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セクション2.「美しさ」と「音」
横でルマン24時間レースが流れている。カースポーツが好きな私は結構気になるけど
、今日この原稿を書かないと、記憶が薄れてしまうから、今は少し我慢。
今日は阪神・横浜戦を観戦してきた。
先発は阪神、福原、横浜は三浦というエース級同士の投げ合いとなった。
両投手ともエースのプライドにかけた投球を繰り広げ、白熱した投手戦となった。

 2回表に横浜が新外国人、ズーバーのタイムリーヒットで1点をとり、その後も横浜の優勢が続いたが、
福原の好投と横浜の拙攻も重なり、追加点を取ることができない。
横浜が雑な試合をしているあいだに阪神は5回裏、8番、山田がファーボールで出塁した後、
2アウトから2番、藤本のタイムリーヒットで同点、
続く3番濱中のタイムリーで逆転に成功した。
逆転を許した横浜は7回表、ズーバーの出塁から2アウトを取られ、
9番、三浦を代打した、中日からトレードされた種田がタイムリーヒットで同点に成功。

 この試合の三浦は持ち前のコントロールがよくなかった。
スピードがそれほどない三浦にとってコントロールは生命線になるのだが、
今日は多くのファーボールを出した。今日の三浦の不調の証と言えるのが5回の山田の打席である。
2ストライクを簡単に取った後、4球続けてのボール。
本調子の三浦ならば考えることのできない投球である。

 阪神先発の福原は序盤はランナーを許して苦しんだが、今日は粘り強く投げていた。
ランナーは出すが、得点は許さない。結局、福原は8回まで投げ抜いた。

 7回裏から横浜は、三浦から中野渡にリリーフ。中野渡は長身を生かして角度ある球を投げていた。
今日の投球が日頃からできるならば、中継ぎとして計算が立つ。
8回裏、中野渡が先頭バッター、濱中をファーボールで出すと、
横浜、森監督は中野渡に代えて杉山賢人を起用。
この杉山は5年ほど前、森監督が西武の監督の時に、中継ぎのエースとして大活躍した。
その後、怪我もあって低迷。昨年、阪神にトレードされたが、活躍することができず、
自由契約され、今年、横浜にテスト入団した。
森監督のもと、再起を決する覚悟だったろう。
その覚悟を無残に砕いたのが、同じく再起を決す5番桧山だ。
桧山も3年前までは阪神の主軸として活躍していたが、
吉田前監督の不可解な起用
(ホームランバッターの桧山を2番に起用するという)
によってバッティングフォームを崩し、この2年間は全く精彩を欠いていた。
そんな桧山にとって今年は勝負の年になる。
今年の成績がよくなければ、決して若くない桧山の来年以降の契約も保証されないのだ。

 桧山はこの数試合好調をキープしていた。
2日前の大阪ドームでの中日戦でも1試合、2本のホームランを放つなど、調子は上向いていた。
それに比べて杉山はそれほどの活躍をすることはできなかった。
そんな二人の対決は勢いの差が顕著に出た。
杉山のインコースへの球を見事に跳ね返し、そのままライトスタンドへ一直線。
全盛期の桧山を思い起こされるライナー性のホームランだった。
このホームランによって阪神は9回からかつてはロッテのリリーフエースだった成本が登板。
3人で締めくくり、阪神が4−2で横浜を下した。

 まず、この試合を見て思ったのが、横浜打線の低下だ。
昨年より著しく迫力が落ちている。
その第一要因はもちろん、昨年まで不動の4番だったロバート・ローズの退団だろう。
常に3割打ち、100打点近くを稼ぎ出していたローズの退団は横浜打線の迫力低下に大きな影響を与えた。
ローズの退団によって決してホームランバッターではなく、3番が適正な鈴木尚典を4番で起用せざるを得なくなった。
次に、チャンスでもバントさせる作戦にも疑問を持たざるを得ない。
確かに、昨年はチーム打率はリーグトップにもかかわらず、チーム得点はリーグ5位という成績から考えると、
新たな作戦が必要かもしれない。その作戦の中にはバントもあろう。
しかし、誰にでもバントをさせるというのはいかがなものだろうか。
例えば、今日の試合では7回表、ズーバーがノーアウトからヒットを打つと、続く7番ドスターにバントを命じた。
このバントには疑問が残る。
まず、ドスターが2割8分以上打っていること、ドスターのバントはそれほどうまくないことを考えると、
ヒッティングよりバントの方がリスクが高いと考えるべきでないか。
折角、長打を打つ技量があるのにそのようなバッターにバントをさせるとは・・・少し疑問に残った。

 話を野球からずらして甲子園の雰囲気についてコメントさせてもらいたい。
私はレフトスタンドに座ったんだが、
レフトスタンドからライトスタンドを見るとある意味、芸術を見る気分になる。
超満員になった阪神ファンのメガホンが乱れることなく揺れているのである。
そのメガホンはチャンスになればなるほど揺れが大きくなり、
阪神の攻撃が終わると一斉に揺れが止まるのである。
そして、横浜の攻撃になると、不気味な沈黙が走る。
これだけでも対戦相手にとって大きい脅威となろう。
私は試合よりも阪神の応援の美しさに見とれてしまった。
 ただ、その美しさには副作用として、野球を観戦できないという問題を残す。
球場を包むファンの歓声による轟音は野球本来の「音」をかき消すのである。
ボールがバットにぶつかる「音」、ランナーがベースに滑り込む「音」、このような野球本来の「音」を聞くことは少なくとも甲子園球場では不可能である。

 そういえば、昨年巨人の選手会長を務めていた桑田投手は1試合だけ、
東京ドームの試合から鳴り物を削除することに成功した。
そして、その試合は野球の「音」を聞くことができて好評を得たという話を聞いたことがある。
メジャーリーグの試合ではあのような鳴り物は決して存在しない。
メジャーでは野球本来の「音」を聞くために球場に来ているのだ。

 私は野球本来の「音」を聞きたい。しかし、あの阪神の応援の「美しさ」も見たい。
その矛盾するものを何とか結び付けてほしい。
一つの手として、鳴り物を止めることだろう。
Jリーグでも昔はチアホン(覚えているかなー?)による応援が主流だった
。しかし、周辺住民の苦情からチアホンによる応援を禁止した。
そのチアホンの禁止によってサッカーファンはシュートの「音」、タックルの「音」を聞くことができるようになった。
野球もこのような変革が必要ではないだろうか。
2001年06月016日 23時40分29秒

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