平成11年度 試験問題および試験結果
「保険制度論」 期末試験問題(平成13年2月7日実施)
1、試験問題
1、「保険の基本的な仕組み」に関する以下の文章を読み、( )を埋めよ。(20点)
生命保険会社においては同一年齢の加入者が多数同じ保険種類に入ると( 1 )によって、保険期間にわたっての加入者の死亡状況が推定できるので、その死亡者数と運用利息を考慮し、( 2 )収入総額と( 3 )支出総額が等しくなるように( 2 )を定めることを原則とする。これを( 4 )という。一方、加入者個人の立場からみて( 3 )の数学的期待値が( 2 )であることを示す関係式は( 5 )の原則という。
つぎに、( 6 )は、毎年ごとに計算された( 2 )であるのに対して、( 7 )は、保険期間を通じて毎年の( 2 )の大きさを一定の水準に平均化したものである。つまり、( 7 )は、保険期間が5年であれば、その5年分の( 2 )収入の( 8 )と5年分の( 3 )支出の( 8 )が等しくなるように決められる。( 6 )は、死亡率が急激に上昇する高年齢になるにつれて増大するという短所があり、この短所をなくしたのが( 7 )である。( 6 )は保険期間前半において( 7 )より( 9 )が、後半になると( 10 )なる。
2、以下の文章を読んで正しければ○、間違っていれば×、いずれともいえないならば?をつけよ。なお、間違っている場合は、その箇所を訂正せよ。(20点)
(1) 生命保険会社の健全性確保の観点からいえば、責任準備金は20年チルメル式で積むべきである。
(2) 予定死亡率一定のもとで予定利率を引き上げると、定期保険・養老保険ともに保険料は低くなる。
(3) 予定死亡率を引き下げ、かつ、予定利率を引き上げると、生存保険の保険料は高くなる。
(4) 告知が10月1日、第一回保険料の払込みが10月15日、保険会社の承諾が10月30日の契約では、被保険者が10月20日に死亡した場合に保険金は支払われない。
(5) 相互会社は営利法人ではなく、構成員である契約者相互のために保険業を行なう社団法人である。
3、「生命保険契約の法律」に関する以下の文章を読み、( )内に当てはまる言葉を次の枠ないから選び記号で答えよ。(20点)
生命保険契約の性質には、様々なものが上げられる。生命保険契約は、申し込みがあって、それに対する承諾があって契約は成立する。これが( 1 )である。また、商法の中に、契約の手続に当たってこういう様式でなければならないという定めもなく、これが( 2 )である。
保険契約は賭博や富くじと同じような性質をもっているけれども、偶然な出来事によってその給付が左右されるこのような性質が( 3 )である。ただ、保険契約の( 3 )の結果として、保険契約においては、契約関係者に信義・誠実が要請される。すなわち、保険契約は( 3 )の裏返しとして( 4 )が求められる。
保険金は保険事故が発生したときに( 5 )から支払われる金銭、( 6 )が支払う金銭が保険料であるけれども、保険金と保険料の支払い義務とが相互に対立する関係にあるということから、保険契約も( 7 )をもつといえる。
最後に、保険契約では大量の書類が必要であり、また、( 5 )と( 6 )との間には( 8 )も存在することから、( 5 )が作成した( 9 )や特別約款に従って取引が処理されているということで( 10 )をもつといわれる。
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ア、不様式契約性 イ、諾成契約性 ウ、善意契約性 エ、双務契約性 オ、付合契約性 カ、射幸契約性 キ、情報の非対称性 ク、普通保険約款 ケ、保険者 コ、保険契約者 |
4、「逆鞘問題」について論じた以下の文章を読み、( )を埋めよ。ただし、(7)には式を入れて文章を完成せよ。(20点)
計算基礎率のなかで( 1 )が財務健全性との間で最も密接な関連性を有する。1990年代に入ると、( 2 )が( 1 )を下回るという逆鞘をわが国の生命保険業は歴史上初めて経験した。1980年代に入って長期金利が低下傾向をたどり、それに応じて( 2 )も低下する中で、( 3 )との保険料引き下げ競争に抵抗する形で( 1 )を1976年以降三度も引き上げてきたことがその背景にあったとする意見もある。
一方で、財務健全性の確保のために採られてきた( 4 )は、生命保険会社の資産選択行動に直接規制を加えることで、過度のリスク・テーキングを抑制することにそのねらいがある。( 4 )は、自己資本の最低水準を設定しそれを下回らないよう規制する自己資本規制と、運用対象資産とその資本比率を制限する( 5 )に分類できる。しかし、( 6 )の低い生命保険会社が、( 5 )では自己資本期待収益率の低下を回避しようとして自己資本の水準を低下させるために、また、自己資本規制ではより危険度の高い資産構成を選択するために、かえって支払不能の確率を高めるという可能性を排除できない。
これに対して、( 1 )の引き下げが政策上は効果的である。いま、
自己資本利益率:π=Σ(Ri−R0)xi
Riはi番目資産の収益率、R0は( 1 )、Xiはi番目資産の対総資産占率とすると、自己資本0の状態で支払不能に陥らない確率:Sは、
S=1−Pr{Σ(Ri−R0)Xi<0}
となる。これは、実際の収益率が( 1 )を割らない可能性を測ることになり、Sを( 1 )の安全性と呼ぶこととする。Sについて計算し、収益差が正規分布に従うと
S=( 7 )
と表される。すなわち、( 1 )の安全性は( 1 )とリスクの( 8 )関数であり、期待収益率の( 9 )関数であることがわかる。なお、収益差が正規分布に従うときには、( 1 )の低下が( 1 )の安全性に及ぼす影響は、( 1 )水準が( 10 )に伴い逓減するので過度の引き下げは必ずしも必要ない。
5、「金融サービス法と生命保険業のあり方について」800字以内で意見を述べよ。(20点)
2、解答例
1、(1)大数の法則 (2)保険料 (3)保険金 (4)収支相等の原則 (5)給付反対給付均等の原則 (6)自然保険料 (7)平準保険料 (8)現価 (9)低 (10)高
2、(1)×:5年チルメル方式→純保険料方式 (2)○ (3)? (4)×:支払わない→通常は支払う (5)×:契約者→社員
3、(1)イ (2)ア (3)カ (4)ウ (5)ケ (6)コ (7)エ (8)キ (9)ウ (10)オ
4、(1)予定利率 (2)資産運用利回り (3)簡保 (4)バランスシート規制 (5)ポートフォリオ規制 (6)危険回避度 (7)S=1/(2π)1/2∫exp(−m2/2)dm (8)減少 (9)増加 (10)低下
5、(略)
3、試験結果の概要
| 経済学部 | 法学部 | 合計 | |
| 登録数 | 67 | 49 | 116 |
| 未受験者数 | 27 | 15 | 42 |
| 受験者数 | 40 | 34 | 74 |
| 合格者数 | 28 | 28 | 56 |
| 不合格者数 | 12 | 6 | 18 |
| 不合格率 | 30.0 | 17.6 | 24.3 |