1月

1月31日

 夕方のトークタイム。「らいおん丸」がつぶやいた。
「ぐうさん、今夜は帰れるといいね…」
いやはや「らいおん丸」にまで気を使って貰って。昨夜は
棚卸で帰宅が9時半だった。棚卸にしては早く終わったも
のだが何分この寒さですっかり身体が冷え切ってしまって
風呂に1時間近くも浸かっていた。

 そして今日はまた残業で再々棚卸なのだ。毎月のことな
がら月末はうんざりする。

 結果、今夜もまた昨夜と同じ。冷え切って帰宅して風呂
へ入ってやっと生き返る。風呂から上がって夕食を食べて
ちょっと「らいおん丸」とメールを交わしてサイトの日記をつ
けると寝る時刻だ。また6時間後には起きて極悪な会社
へ行かなくてはならないのかと思うと深い絶望感に囚わ
れるのだった。


1月29日

 昨日は「らいおん丸」は指定休で久々に厚木の美容院
へ出かけた。帰りにぐうさんの仕事が終わっていたら厚木
で飲もうとメールをしたが、ぐうさんからはなしのつぶて。

 それもそのはず、センターは残業になってしまったのだっ
た。その理由がまたふるっている。社内報に乗せるコラム
を書くのが「私の見た映画」というテーマでたまたま神奈川
センターのコンビニ部門に回ってきたので、誰が書くかで
紛糾していたのだ。

 くだらない…。まったくもってくだらな
い。

 所長が「おまえ書け!」で済む話じゃないか。ものの2秒
で済むところをなぜ30分以上も費やして仕事とは関係の
ない事柄を議論しなくてはならんのだ?

 おかげさまで「らいおん丸」はとぼとぼと一人帰宅するは
めになってしまった。

 まあ、書く奴はhaゲに決まったのだが間違っても極道映
画なんかを題材にしないで欲しいものだ。ちなみに社内報
の新年号ではお偉方の「私の見た映画」などというつまら
ない特集が巻頭を飾っていたが、案の定老体どもの見た
映画はモノクロだらけだった。会長に至っては数十年映画
なんぞ見たことはないと胸を張っていた。まるで文化は商
売の邪魔になるとでも言わんばかり。

 しかし今は会長が若かった頃のまだ貧しくてモノがない
時代ではない。作れば売れたのは過去のことだ。今はモノ
が余っているから雑貨なぞ誰も買わない。売れるのは顧
客の感性に合致したものだけ。つまり商売人は時代に即
した感覚を常に研ぎ澄ましていなければならない道理な
のだ。

 それを数十年置き去りにしたまま金勘定だけで生きてき
た男の姿のなれの果てを見るに背筋が寒くなる思いがし
た。もっともこれはいい反面教師なのかも知れない。

 ぐうさんは会長が求めるような商売人に
は絶対になれないな。


1月25日

 今は閑散期であるはずなのにぐうさんの周辺は落ち着
かない。朝から入荷状況調査なるものを行うように本部か
らのお達しで納品に来るトラックを片っ端から漏れなく、配
送会社名、車のナンバー、何トン積みか、自社便なのか
路線便なのかはたまた赤帽なのか集約便なのか、発車
地区はどこか、どこからの荷物なのか、何種類で何個な
のか根掘り葉掘りドライバーに聞かなくてはならない。

 これをぐうさんが一人で行う。しかしトラックは一度に最
大7台はバースに付けられるので、てんてこまいになる。
おまけにマツは非協力的でぐうさんとこで聞き取り調査を
受けてから受領印を貰いに行けとドライバーに指示しない
ので、どうしても漏れが発生してしまう。

 入荷が終わって殴り書き状態のリストを所長が読めるよ
うに清書しなくてはならない。その際に入荷した商品のメ
ーカー名に応じたメーカー・コードまで記入しなくてはなら
ない。これはもう昼飯どころではない。

 ところが悪いことは重なるもので、「非常用ローソク」が
切れたとの知らせ。大量に不良品が出て店に納品できな
いのだという。一時入荷状況調査を中断して処置をしてか
ら再び調査のまとめを行って所長に提出したころには空
腹と疲労で意識朦朧になりかけたが、帳合が他社に移管
される商品の立会い棚卸もある。その準備は前日からし
ていたのだが、出荷準備作業のパートがものの見事に商
品を蹴散らしてくれた。

 「どこへ置いたんだ?」
ふらふらになりながら商品を捜すぐうさん。立会い棚卸の
時間は刻々と迫ってくる。しかし商品の発注もしなくては
…。

 「社員〜〜〜〜!」
出荷作業中のパートの野太い雄叫び。作業管理はhaゲ
一人しかいないので、あいつが昼飯にでも行っていれば
聞いた社員が対応しなくてはならない。

 やむなく顔を出して吼えたパートに、
「どうしたの?」
と尋ねる。

 「この商品16個も一つのお店に出るの?、店に確認
しなさいよ。まったく呼んでも来ないんだから。社員
ったら」

 心の中でぐうさんは、
「うるせえ、クソばばあ!」

 双方気が立っている。

 該当商品の在庫管理担当社員を捜して、そのまま出荷
して大丈夫ということだったので現場に伝えて事務所へ戻
ると立会い棚卸メンバーが揃っていた。いずれも顔にぐう
さん、

「遅い!」

と書いてある。
(ああ悪かった悪かった…、遅れて悪かったよ)
さあ早く始めようぜ。たった9アイテムだ。ものの10分もあ
ればカウント終了だ。ところが、メーカーサイドが不良品の
扱いを巡ってゴネ始める。こっちとしちゃあそんなことはど
うでもいいことなのだが、それより「らいおん丸」とのトーク
タイムの時刻も迫ってきているし、昼飯も食べる暇も逃し
たものだから、こっちとしては相当イライラしていた。

 やっとのことで立会い棚卸が済んだ頃にはトークタイム
を30分も過ぎていた。「らいおん丸」帰っちゃっただろうな
あとやや気落ちして外へ出る。

 (まったく。よりによってトークタイムの時間に棚卸を設定
しやがって、それでも何とか間に合うようにセッティングし
たのにゴネてブチ壊してくれやがって!)

 ところが「らいおん丸」が一人で
ポチっとたたずんでいるでは
ないか。30分も待っていてくれたのであった。

 よしよし、明日は中華街で誰にも邪魔されずに遊ぼう
ぜ、「らいおん丸」。


1月23日

 滋賀県豊郷町立豊郷小学校の校舎保存を巡り、同町の
大野和三郎町長は今日、文部科学省を訪れて現校舎を
国の重要文化財に指定するよう河村副大臣に要請したと
の報道があって呆れた。

 あれほど取り壊しに固執して強行した本人が、住民のリ
コールが決まると手の平を返したように重文指定要請だ。
重文だと校舎として使えないから結局は新築の校舎が必
要になる。要はこの町長、何としてでも校舎を新築したい
のだということが見え透いている。

 これまでの簡単な経緯はサンライズ印刷[Duet]の「豊
郷小学校改築問題」のコンテンツを見て貰えば分かるが、
誰もが首を傾げたくなるような問題だ。 

 今回の騒動の取り壊し反対派の住民で作る「豊郷小学
校の歴史と未来を考える会」のサイトをよく見てみれば、
地元土建業界と繋がりの深い町長であればこそ、土建業
界の都合を最優先したとしか思えないことがよく分かる。

 そこには小学校で学ぶ児童への配慮や、私財を投げ打
って当時最高水準の学校を地元に建てた中村氏への尊
敬の気持ちも、文化的なものへの理解もない。

 あるのは荒荒しいまでの短絡的で土建国家的な主張だ
けである。実はこの豊郷小問題、ここだけの問題ではなく
て日本を二分する程の根が深いものではないだろうか。

 工事で得する既得権益層と、そうではない層。今の日本
国民はそれら相反する立場の人々にはっきりと分かれて
しまっているということなのだろう。これからもこのようなこ
とは全国で起きるに違いない。

 ちなみに豊郷小を設計したヴォーリズの思想は現在も
一粒社ヴォーリズ建築事務所に綿々と受け継がれている
ことが分かる。

 ぐうさんの故郷である北海道・函館の遺愛女子高等学
の講堂も実はヴォーリズが手がけていたらしいことを知
って、彼に親近感を覚えた。

1月21日

 多少前の話だが、1月16日付の日経流通新聞の1面を
「アパレルは30代本部長」という記事が占
めた。ITの急激な発達はアパレル業界に判断と行動の迅
速化を要求したという。

 営業や商品企画のトップである「本部長」は、店長や店
長を統括するマネージャークラスをも指揮する。毎日上が
る単品の売れ筋データを生かすためにはその場で即時に
企画変更や、それを工場に伝えてできるだけ短納期で仕
入れる素早い決断力と行動力、体力、流行を見極める優
れた感性が必要なのだという。

 商品寿命の短くなった今、顧客の求める商品の変化に
ついていくためには感性の鈍った老体ではなく、若い感性
を持って、過去の成功体験にとらわれることのない世代に
決定権を与えなければ会社の存続もないという危機感の
現れであろう。

 とかく「危機感がない」と朝礼でのたまう極悪ベンダーの
老体どもが実は感性ある有望な若手の台頭を阻害してい
るのを見るに、アパレルには健全なところも多いのだなと
感心した。

 厚木にも店があるCECIL McBEE。今大好調である
が、率いるのは長髪を茶髪に染めた小嶋常務36才だ。
本社の「デリカ」は皮肉なことに極悪ベンダーと同じ東京、
中野区にある…。

 彼は販売員からの叩き上げであるという。実績を出して
抜擢に次ぐ抜擢で事業本部長になった。最大の悩みは
「老体が聞く耳を持ってくれなかったこ
と」。社長に見出されて初めて陽の目を見た。

 今この会社を引っ張るのは若い女性達である。彼女ら
に耳を傾けてきたのが良かったかも知れないと言えるも
のの、老体を排除したことが親不孝と言われる筋合いは
ない時代だ。


1月18日

 ここんとこ「らいおん丸」が冴えなかった。何でも「らいお
ん丸」の幼馴染の男友達が彼女にフラれたんだそうな。そ
してその彼女というのが、これまた「らいおん丸」の幼馴染
で、この間箱根の日帰り温泉へ行った時に「らいおん丸」
が連れてきたコなのだった。

 幼馴染同士の破局ということで板ばさみもあるが、この
男の方が彼女に未練たっぷりなんだそうな。それで「らい
おん丸」を呼び付けては嘆いているらしい。

 そして「らいおん丸」の元彼の影もちらつくのである。この
男と「らいおん丸」の元彼はこれまた友達で、男が元彼を
連れて「らいおん丸」の家まで来たのだという。「らいおん
丸」は元彼を去年フったわけで、「どうして来るの!?」

 「らいおん丸」は自分の部屋から出なかったそうな。それ
やこれやで「らいおん丸」は軽い拒食症に陥ってしまった
のだった。

 自分が好きなのに相手が違う方向を向いてしまったら気
力喪失だ。死にたいと考えるかもしれないし、食欲もなくな
ってしまうかもしれないは、仕事するのも辛い。

 グチを「らいおん丸」に聞いてもらうのも 可哀想な自分
に浸るのも大いにして欲しい。無理に明るく振舞ったりな
んでもない振りなどする必要もない。親しい人には甘える
のが自然だ。

 だからといって元彼を連れてくるのは反則だよ。よりを戻
したいというのは元彼にはあるんだろうけれど、「らいおん
丸」にはないのだから。

 ここいらで心機一転、ストレスの塊のようになった「らい
おん丸」を救い出す手段が東京ディズニーランド行脚だっ
た。

 ここは別世界へ「らいおん丸」を誘う。ファンタジックで愛
らしいディズニーキャラ達の待ち受ける殿堂へ連れて行け
ばきっと「らいおん丸」も立ち直るに違いないと思ったぐうさ
んが甘かった。

 ミイラ捕りがミイラ……。すっかり魅せられてしまったの
はぐうさんの方だった。


1月14日

 「らいおん丸」がいないセンターでぐうさんは完全な消化
試合。不良社員だから仕方ないかと思いきや、皆やる気
がないようで朝礼の集まりも悪い。

 センターの始業は午前9時からなので、8時40分の朝
礼に参加しなかったからと言って責められる筋合いは本
来ない。が、これについては人事からお咎めがある。

 裁判所は、点呼の時間について、「業務遂行に必要な
準備行為」であって使用者の指揮命令下に置かれたもの
であり、労働時間に当たるとした東京急行電鉄事件(東京
地裁平成14年2月28日判決、労働判例824号)に照らせば
人事のお咎めは賃金に反映されるならば違法行為であろ
う。

 ほぼ全センター社員が、

「閑散期ぐらい定時で帰してもらいた
い」

と顔に書いてある。年の半分は繁忙期とすれば、残り半
分ぐらいは帰してほしい。

本音はほぼ全員が

「できれば辞めたい」

 だが、時世が時世だけに声高に言わないだけだ。
 


1月13日

 昨日極楽今日地獄、何のことはない。いくら休日にいい
思いをしてもセンターの3K現場に出れば元の木阿弥だ。
まあ、思い出は残るからいいか。

 昨日は箱根で昼間から露天風呂に浸かっていい気分だ
ったが、一夜明けてめっきり寂しくなった懐に溜息をつく。
こりゃあ当分は「らいおん丸」とだけしか遊べないな。

 繁忙期もやっと終わったというのにまたしても残業であ
る。暇な時期だからこそセンター美化と出荷ラインの整備
に取り掛かれというのだ。それも残業で。

 結論から言わせてもらえば、こんなの残業
でやっても無駄だ。

 日頃から昼間出荷作業管理Gがちょこちょこ整備してい
れば済むものを、全ての作業段取りが後手に回っている
からこんなことになる。

 もっとも社員はいくら残業させても給料に反映されない
エセ裁量労働制(そのくせ終礼までいなくてはいけないか
ら強制労働である)だから、残業させた方が管理する側は
楽なのだ。

 その結果、物量が減っているのにセンターの照明は夜
遅くまで点灯し、光熱費は一向にコストダウンにならない。

 ああ、今日もつまらない一
日を過ごしてしまった。


1月10日

 初詣以来「らいおん丸」の風邪が思わしくない。でもって
昨夜は「らいおん丸」抜きで海老名の焼肉屋にて弟子と飲
む。何しろ「らいおん丸」、大好きなビールを受け付けない
のであった。

 12日の日曜日、3人で企画していた新年会も怪しくなっ
てきた。念のため代替の場所はある。いずれにしても日曜
はまっ昼間から温泉・ビール三昧の予定なのだ。

1月8日

 正月草々からマツには悩まされ続けた。ここまで来ると
因縁めいているが、ぐうさんと「らいおん丸」は話している
のがとにかく気に食わないようだ。もっともこの男、ぐうさん
自体が嫌いなのかも知れない。

 ぐうさんもマツは変に細かくて嫌いだ。しかしこれまでは
同じ荷受グループの仲間だということで本人には随分と気
を使ってきたつもりだ。

 それがマツをつけあがらせたのかも知れない。トヨピー
がマツとうまが合うことでトヨピーとタッグを組んでぐうさん
を窮地に追い込めると算段したのかも知れない。

 マツは段々と荷受でリーダー然と振舞うようになった。し
かしこの男の勘違いはリーダーとはドラ
イバーやパートに威張り散らすことだ
と思っていたことである。

 「らいおん丸」と話していたぐうさんの横を通りかかったマ
ツ、やにわにトヨピーの所へ行き、こっちを横目にニヤニ
ヤ笑いながらひそひそ話を始める。

 今回はぐうさんは反撃した。すぐ横にいた番長に、
「おい、マツの奴またぐうさんと「らいおん丸」のこと告げ口
しに行ったぞ」

 二人で大笑いする。つまりマツのやり方を逆
手に取ったのだ。トヨピーとマツはすぐに真顔でこっ
ちを見ていた。予想外だったに違いない。

 衝撃を受けたのはトヨピーだっただろう。自分が嘲笑され
ることには耐えられないタイプだからだ。

 あとはシゲ所長、T副所長に根回しする。
「マツ何とかして下さいよお、らいおん丸と話してるとうるさ
くて」

 シゲ所長、
「あいつもあんな性格だしな、ちょっと後で言っとくよ」

 所長はそう言うが、言うわけがない。むしろ男女の仲で
いちいち言う所長がおかしい。それよりもぐうさんはマツが
嫌いだということを認識してくれればいいだけのことだ。

 T副所長にいたってはもっと簡単だ。彼もマツが嫌いだ
から。

「フフン」

 ニヤリとT副所長はぐうさんに笑い返した。

 番長と「ねこ」はマツが死ぬほど嫌いなので、はっきりと
ぐうさんがマツに反旗を翻したことは諸手を挙げて歓迎で
あろう。事実非常に雰囲気は良くなって「らいおん丸」と
「ねこ」の会話まで進んだ。

 あとは個別にトヨピーとジョニーを呼んで、これこれこう
いう訳でマツを無視ることに決めた。君たちに何の他意も
ないがこれまで通りマツとは仲良くしてやってくれと伝えて
納得してもらったのだった。

 一瞬にしてマツ封殺だっ
た。

 いかにマツが愚痴ろうと勝手だが、今後は事情を周知の
面々に囲まれての愚痴になる。愚痴ればそれだけ己の小
ささを暴露するだけのことだ。

 マツ、お前の保護者はトヨピーのみ。謙虚に仕えるがい
いぞ。ぐうさんがお前に伝えることがあればトヨピーを通じ
ての命令だけだからな。嫌なら辞めればいい。

1月4日

 長かった繁忙期が終わった。「12月は二ヶ月分稼げ」と
のたまう会長の言葉通り例年忙しいのだが、去年を境に
環境ががらりと変わったせいか、以前にも増してつらさが
募った。

 長い不況で会社の体力もなくなってきている。人件費の
圧縮に踏み切ったが、特に体力勝負のセンターでは減っ
た従業員の穴埋めは残った者がしなければならない。

 今や会社にいれば安心できる時代ではなくなったのだ。
効率性という物差しで必死になればなるほど多様な生き
方とか数字では表現できない心の豊かさも失っているよう
な気がしてならない。

 問題は経済的にも精神的にも停滞期にあるのに、生き
る指針となる新たな価値観が見つけられないことにある
のだと思う。

 今年は上辺の評価やまやかしに見切りをつけよう。そし
て金や物や肩書きに囚われない「あるがままの自分」を
見つける年にしたい。

 そんなことを考えながら昼寝をしつつ、夕方になってここ
一週間働き詰めの「らいおん丸」がいるセンターに向か
う。

 センターで働く者にとって今日が仕事納めのようなもの
だ。「らいおん丸」と平塚駅前のビヤホール、「ブロイハウ
ス」ヘ向かう。

 この店は去年の秋にも一度行っており、料理の美味しさ
には「らいおん丸」も合格点をつけていた。

 ぐうさんは黒ビール、「らいおん丸」は普通の生ビールの
ジョッキでまずは「お疲れ様」の乾杯。去年は笑って泣い
て悩んでいろいろあった慌しい1年だったけれど今年はも
っとゆったりできる一年にしたいものだと話す。

 生ハムと貝柱のガーリック・オーブン焼き、かりかりチキ
ンガーリック、砂肝の唐揚を次々に頬張りながら「らいお
ん丸」は、

「最初はぐうさんの和風趣味についてけないな〜
なんて思ってたけど、なんかいいもんだなあって
思えるようになったよぉ。」

と嬉しいことを言ってくれた。去年の熱海旅行から帰って
翌日センターに出勤した時の現実の落差の余りの激しさ
に落ち込んだという話も披露してくれた。

 オフタイムや休日はどれだけ楽しくゆったりと有意義な
時間を過ごせるか、自分を取り戻せるかが大事なんだ。
 店を出てから平塚の駅ビル「ラスカ」の中にあるスタバでコーヒーとサンドイッチを頬張る。

 それでも足りずにラーメン屋に立ち寄ってラーメンまですすって帰ってきた。

いや食べた食べた。今夜は……。





1月3日

 元日から地獄のような3日間がやっと終わった。明日は
ぐうさんは指定休で、土日の連休となる。来週明けからパ
ートさん達の大部分が出勤してくるので、業務も落ち着き
を取り戻すに違いない。

 とは言え「らいおん丸」は明日も仕事なのでやれやれとく
つろぐ気持ちにはなれない。彼女は今週休みもなく月曜
から土曜日まで仕事なのだ。

 この3日間というものは社員全員が文字通りパートさん
が休んだ穴埋めに忙殺された3日間だった。「正月も出勤
できる方」ということで採用しているはずなのに、正月はみ
な見事に休んでくれる。正直に出勤する「らいおん丸」達
少数の人間にはえらい負担がかかる。

 社員は現場に出ずっぱり。昼休みも45分に短縮して交
代で昼飯を食う。

 可愛そうなのは最年少の「らいおん丸」。同僚がさっさと
休憩に行ってしまうのに毎日30分から1時間は余計に仕
事をさせられる。作業管理からすれば「使いやすい」という
のだろうが安易過ぎる。

 同僚のゾンビおばさんなんか2周り以上も年上だろう
に、自分の娘みたいな「らいおん丸」が残されて仕事して
いるの何とも思わないのだろうかねえ?

 こういうの見るに今の大人って駄目だよねえ。大人の方
がだらしないんだから…。あ、大人が駄目なもんで日本も
落ちぶれかけているのか。

 ともかくせわしない正月で「らいおん丸」とのトークタイム
も消滅してしまってめでたくも何ともない。会話すら心もと
ない状況での不幸な数日だった。

 まずは明日の夜は「らいおん丸」を労おうと思う。よくや
ってくれた。翌日曜は初詣だ。

 そして弟子も交えた新年会は今場所を熟考中である。

 いや、ようやくぐうさんの年明けだ。センターの年明けは
4日以降。冷え切って身体中筋肉疲労で痛く、熱い風呂に
入って蘇生を試みるも睡眠不足からかビール2本ではや
意識朦朧となりつつも書く。


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