小泉さんの靖国神社参拝

 小泉さんが靖国神社参拝を続けている事に中国が批判して首脳同士の往来が途絶えて三年になる。善隣友好は個人間であろうが国家間であろうが大事なことであって、隣が嫌がる事はしないのが常識である。よほどやむを得ない事情でもあればその旨真摯に説明をしてから実行するというのが近所付き合いの基本であろう。

 個人と国家は違うと言い張る人も居るかも知れないがそれは間違いである。 この問題はそれ程単純なものじゃないと冷ややかな視線を感じるが、もつれたものは基本に返るのが解決の王道だ。

 さて小泉さんは「信念の人」のように見えるがそうではなくて計算づくでやっていると思う。 彼は「お人好のお坊ちゃん」のように見えて実は強かな現実政治家である。

 それもかなり我田引水型で国家の運命よりも自分の政治生命の方が人並みに大事に思っているのではないか。彼の政治のお師匠さんである福田元総理は我田引水をしないことで定評があり、それでかなり信頼されていたのだが。

 もともと小泉さんは靖国参拝にそれ程熱心ではなかったのにそれが総理になると途端に羽織袴で出かけるが、あれは党内保守派の支持を繋ぎとめるパフォーマンスであると思うが隣の人が嫌がるのだから止めた方がいい。

 それと誰の入れ知恵か知れないが靖国参拝理論構築が下手だ。「心ならずも兵隊となり戦死した人々の霊の冥福を祈り二度と戦争をしないという誓いの参拝だ」との理論構成だが、

 これは中国が「無名戦士の墓」の参拝を否定している訳ではないのだから説明になっていない。中国はA級戦犯に対する参拝が嫌だ、と言っているのだから。「A級戦犯を参拝して何が悪い」と言えば日中平和条約の否定になる事ぐらい解っている筈だが。

 立場を替えて考えてみよう。ユダヤ人を数百万人もガス室で虐殺したヒットラーのお墓をドイツの首相や大統領が毎年これを公式参拝したらユダヤ人がどう思うだろう。この位の人情が推測出来ないのかなぁ小泉さんは。いや分っているけど実は・・・と言いたいのだろうがそれは間違いだ。

 アメリカには「宣戦布告」を曲がりなりにもやって攻め込んだが、中国には一方的に日本軍が攻め込んだのであって「宣戦布告」も何も無しの侵入であり侵略だったのだから中国の人々にとっては酷い話である。この事実さえこの頃の若い政治家諸君はすっかり忘れてしまっている。

 自分の都合の悪い事は忘れたい気持ちは誰でも同じだが、やられた方はそうも行くまい。それでも中国は戦後損害賠償権を放棄しているのである。いやそれに付いては実はと訳知りが言いそうだが、理由も無く人に損害を与えたら弁償するのが人の道だ。

 いろいろ有っても、とにかく平和条約を結んだ以上仲良くするのがよいと思うがどうだろう。

 平和憲法を変えて不戦条文を外して堂々と海外派兵しようという政治勢力が与野党に充満し始めたが困ったことだ。若い政治家諸君理念に燃えよと言いたい。

 年よ銃を執るな! 婦人よ夫を子供を戦場に送るな! と理念を叫んだ政治家が戦後大勢いたのだ。

    争いの 社参りや 蝉時雨    偵 之