10月

10月30日

 月末の棚卸である。先週から特発商品の出荷で夜遅くまで悩まされ、それがようやく終わったらとどめを指すような棚卸だ。

 と、ここへ来てぐうさんがシクった。マッチの入荷がてっきり今日だと思い込んでいて、実は明日が入荷日だったのだ。気づいたときにはあとの祭り…。

 受注データが飛び込んできてぐうさんは大慌てでマッチの受注数を端末で確認する。

7ロット、21個も足りないやんけ!

 シゲ所長に欠品したことを告げて、静岡センターから赤帽で出荷に間に合うよう送ってもらう。センターは大損害だ。

 まだまだ悪いことは続く。今日入荷する予定の商品が入って来ない。またしてもぐうさんが管理する商品だ。これも入荷しないと欠品する。

 本社経由でメーカーや配送会社に問い合わせする。夜になってやっとこちらが督促して、配送会社が伝票を紛失したことが分かった。仮伝票くらい持って歩けばいいのに…。おかげでセンターは商品を受け取ることができず、商品を積み込んだセンターの店舗への配送車は自分たちの会社に戻ってしまい、足りない分の商品が夜届いたためhaゲが遠く離れた大和の会社まで届けるはめに。

 そんな混乱の合間に棚卸が進められた。

 しかしぐうさんの頭の中は商品のフォローで一杯、正直言って棚卸どころじゃなかった。22時半に業務が終了して今夜もまたぐったりの一日が終わった。


10月28日

 センターの管内で新店が3つも同日オープン。新店オープン前の商品陳列作業にはこれまでセンター社員が2名派遣されていた。しかし一度に3店となると12人の社員の半分が取られてセンター業務は麻痺してしまう。

 シゲ所長はオープンが重ならないよう本部に要望を出したようだが結局だめだったようだ。最近の本部は無理ばかり強要する。それならそれで各店への派遣社員を一人にしてパートさん2〜3人で補強する策を採った。それでも現場からパートさんが7名も抜けると痛い。

 派遣される社員はトヨピー、ジョニー、マツと全員荷受G。入荷はぐうさん一人でさばかなくてはならない。検品のパートさんは「らいおん丸」を除いて3人とも超新人で教えることも出来ない。どうせほかの部署のパートさんが大幅に不足しているのだから、そっちへ回ってもらう。

 どうにかぐうさんと「らいおん丸」で午前中の入荷を乗り切ったものの、午後からは特発商品の出荷検品に振り回された。

 新店の陳列作業から夜になって続々と戻ってくるのを待って更に今夜も特発の出荷作業が続く。


10月26日

 センター内はガチャボックスで覆われて足の踏み場もないほどになっているが、輪をかけるように本部が行うおでんのキャンペーンのため、おでんの各種容器が駄目押しのように大量入荷してきた。もう勝手にしろと投げやりな気分になりかけたが、もっと悪いことにタバコの販促物まで大量入荷してきた。

 まさか外に野ざらしにしとく訳にもいかず、複数の企画を同時進行させる本部を恨みつつ、もともとない隙間をコジ開けるようにしてこれらの商品をネジ込んでいく。

 あまりの忙しさに昼の弁当を頼み忘れていたので、一足早く昼の休憩に入り、自宅へ戻る「らいおん丸」に近くのコンビニでおにぎりとカップ麺を買ってきてもらう。

 そそくさと昼食を済ませると推奨カットになった殺虫剤のメーカーへの返品処理を行う。土曜日は宅急便の集荷が早いのでもたもたしていられない。

 やっと忙しさが一段落したのは「らいおん丸」とのトークタイムの4時過ぎ。やってきた「らいおん丸」は口数が少ないぐうさんを覗き込んで、
「今日は静かだね…」

 「らいおん丸」には申し訳ないが

眠い

 帰っていく「らいおん丸」を見送って寂しい思いをさせたかなと後悔したが、再び気持ちを奮い起こして今夜も特発の出荷作業に取り組まなきゃ帰宅もおぼつかない。

 頑張れ、今夜は昨夜の半分の仕事量だ。自分に言い聞かせるようにして現場に向かう。途中誰ともなく、
「もういい加減に早く帰りてえよ…」
とつぶやき声がした。聞き間違えたのか?

「もう早く辞めてえよ」

 とも聞こえた。このご時世だ、残るも地獄、辞めるも地獄……。

10月25日

 本日は不良ベンダーコンビニ部門の東日本副所長会議が神奈川センターで開かれる。当センターからはT副所長とトヨピーが出席する。会議の内容は不明だが、不良ベンダーのことだから同窓会レベルの程度のものだろうことは容易に察しがつく。

 一方、現場では来週明けにも出荷する特発商品のガンダムのガチャボックスなどが続々と入荷してセンター内を埋め尽くしている。この出荷作業を残業して行うので社員の頭の中はいったい何時に帰宅できるのかということでいっぱいだ。

 一足早く昨夜出荷作業に着手した西東京では午前2時まで作業がもつれこんだと会議のためやってきた西東京の副所長が話していた。彼は昨夜から一睡もせず、今日の会議に臨む。

 肝心の特発出荷は通常の出荷作業が終わってパートさんが帰ってから社員たちだけで進められる。作業が長帳場になるのは分かっているので休憩を長めに取って夜食を買ってきて食べる。

 作業開始。やはりガチャボックスは作業がしにくい。玩具メーカーにはもっと開梱しやすい梱包形態を考えて欲しいが、まあ無理だろう。

 そこへポチっと弟子の「きち君」からメールが。彼は明日休みということで、夜遅くなるなら迎えに行こうかと有難いお言葉ではないの。感激の余り号泣きしかけたが、トヨピーやマツに付け入れられるので止めておいた。

 日付が変わって少し、わざわざ新百合の自宅から車で来てくれた「きち君」と、「らいおん丸」家の近くへ。

 「らいおん丸」を拾って国道129号沿いのバーミヤンで会食。やっと長い一日が終わった。



10月24日

 今日は休みもぐうさん、ゆっくりしたいものの、「らいおん丸」が出勤している。こうなると荷受のギャング二人組の言動が気にかかる。ぐうさんがいないことをいいことにかさにかかって「らいおん丸」に横暴なふるまいをしかねない。

 そんな心配は杞憂に終わればそれに越したことはないものの、土曜日に予定していた平塚駅前のビヤホールに行こうという「らいおん丸」との予定が、特発というまさにコンビニ本部が突発的に決める突貫イベントで台無しになることが決定的になったので、今夜行くことになった。

 夕方、センターに赴いたぐうさんは、担当商品の発注を済ませると「らいおん丸」がいる返品受付へ行く。何事もなく「らいおん丸」は静かに仕事をしていたので安心する。

 「らいおん丸」の仕事が終わるのを待って平塚駅前で深夜まで飲み食い。ストレス解消になった。
 
10月23日

 入荷は少ないが検品のパートさんが3名フル出勤。じっくり検品の仕事を覚えて貰うには絶好の機会だ。

 一方荷受Gの社員はぐうさんとジョニーとマツ。トヨピーが休みなのは救いだ。最近はこの二人がいっしょにいると「らいおん丸」にとって邪悪なことが起きる心配があって気が気でない。

 新人パートさんの教育に手取り足取り熱心なマツをよそ目に「らいおん丸」は離れてさっさと空きダンボール処理の作業に入ってしまう。

 そこまで見届けるとぐうさんも検品済み商品の格納に取り掛かった。

 

10月22日 ついにマツ、暴れる

 新たにもう1名検品のパートさんが出勤してきた。トヨピーにつけて教育させる。

 ここんとこトヨピーもマツもおかしい。

 出社した「らいおん丸」を見るなりトヨピー、
「おう、らいおん丸、おまえ○○さんに検品教えろっ」
眉間にしわを寄せて言い放つ。

 ぐうさん、トヨピーを殴り倒してやろうかと思いつつもこらえるが、今度はマツ。

「らいおん丸、どけ、邪魔だ」

 言うまでもなくこいつら組んでいる。

 ぐうさんこらえつつも彼らの行動を注視していたらマツがキレた。

「やってられねえよ!」

叫ぶと乗っていたフォークリフトを停車中のフォークリフトに体当たりした。周囲にいた新人パートさん達はびっくり。

 ぐうさんはマツの首根っこを捕まえるとシゲ所長のもとへ。

 シゲ所長、マツに、
「どうした?」

マツ、
「ぐうさん仕事してないんです。らいおん丸と話ばかりしてるし」

ぐうさん、
「今朝はらいおん丸と一言も話してないぞ」

マツ、
「らいおん丸と話するな!」

ぐうさん、
どうしておまえにそんなこと決め付けられなきゃいけないんだ?おまえだってパートさんと話しているじゃないか?自分はよくて俺はなぜ駄目なの?それにな、新人パートさんの前で逆上なんかするな。だからおまえはパートさんに怖がられるんだ」

シゲ所長、
「パートさんと話するなとは言わない。それからマツ、その態度がおまえの一番よくないところなんだよ。」

マツ、
「はい。すみません」

 騒動はひとまず収まったものの、こんな程度でマツが改心したとはぐうさん思っていない。しかもけしかけているのはトヨピーだったとしたら…。

 今日一日、彼らの「らいおん丸」に対する態度が気になって気分が曇りがちの一日だった。こりゃあぐうさんが休みで「らいおん丸」だけが出勤の日が怖い。

 夜のミーティングでも他センターでの社員とアルバイトが喧嘩してアルバイトの親から慰謝料を要求されたという事例の報告があり、ここ神奈川でもパートさんと揉めたこともあり、特に社員のアルバイト・パートさんに対する言動に気をつけるようシゲ所長が注意を促した。

 聞いているのかな?トヨピーとマツ。いや聞いていないだろうな。

10月21日

 今朝の朝礼で人事から周り回ってGMS部門の店舗改善Gに配属されていた「きち君」の大学・会社共に後輩に当たる通称「あかねちゃん」を初めて発見した。小柄なコである。
 
 一方今日から新たに採用したパート・アルバイトさんが出勤し始める。荷受には男子アルバイト1名、女子パート2名の予定のところ、男子アルバイト1名と女子パート1名が出勤した。

 出荷作業Gでも女子パート1名と男子アルバイト1名、売上事務にも女子パート1名がそれぞれ配属された。皆初出勤(出荷のアルバイト、通称ウゴは出戻り)は緊張するものである。

 右も左も分からぬ上にとかく古株のパートさんの中にはイジメが好きな手合いがいる。せっかく採用したは、社員がほったらかしでイジメにあってさっさと辞めていくパートさんが毎回出る。

 会社は高い広告費を払って採用しているし、社員の方で要望を出して募集をかけたのだから、新人さんには目をかけて長く働いて貰うように仕向けなければならない。

 荷受のパート・アルバイトの教育や世話は今回マツとトヨピーに任せようと思った。彼らは「らいおん丸」をぐうさんに取られたと思っている。半分は当たっているが半分は違う。ぐうさんも寄って行ったし、「らいおん丸」も寄ってきたのだ。

 なぜ「らいおん丸」がマツやトヨピーになつかなかったのかはこれまでの日記を読めば分かると思うが、感情的に接し過ぎるのだ。他人の気分を一方的に押し付けられるのは誰だって不愉快だろうに。

 今回採用したパートさんに彼らがそんな態度を出さないとは言い切れない。そんなときは「らいおん丸」とぐうさんでフォローしようと思う。それにしても今日は彼らに花を持たせる意味あいでもぐうさんと「らいおん丸」は出荷準備作業に回った。

 荷受Gから出荷Gの応援に男子社員が必ず同じ女子パートを伴って入ってくる。これはぐうさんがわざとしていることだ。組織が違うから無理難題押し付けるなということと、イジメるなということと、特別扱いしているパートだぞということをアピールしている。

 徐々に出荷のパートさんも馴れてきてそういうものだとの認識を持ち始めているのだが、なおも納得いかないのがマツ、醜くタラコ唇をめくり、怒った表情でぐうさんと「らいおん丸」の横を足音も荒く行き来する。

マツ、「らいおん丸」に、
「オ?、おまえここにいたのか」

「らいおん丸」、
「はあ?」

マツ、
「……………。」
足早に去る。

こんな一部始終を周囲のパートさんに見られている。

 ともかく出荷準備作業は順調に進み、月曜日にしては出荷作業もえらく早々と終了した。ぐうさんも溜まりに溜まっていた返品処理に手を付けることができるようになった。明日もこの調子で仕事ができればいいのだが。

10月19日

 朝からマツの機嫌が悪い。大の仲良し、トヨピーやジョニーが休みでいるのはぐうさんと「らいおん丸」ときちゃ話す相手がいないどころか、話し掛けてくれるものもいない。

 マツ、憤然とした表情で太い唇をめくれあがらせ、猛スピードでフォークリフトを運転する。こりゃいつか事故起こさなきゃいいが。

 仕入れにいる「ねこ」も、マツの機嫌が悪いのを知っていた。

「あの人すぐ顔に出ますよねぇ…」

 そうなると誰もマツに近づかない。ますますマツは怒り狂う悪循環だ。

 夕方、「らいおん丸」とトークタイム中のぐうさんの耳に衝撃音が伝わった。

 見ればマツ、乱暴な運転で積載していたパレット積の荷を振り落とし、GMS部門の出荷準備をされた商品の山を直撃、四散させたのであった。

 もはや最初からピッキングし直すしかない。哀れなマツ、週末早く帰りたいGMS部門の人間まで巻き込んで残業を作ってしまった。

 コンビニ部門で彼のために手伝う者は誰もいない。せいぜい毒付きながらGMS部門の恨みかってくれ。

 GMS部門にただならぬ迷惑をかけたマツを抜かしての終礼、今日が最後の勤務のど○えもんの挨拶があった。もはや古株の女子社員ではあったが、ぐうさんとは折り合い悪く、会話もなかった。ま、そういうこともあらあな。
ご苦労様でした。

 酒とつまみを買って帰宅して携帯をのぞくとはや「らいおん丸」のメッセージが入っていた。

「ぐぅ〜しゃ〜ん! お仕事終わりましたぁ〜?」

 きち君からもバイト君相手に騒動を起こしただらしない中途採用社員の報告が入った。

 ぐうさんの週末。いや彼らと共にある。


10月16日

 昨日はパートさん達の給料日だった。明細を見た「らいおん丸」が落胆のあまり鼻を鳴らす。

「あんまりだよお〜〜」

 ひらひらと薄っぺらな給与明細をぐうさんに見せる「らいおん丸」、モロにへこんでいる。

 「どれ」
覗き込んだぐうさんもあんぐり口を開けた。勤務時間制限、出勤時間制限でがんじがらめにされて、もらった給料は月給のはずだが、どう見ても週給並のひどさ。

 なんかあまりにも可哀想で、いつもの冗談が「らいおん丸」に言えない。息を飲むほどの金額だった。これっぽっちのお金をもらうために汗まみれになって働いているのか…。

 「らいおん丸」と別れたあとでシゲ所長にねじ込んだ。
「らいおん丸」の出勤制限を外して下さいよ。我々荷受Gは恒常的に出荷作業Gの応援に駆り出されているじゃありませんか。社員の負担が大きいんで出荷作業のパートさんと一律に制限するのはやめましょうよ」

 「そうですね」
シゲ所長の一言でこれからは最悪な給与からは取り合えず脱出できることになった「らいおん丸」。

 と、ここまでは昨日の話。

 今日、仕事が始まってのぐうさん、仕事がら、周囲を見回しながらの作業が午前中続く。

 ぐうさんと「らいおん丸」が話していると途端に引いてひそひそ話を始めるマツとトヨピー。そこでぐさん、今回は仕事中「らいおん丸」と距離を置いてみた。

 マツは「らいおん丸」に嫌われているのを承知しているのか直接「らいおん丸」に近寄らない。

 トヨピー、「らいおん丸」の周囲をうろうろしていたが、やがて「らいおん丸」に、
「これスキャンしてくれる?」
などと持ちかけ始め、「らいおん丸」が応じるとあれやれこれやれの攻撃になった。

 「らいおん丸」が一度に出来ませんよと言うとトヨピー、
「ふざけんな、やれ」

 見かねてぐうさんが入る。
「俺が入ろう、トヨピー」

トヨピー、
「あ、いいですっ」

ぐうさん、
「トヨピー、やってくれる?」

トヨピー、
「やります。ボクがやっときます」

ぐうさん、
「………。」
なんだかねえ、明日ぐうさん休みなんだけど、野郎どもシメに出て来ないと「らいおん丸」が危ない。おまえらいい歳こいて彼女もいない訳をじっくり考えたほうがいい。



10月15日

 決定的に不足しているパートさんの員数を充足すべくやっと日曜日に新聞の求人折込に募集広告を掲載した。センターの近場では既に「安い、きつい、汚い」の悪名が鳴り響いているので近所の人は来ないだろう。

 それでも今回は
「業界一の優良会社です」
などと、真っ赤な嘘を書いたものだから、そこそこの人数が集まったようだ。かわいそうに、ダマされたのだよ。その人たち…。

 近くの菓子卸の○藤産業なんか極悪ベンダーより格段にいい時給払って、しかも45才以下と年齢制限してるけどパートさんの不足はないみたい。

 パートさんの面接には本社から「きち」君の同僚、Yが人事から乗り込んできているが、どういう面接をしているのかは感知していない。

 格納専門に男子パートを数名欲しいとシゲ所長は言うが、この時給では絵に書いた餅!来るはずもなくあてにはしていない。

 そうしている間にもパートは辞めていく。仮に当初の計画通りの員数を採用した時点でもう不足しているのだ。もうアホだよね、極悪ベンダーって。

 

10月13日

 昨日はカッスィから邪悪な風邪をうつされて寝込んでいた。季節の境目というのもあるだろうが、ここ数日センターの人間関係に疲れていたのもある。それがストレスとなって免疫力が落ちていたのかも知れない。

 疲れさせてくれたのはT副所長とマツとトヨピー。

 最近センターを不在がちなシゲ所長に替わって所長の代行もしなければならないので、多忙に磨きがかかって頭が回っていないのか、誰かにぐうさんの悪口を吹き込まれたのかT所長は明らかにぐうさんを敵視しはじめた。

 ぐうさんの悪口を言うとすれば番長あたりか。もうひとつ思い当たるのは自分のカミさんをパートで働かせている配車ベンチャー企業と同じ事務所にいる統括所長のタジイに何かを吹き込まれたかだ。

 まあ、簡単に丸め込まれるような人物と言えばそれまでだが、もともと副所長としての力量がない人物だけに、部下からのバックアップが必要なのに、トヨピー、マツ、ぐうさん、ジョニーを無視してセンターを維持できるはずがない。

 悪の枢軸ばかり優遇するということは番長に丸め込まれた公算大だな。こちら側としてはT副所長を通して所長に報告・連絡・相談することはできないのだからパスするしかない。このままかれが所長になったらセンターは半身不随になるに違いない。

 トヨピーとマツは「らいおん丸」がらみ。ごくくだらないことなので書かないが、ぐうさんと「らいおん丸」にとっては疲れる言動をする。

 そんなこんなで日曜の昼になってようやく風邪が治ったので、汗にまみれた衣類の洗濯に今度は追われる。ついでに風邪を治した旨「らいおん丸」にメール。

 遅い昼寝を挟んで夕方まで「らいおん丸」と送信20通近く、受信を含めて40通ほどのメールをやりとりする。休日でもこうなのだから周囲に誤解されるのも仕方ないのかもしれない。

 それでも敢えて言う。「らいおん丸」はきち君やなおちゃんと並ぶぐうさんの大親友なのだ。ここを履き違えたやつはぐうさんの友達ではない。分かりやすい構図だな。


10月11日

  昨日番長が静岡センターへ「短期研修」という形でレンタルされていった。最長で来月までという約束らしいがどうだかね…。仕入れの「ねこ」としばしの別れはさぞ辛いだろうと同情する。

 今日は指定休だったが番長が抜けてトヨピーが休み、男子アルバイト君も休みで入荷も多いので出社した。

 格納要員がいないので検品済商品の格納にもっぱら専念するも、用事があって検品場所に戻ると、ぐうさんと「らいおん丸」が会話するのを露骨に嫌な顔をしていたマツが「らいおん丸」に接触を図っている最中であった。

 なんだ、ぐうさんは駄目でマツ自身ならいいのか

 しかしマツ、うまく「らいおん丸」とコミュニケーションが取れないで顔が引きつっている。つい横柄な口調になって「らいおん丸」はプイとマツから離れる。

 「コワい。あのヒト」
後に「らいおん丸」は漏らした。

 そんなマツにも仲のいいパートさんがいる。昼休みになり、相変わらず「らいおん丸」につきまとっていたマツの横をパートの一団が通りかかる。

 ここぞとばかり「らいおん丸」とパートを交互に見ながら自分の自慢話を始めるマツ。

 ぐうさんは「らいおん丸」の尻尾を掴んで救出した。
「息がツマるよお」
溜息をつく「らいおん丸」の背後でマツの顔が醜く歪み、状況の急変に驚くパートを尻目に足音も荒く事務所へと消えていった。

 午後、カッスィからうつされた凶悪な風邪が悪化する。体がダルく、熱っぽく感じる。鼻もグズり始め、寒気がし出した。

 タイムカードを切っていないので出社扱いにはなっていない。4時10分の「らいおん丸」の退勤を待って「らいおん丸」とセンターを脱出した。 

 10月5日

 朝から番長の動きがいつもと違う。仕事しているのだ。やれやれ、静岡レンタル騒動が余程身に堪えたか性根を入れ替えたのかは疑問だが、別人のように現場で汗を流している。

「どうせ今のうちだけですよ」
と、トヨピーは言うが、ちゃんとやることをやっていれば非難すべき理由もない。やって当然なので誉めはしないが。

 と、「らいおん丸」から嬉しいメールが入る。
「ぐーさぁ〜ん!卒検受かったよー!」
なけなしの自分の貯金と給料はたいて教習所へ通っている「らいおん丸」だ。嬉しさもひとしおだろう。よかったよかった。平塚のビヤホールはささやかな合格祝いにしてあげる。

 一方、黒ずくめのスーツ姿で出社した「ど○えもん」、今日は午後から本社へ行くとかでみなの注目を浴びていた。実は彼女、退職するらしい。

 思えば確か入社3年目の「ど○えもん」には大勢の同期社員がいた。特に神奈川センターには9人程の女子社員が一度に配属されてきた。それが3年経って「ど○えもん」とS嬢しか残っていない。

 ぐうさんは「ど○えもん」の同期の「なおちゃん」とは仲良かったけど「ど○えもん」は苦手だった。「なおちゃん」の後継者「らいおん丸」とぐうさんが一日に交わす会話の量より「ど○えもん」とこの3年で交わした言葉の方が少ないことが縁遠い関係であったことを物語る。ま、お疲れ様でした。そう言や「きち君」は親しかったっけ?

 なんとか無難に仕事を終えて帰宅する。祭り好きの「らいおん丸」は神輿担ぎに参加しているのだろうか。って言うか携帯が充電切れになりそうなのにメールの返事をよこす。けなげな娘だ。

10月4日

 出社しての話題は、あの仕事しない番長が一ヶ月半、静岡センターへ貸し出されるということでモメていることだった。

 なぜ静岡センターへ奴がレンタルされるのか、理由は定かではない。風の便りでは業務がうまく回っていないらしい。思い当たることと言えば、このセンター、よく商品を大量欠品させて当センターへ泣き付いてくる。

 一方、シゲ所長から指名された番長。不服で「行かない」とゴネているらしい。しかし、よく考えればレンタルに出される人材とは今現在最も職場で不要不急な存在ではないか。

 現場作業はしたくない、かと言って在庫管理の仕事も消耗品しか持ちたくない、今一番負担が軽いのは番長しかいないのだ。当然、抜けても穴埋めしやすい人材が出されることは分かりきっている。

 ぐうさんだったらこんなときに真っ先に名前が挙がるのは恥だ。ま、本人はそんなことまで考えていないだろうけど、正にこれは身から出た錆。同情なんかしないよ。


10月3日

 仕事は休み。月曜火曜で思いっきり疲れたのでよく寝ること…。と、昼に出社している「きち」君からポチっとメールが届く。

 内容は某九州センター勤務のパートの告発があったというもの。

「もう限界だ」という書き出しで、それが人事に送られてきたものかどうかははっきりしないが、パートに休憩を与えない、社員は怒る、見て見ぬふりをする(これは意味不明)などの理由を挙げて、労働基準監督署及び人権擁護委員に通報するという内容だったようだ。

大いに告発して欲しい!

 某九州センターの所長は最近交代したばかりであったが、交代しても問題が改善されないことに業を煮やしたパートさんが爆発した。

 実はこのようなことは今に始まったことではなく、全国のセンターで頻発している。何しろ「不良ベンダー」だ。ぐうさんの勤務するセンターでも出荷作業管理担当のhaゲがパートさんに暴言を吐いて問題になったし、関西や中国地方のセンターでも社員やパートさんが告発している。

 しかし「不良ベンダー」はこういったことには慣れっこになっているのではないだろうか。パート管理にド素人の社員を担当させているからこういった問題はなくならない。所長でさえ労働基準法を知らないでセンターを運用しているから基準法違反は日常茶飯事になる。

 昼過ぎに「らいおん丸」から免許の学科試験の日程が決まったので、その日休めないだろうかと聞いてきたが、そのことでhaゲが暴言を「らいおん丸」に吐こうものならぐうさんが告発してやる。

 haゲのパートへの暴言事件をシゲ所長は知っているはずなのだが、黙殺しているようなのだ。haゲは相変わらずパートに空ダンボールを蹴りつけたりしているから。

 夜、「らいおん丸」と平塚のビアホールへ行く予定を立てる。平塚方面の食い物取材には欠かせない存在になりそうだ。


10月3日

 先週の土曜日から深夜残業が続いていた。20時台に帰宅したのは久しぶりのこと。月曜日は今週新規推奨の商品アイテム数が多くて出荷準備に苦労し、午後は午後で出荷作業のパートさん不足と、出荷作業管理のhaゲが出荷用の棚のメンテを全く行っていないので作業性も悪く、パートさんを2時間残業させてしまった。

 人件費削減と言いつつ結果がこれではな。原因はシゲ所長があまりに楽観的過ぎて時間帯別パートの採用をシクったのと、担当haゲの無能の相乗効果だわ。

 それが終わってから先月棚卸の再棚卸に入る。日中の仕事で疲れきっての棚卸はキツい。黙々と商品の数を数えているぐうさんの携帯に、すでに帰宅した「らいおん丸」からメールが入る。

「まだやってる?」

 これ幸いとメールに飛び付くぐうさん。退屈な棚卸はメールでやりとりしながらに限る。

 火曜日は台風の直撃で忙しかった。日頃出ない電池やら懐中電灯やらが猛烈に出るので確保に追われる。この日も帰宅してパタンだった。

 水曜日、新規推奨商品の出荷がなく、入荷も少ないが、今度は大量に推奨取り消しになった商品が店から返品されてくる。「らいおん丸」の午後の部署だ。今度はここへ応援に入る。合間を縫って自分の管理する商品をメーカーへ返品するために伝票を起票し、送り状を発行し、商品を発送準備する。

 山のようにぐうさんのもとへ送られてくる本社やメーカーからの書類に目を通し、在庫マスターを眺めて商品を発注し、或いは明日の出荷予測量に足りないと仰天し、緊急発注やセンター間移動の手配をする。今日こそは早く帰ろうと頑張ったが皆仕事を終えて事務所に戻っても1時間近くも終礼がかからず。あ〜時間がもったいない…。


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