それだけはご勘弁を…」

ぐうさん、
「オレに罵ったのを上司に知られたくないってか?さんざんな事言っといて」

相手、
「本当に済みません」

ぐうさん、
「あんた生協で何の仕事してんの?エラそうな口きいてたけど」

相手、
「バイヤーやってますが」

ぐうさん、
「知らないなあ。社会人としての口の聞き方に問題無いか?上司出せって」

相手、
「本当に済みません!慌てていたもので…」

ぐうさん、
「いいか、電話を掛けたらまず自分が名乗る」

相手、
「はい」

ぐうさん、
「番号違いはもってのほかだぞ」

相手、
「はい」

ぐうさん、
「馬鹿だなお前も」

相手、
「はい」

ぐうさん、
「これから気をつけて電話しなさい」

相手、
「はい、気をつけます。申し訳ありませんでした。では失礼致します」

 GMS部門にクレームの電話を掛けたつもりのバイヤーだったが、相手がぐうさんだ。身に覚えのない文句はこうやって切り返す。

 その直後、3階の生協担当部署があたふたし始めたのだが、それはぐうさんの知ったことではない。


9月13日

 男子社員は所長と副所長、出荷作業管理のhaゲ以外全員午前中は現場に出るのか今の神奈川CVSセンターの方針だ。休みのマツ以外は全員作業現場に出ていなければならないはず。

 おや? 一匹足りない。

 番長がいない。気になって事務所へ行くと案の定、自分の席に座っていた。

 もともと共同作業が嫌なのか、この男は事務所を出たり入ったりしている。かと言って事務所から出てきても商品を格納するでもなく、フラフラしていて、そのうちまた事務所へ戻っていく。

 毎日がこんな調子なのだが、今日は特にひどい。

 トヨピーが、
「あいつイカレてんじゃないですか?」
吐き捨てるように言ったが、それを通り越して薄気味悪い。

 荷受や格納が嫌だからと言って番長だけが現場に出なくていいはずはない。

 ぐうさんは事務所へ入って行って座り込んでいる番長に、
「番長、出荷準備作業を手伝え!」
と厳命した。大声でかなり手厳しい口調だったが、仕方ない。

 ぐうさんらのグループから排除したのだ。やる気のない人間にいてもらっても生産性が落ちるだけだ。番長本人は外されて悔しいとは思わないのだろうか。

 仕事仲間から仲間と思ってもらえなくていいんだろうか?もう一度本人が何を考えているのか聞き出さなくてはいけない。

 このままではちゃんと共同作業に出てきている社員の迷惑だ。


9月12日

 夕べはビールを飲み過ぎてネットに繋いだまま寝込んだ。今朝目覚めて時計(正確にはぐうさんちに置き時計はない。エアコンのパネルか携帯かパソのみ)を見る。やった!遅刻だ…。慌てて身支度をして外へ飛び出す。

待てよ

 今日は指定休だった。汗を拭き拭き出戻る。気持ちに余裕がない証拠だな。いかんいかん。

 

9月11日

 本日はDP(デジタルピッキング)システムの点検のため、午後5時から業者がセンターに入るので、それまでに商品をピッキングして出荷を終えなければならない。

 で、いつも終わる時刻は午後6時過ぎ。普段のように作業していては間に合わない。1時間以上も作業を短縮する手立てを考えなければいけない。

 しかし出荷作業管理の担当はおつむの弱っちいhaゲ。

 必死で考えてパートさんの配置を換えるとか、作業の段取りを並行作業で進めるとか言うかと思ったら、

 「手の空いた社員はDP作業に入って下さい」

と、朝礼でいつもの手。空いてる訳ないじゃないか。ばあ〜か、そんなに暇だったら毎日定時で帰ってるわい。

 ま、haゲの御手並み拝見だ。一方入荷はそこそこ2300アイテムほどある。商品管理グループは番長が休みでぐうさん、トヨピー、マツ、ジョニー、カッスィと「らいおん丸」、ヅカおばさん。楽勝だ。

 次々に入荷する商品を「らいおん丸」とヅカおばさんが、個口検品の後スキャン検品を行って、それを男子社員が格納場所へフォークリフトやハンドリフターでパレットごと搬送して格納する。

 午前中には商品の格納まで終了した。

 だが、芸のないhaゲ、出荷準備ガ終われないでいる。ちょっと同情したぐうさんとトヨピーが出荷準備に手伝いに入るといきなり出荷作業を開始してしまった。

 ありがとうございますの一言もない。まだ準備中なのにラインが動く。まるで
「お前ら早く準備作業を終わらせろ」
と言わんばかりでトヨピーがキレた。

「ぐうさん、抜けちゃいましょうよ」

 そうだな。あのhaゲには貸しばかりで返されることないしな。
2人抜けて準備途中の商品をコンベア上に放置したままぐうさんとトヨピーはラインを離れた。

 慌てたのは出荷商品を積み込むために待機している配送会社のドライバー達、

「おおっ、配送に関係ない商品がいっぱい流れてくるぞ!」

 あてにしてた2人の姿はそこにない。ラインの端からドライバーの叫び声で事態を知ったhaゲ、駆けてきて準備中の商品を取り除こうとするが一人では間に合うはずもない。

 商品やらゴミやらと共に悲鳴を上げてhaゲは配送トラックの荷台へと運ばれていった。

 先輩をないがしろにするとこういう目に会うんである。

 午後は平穏に過ぎた。自分の担当商品の発注を行って、センター間商品移動依頼の処理を行い、万全を期して「らいおん丸」とトークタイム。

 午後5時終了には15分超過したがぐうさんも含め社員(トヨピー、S嬢、副所長、haゲ)が作業に加入して終わることができた。

また借りを作ったな、haゲ。

ウッシッシ…

9月7日

 夜、弟子と海老名で焼肉を食べる。ぐうさんの住む厚木の隣町である海老名市は新宿ー小田原の小田急線、八王子ー茅ヶ崎のJR相模線、海老名ー横浜の相鉄線が交わる交通の要衝だが、これまでは県央の賑わいは厚木に及ばなかった。

 それが最近駅前にVINA WALKなる複合ショッピングセンターが中央公園を取り込むように完成して、厚木から海老名へ移転するところも出てきた。これは一度行って見なくては。

 焼肉をつつき、ビールを飲みながら本社とセンターの情報交換をするが、まるで暗黒世界。勢い「らいおん丸」や本社人事の女子社員ネタへ移る。極悪なベンダーだが、女子社員達はけなげに頑張っている。

 どうか今の経営陣達はあの世へ旅立つときは地獄へ落ちてもらいたいと願わずにはいられない。というか地獄は必定。

 

9月6日

 朝から土砂降りの鬱陶しい天気、明日からの3連休を前にして意地でも出勤しなければならない。しかしこれは…、台風でも通過しているんではと思える程の強烈な雨と風。

 濡れネズミになって出社すると、トヨピーとマツが新店のセットアップに出かけて、荷受はジョニーとぐうさんのみ。そこそこの入荷量だがマツがいないってことえ許せる。

 それにしてもトヨピーとマツ、気が合うみたいで最近ではいつも一緒。ぐうさんからすれば信じられないが、気を使う手間が省けて楽だ。

 

 9月4日

 先日辞令がおりてコンビニ部門の課長代理から本社DC管理部へ移った狐目のHが朝から神奈川センターを訪れていた。新しい上司のデブ課長と一緒である。

 これまではコンビニ部門の物流関係の改善を手がけてきたH課長代理。実績を買われて? 本体のGMSメインのセンター物流改善を進めるため、GMS部門ではトップクラスの駄目センター、神奈川の実情を認識するためにやってきたのだ。

 ところがH課長の新上司は古株の課長。説明を要するが、課長にも旧タイプと新タイプがあって、年功序列型が旧タイプ、実力型が新タイプなのだ。

 新上司は旧タイプで、神奈川センターのタジイとはなあなあの仲。H課長代理、タジイにセンターGMS部門の実情についていろいろ質問しているが、H課長代理を見くびっているのは明らか。

「俺、課長とは仲いいもんねー」

な表情でH課長の質問に答えている。

H課長、
「センターの在庫回転率は今いくつですか?」

タジイ、
「さあ、詳しくは知らないなあ。今は1.5回転以上はいってるんじゃないの?」

 在庫回転率とは一ヶ月のセンター総出荷金額を月末の在庫金額で割ったもの。どのくらい商品が動いているかを図る物差しである。ちなみにコンビニ部門の在庫回転率の達成目標は4回転以上、つまりセンターに6日分以上の在庫を持つなと言われている。

 GMS部門の1.5回転とはコンビニ部門に比べて不必要な在庫を2倍半以上も持っていることになる。なぜ不必要な在庫を持つのかは昔から営業とセンター現業との間で泥試合であったが、最近は社内的に全体朝礼の内容開示ということで、おぼろげながらGMS部門のだらしなさがわかってきた。

 しかしセンターGMS部門のトップのタジイが先月の在庫回転率を即答できないばかりか、「知らないなあ」と開き直るところにスーパー相手の極悪ベンダーの凄まじいまでの荒廃した仕事ぶりが垣間見える。

 全社的に見てワーストクラスの神奈川センター。H課長代理、どうするつもりなのか。

 仕事中、うちの仕入の「ねこ」やら副所長の奥さんと仕事そっちのけで話し込んでいるタジイだが、仕事を終えた「らいおん丸」と昼休みを抜いたぐうさんが外で話していると、「いちゃいちゃしやがって」と連れ立っている配車ベンチャーの「ちあき」に吐き捨てるように言うタジイである。

 タジイ、お前は仕事中に仕事しないで話し込んでいるじゃないか。ぐうさんは仕事を終えて話しているんだよ。薄汚い自分と「ぐうさん」と一緒にしないでくれ。

 

9月3日

 棚卸のため月末に抑えていた入荷が月始めとあってどっと入荷。ぐうさんの担当する○イオンは10トン車1台まるまるの入荷。パレット単位で商品を発注しているので、見た目の物量の多さとは裏腹に、フォークリフトで搬送・格納できるためすぐに片付く。

 正反対なのがマツ。化粧品をありとあらゆるアイテムをちょこちょこ2〜3日分発注しているので、アイテムごとのスキャン検品が大変で、格納場所も違うので手間がかかる。月初くらいどんと取れよ!

 発注にも性格が現れて興味深い。

 ちょこちょこ発注するのは棚卸金額を少なくカウントする月末だけでいいんだって。発注の手間を省くためにも。

 午後、事務所で発注やセンター間移動依頼の処理をしているが、その間統轄所長のタジイったら、のべつくまなく最近配車ベンチャーにパート事務員として入った、うちの副所長の奥さんに話しかけている。

 タジイって漫才師だったか?

 どういういきさつで統轄所長になったのか、この男の日頃の行動を観察するに、バカほど出世するのが極悪ベンダーなのではないかと思えてくる。

 今まで何社か渡り歩いたぐうさんだが、ここまでひどい上長がタジイに限らずいる会社も珍しい。

 そこへ人事からタジイに電話が掛かってきた。タジイ、
「は? CVS部門ですか? ほとんど中途採用です、はい」

 「え? 研修ですか? とことんしごいてやって下さいよ!まったく使えない連中ばかりなので、エッヘッヘ…」

 ぐうさんに何をエラそうなことを教えようというのだろうか?退屈だろうな、その研修。


9月2日

 9月に入っても蒸し暑い残暑が続く。やっとゆっくりできるかと思えばそうでもない。どうもすっきりしない問題を抱えている。

 返品受付での○藤おばさんと「らいおん丸」との確執。「らいおん丸」には気にするなとは言っておいたものの、おばさんは執念深い。

 「あんたぐうさんに告げ口なんかして。見損なったよ」

 それって自分の孫みたいな娘に言う言葉かい? しかも「らいおん丸」はそんなこと言う娘ではないのに。ぐうさんこそ、おばさん見損なったよ。

 おばさん、声高にトヨピーにまくし立てているようだが、一方的な主張で聞いてて反吐が出そう。

 いっそのこと返品から「らいおん丸」抜いてしまおうかとも思う。抜いたら抜いたで人手が足りないとわめくんだろうな。始末に終えないおばさんだ。

 出荷作業が終わって場内整理も終えてさて帰ろうかと思いきや、トヨピーが返品の集計を始める。

「どのくらいかかる?」
とぐうさんが聞くと、

「4時間以上はかかりますかね」

(終了10時!)

 どうもわざとやっているらしい。トヨピーは今のシゲ所長に物凄く不信感抱いている。というか性格的に合わないんだろう。むしろ前の所長を懐かしむ風情すらある。それも仕方ないことなのかもしれない。ビッチ所長に抜擢されたんだから。

 てなわけでどうでもいい仕事に付き合わされて帰宅は11時近く。トヨピーの所長への当てつけの犠牲よな。

 そう言えば「らいおん丸」がきち君もいれて3人で「よってこや」のラーメン食べに行かないかと。

 ラーメン屋でも焼肉でも行こうぜ。


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