優雅な祇園祭

 今日は7月11日で参議員の選挙日で、日本の将来を決める事にもなる大切な選挙で夕方までには投票に行く積りであるが、昨日京都国立近代美術館で開催中の横山大観展を見に行き、その帰路八坂神社の祇園祭に出くわしたのでその話をしたい。

 朝からの梅雨の雨も上がり曇天ながら爽やかさも感じられる八坂神社の境内は、華やかで慌しさを感じる風情が漂っていた。 お参りを済ませて散策していると観光客やカメラを持ったグループが次第に多くなってきた。

 境内に続く氏子会館には子供達が白くお化粧をしてもらい出入りしている。 時々衣装を着けた子供達が現れると観光客がどっと駈け寄りカメラを向けていた。 その前を通り抜け桜の広場の緑陰で腰を下ろして見回していると馬が六頭引き込まれ飾り付けが始まった。 これにも観光客が取り巻き盛んにカメラを向け馬の飾りつけ作業をカメラに収めたりその前でカメラに収まったりしていた。

 何事が始まるのか知りたくなり、後ろの方で腰をかけてこれらを見ている上品そうな、連れを伴った老婦人に何が始まるのかを聞いてみた。 私もよくは知らないのですが、と前置きして知らないどころか祇園祭についていろいろ話をしてくれた。

 祇園祭は七月一日から一ヶ月間続く祭りで今日十日は 神輿祓い の巡航がこれから始まるのでその準備をしているという。 そして十七日が各町内の山鉾が集まって行われる山鉾巡航がハイライトで一番有名ですが、あれは前祭りと言って二十四日には後祭りがありますとのこと。

 そして十五日の宵宮祭り十六日の献茶祭も素晴らしいお祭りだそうだ。 特に十六日は鷺舞、田楽等の伝統芸能奉納があり四条通はコンチキチンの歌と踊りの巡航でとても華やかですと驚くほどの説明をしてくれた。そして二十八日に神輿洗いがあり四条通りのお旅所に安置されていた神輿が一ヶ月ぶりに八坂神社に納まるのだという。

 そのお話しに厚くお礼を述べて立ち上がり氏子会館前に行くともう支度の出来た子供や、その母親達が揃いの浴衣に着飾って盛んに団扇を使いながら子供達に風を送っていた。 観光客は頭の上に見事な飾りのついた帽子を載せている子供たちを撮るべく汗を流して動き回っている。

 子供達は七・八歳までの女の子が白く塗ってもらい化粧していて愛らしさで思わず笑ってしまう。 カメラを持っていたらと思った。やがて先ほどの飾り付けられた馬がきて、これにお化粧して刀を差し冠姿の六人の女の子が泣きもせずに馬に乗せらた。

 子供の母親達が心配そうに馬の側に立っていた。 いよいよ出発である。 男の子はやはり七・八歳までの子でこれは鎧兜の武者姿での参加である。 

 八坂神社の側道から四条通りを抜け京都の中心街へと繰り出し帰着は四時間後となる。 子供達は大丈夫かなとこちらが心配になってきた。  馬も含め総勢二百人近くの大行列である。 警察官の交通規制に導かれゆっくりとコンチキチンの鐘太鼓笛の演奏を伴いながら京の町を進んでいった。

 沿道はこれを見る人々で一杯である。 大小はあるだろうがこのような祭りが京の町のあちこちで町内の氏子によって行われているという。  私は祇園祭は初めてでしかも一つ見ただけで何も知らない訳だが、この行列をみただけで祇園祭の優雅さに驚かされた。

 祭りと言うと荒々しく死者が出ないと納得しないといったものがもてはやされるが、祇園祭のこの優雅さはどうだろう。素晴らしい日本の伝統文化の極致を表現しているように思われた。これだけの祭りを千年以上にわたり続けてきた活力はどこにあるのだろうか。大阪の天神祭りを昨年見に行って大阪商人の力を目の当たりにしたが、祇園祭を支える力は何だろうかと考えながら帰った。