逆順PMDの設計         ヤルデア研究所 伊東義高

企画計画(Planning)とは「何を、いつまでに、どれだけ、どうしたいのか」という実現目標(Vision、Scheme) 策定と「そのためには、何々を、いついつまでに、どれだけ、どのようにする必要があるのか」という実現手段 (Program、Schedule)検討とからなる。 それぞれについていろいろな考え方や技法があるが、前者の目標発想技法の数にに比べて後者の条件検討技法の 数は少ないようである。その中にプロジェクト管理技法として朝日大学 江崎通彦教授のPMD(Purpose Measure Diagram)がある。課題・テーマについて「それは何をどうするもの(こと)なのか」という検討を順次積上げて いくことにより、活動目標が描き出され、それまでの道程に実現条件が列記されることになる…というのが概容で ある。この手法により多くのプロジェクトが開発・実行されたとのことで立派な手法といえよう。しかしどんな手 法にも絶対はないし、万能はない。特徴とともに限界がある。ヴァージョンアップや相補手技法の開発により全体 効用は高まる。 課題・テーマから未来に向けて目的を連鎖的に積上げていく手法にBTT(Break-Through Thinking)がある。 PMDもBTTも“論理的に正しく”展開していくならば開発者がいうような成果が期待できる。しかし、日本人 は欧米人と比べて論理的思考に不慣れなせいか、連鎖的論理展開に弱い面が往々にして見られる。単純なはずの特 性要因図や機能展開図においても間違いや乱れの例が余りにも多すぎる。教科書にすら誤例が多い。親が子を産む のでなく子が親を産むような因果逆転や必要条件・十分条件の乱れなどが目につく。PMDも技法設計はよくても、 実用者の論理展開能力次第ではスリップ連鎖がどこに行ってしまうか分らない心配が予想される。 これらのことから、「逆順PMD」を考えた。用途は変り、限定されるが、論理連鎖上のミスが少しは減少する ものと期待される。「本家PMD」とセットにして利用されればと願うものである。 逆順PMD(企画から計画を導く技法) 企画(何を、いつまでに、どれだけ、どのようにしたいのか…という実現目標)は決まったが、その計画(その ためには、何々を、いついつまでに、どれだけ、どのようにする必要があるのか…という実現手段;実行項目)を どう考えたらよいか、という場合に使う技法である。(本法は一人でもできるが、目標や実行の関係者数人により 展開されるのが好ましい) 実現目標の確認・明確化 @実現目標について、決定されている内容(要素・要件)を模造紙に箇条書きする。 A箇条書きは5W2H(Why/for What, Who, What, When, Where, How to, How much)や6M(Man, Money, Machine,Material, Message, Management)等を参考にきめ細く記述する。 B各項目について決定程度マークを付け、必要な補完を行う。 ・絶対条件として決まっている……◎……そのまま ・一応明確に決まっている…………○……そのまま、場合によっては再検討 ・明確には決まっていない…………△……補正・補完して明確化する ・何も決められてはいない…………?……全体文脈の中で策定する C全体図・構造図・利用図等のスケッチ、ポンチ絵やフローチャートを寄せ書きする。 ・巧拙は問わない。カラフルに描く(潜在イメージの導出) Dプロジェクト名を協議決定して頭書する。 ・各自1案以上提案(口頭またはカード書き) プロジェクト名 ×××× 1……………………… 2……………… 3……………………………… 4…………………… 5………………………………(………) ・2〜3枚にわたってもよい ・場合によっては、この段階で文書化して決裁を得ておく ・または、壁に張り多くの人に見てもらい、意見を直接記入か投書してもらう ・以下の検討作業中、よく見える壁に貼っておく ・途中での追加書き込みは自由 必要条件の検討 @ 「実現目標」を実現させるために直接的に必要な条件は何かを考える。 ・実現目標を構造分析・手順解析して直接的前提となるものは何かを考える (目標箇条書きは結果の状態条件。それを実現させる行動条件を考える) ・考えられるものをカード化し、OR(論理和)とAND(論理積)に仕分ける。 ・ORとは目標を実現するめには、それらのどれか一つがあれば十分なもの ・ANDとは目標を実現するためには、それら全てが必要なもの ・OR条件については実現期待確実度と費用対効果から優先順位をつける。 ・AND条件については脱漏・重複のないことをチェックする。 A 「必要十分条件」をまとめて、「手段構成図」を模造紙に記入する。 ・前項検討から順位の高いものの中から最低必要条件を絞って実行手段とする (「何を、どうしさえすればたりるのか」という目でみる) ・採用される実行手段の明細(5W2H)は別途カード書きしておく ・実行手段が複数(AND)の場合はそれぞれの結果寄与度を推定しておく ・プロジェクト名の横幅を100%として、各寄与度%幅を持たせた条件を列記 ・明細カードと寄与度を実行手段の付近に貼付・記入する ・採用した実行条件でどこまで必要な結果条件が満たされるかを確認しておく B 順次、手段構成図を作成していく。 ・前項の各実行手段毎に「必要な結果条件は」「それを実現させる十分な条件は」 ・ORとANDに仕分け、実現期待度・費用対効果と結果寄与度を推定 ・最終的に採用する実行手段を選定して前項同様に模造紙に記入・貼付する。 C 全ての実行手段が既に実現されているレベルになれば「逆順PMD」は終了する。 D「逆順PMD」の新規実行活動を別途、構造的にまとめれば計画表(Program)ができ、  順序的に整理すれば日程表(Schedule)ができる。 (注) ・「企画」に検討余地のある場合は「計画」検討に入る前に、練り直しておいた方がよい。  (逆順の計画検討過程で企画改善案を期待できる確率は少ない) ・手段検討中に現状レベルが分らずに困ることが予想される場合は「課題の現状分析表」  や「シーズ一覧表(利用可能経営資源や予想される制約条件)」を作成しておくとよい。 以上

トップへ戻る