国際観光振興会法(昭和34年3月24日法律第39号)
第1条(目的)
国際観光振興会は、海外における観光宣伝、外国人観光旅客に対する観光案内その他外国人観光旅客の来訪の促進に必要な業務及び日本人海外観光旅客に対する旅行の安全に関する情報の提供等の業務を効率的に行うことにより、国際観光の振興を図る事を目的とする。
第24条(業務の範囲)
振興会は第1条の目的を達成するため、次の業務を行う。
(1)外国人観光旅客の来訪を促進するための宣伝を行うこと。
(2)外国人観光旅客に対する観光案内所の運営を行うこと。
(3)通訳案内業法第5条の25第1項の規定により同法第3条の試験の実施 に関する事務を行うこと。(筆者注:一般に「通訳ガイド試験」と呼ばれ ているもの)
(4)日本人海外観光旅客に対し、旅行の安全に関し配慮すべき事項に ついて、情報の提供を行い、及び相談に応じて案内を行うこと。
(5)国際観光に関する調査及び研究を行うこと。
(6)国際観光に関する出版物の刊行を行うこと。
(7)前各号の業務に附帯する業務
同会の年間予算総額は36.6億円で、収入では国の一般会計から拠出される国庫補助金が26.6億円で約73%を占め、残りは地方自治体や観光関係業界等から拠出される「賛助金」や「受託業務収入」等である。他方、支出面では人件費が約16.2億円と支出予算全体の44.2%を占め、残りは家賃、事務費、宣伝経費、調査経費等となっている。
役職員数は事業計画・予算で定員が定められており、平成13年度では役員8名、職員111名の計119名となっている。内、省庁からの天下りや航空・鉄道・大手旅行会社からの出向者が約2割を占めており、組織の要となる総務部長、経理部長は従前よりそれぞれ運輸省(現国土交通省)、大蔵省(現財務省)からの天下りである。また、海外において観光宣伝を行うという組織の目的上、職員の約1/3に相当する39名が海外勤務となっており、ここにも欧米を中心に、天下り・出向者が1/3以上(18名)を占めている。中でも、ニューヨーク、パリ、ロンドンといった「一流事務所」の所長は、歴代運輸省(現:国土交通省)からの出向者の既定ポストとなっており、特にパリは4名の日本人職員のうち、プロパー職員はわずか1名のみで、実質的な業務は全て彼らの手にかかっていると言っても過言ではない状況である。
ところで、天下り以外にも民間からの出向者がいると述べたが、これは大口の「賛助金」を拠出しているJR、日本航空、JTBからの出向者であり、その見返りとして2,3名の役員ポストを占めている。彼らに対する役員報酬は全て国庫補助金により賄われている。従って、大口の賛助金を貰っていても、それは実質的に彼らの人件費に消えていると言っても過言ではない。いわば、これら民間企業がポスト不足対策として、「天上り」を活用している側面もあり、官民の持ちつ持たれつの関係が露呈している。
なお、常勤役員は7名で、その出身構成は会長(運輸省(現:国土交通省))、理事5名(運輸省(現:国土交通省)1、大蔵省(現:財務省)1、JTB1、日本航空1、プロパー(内部登用)1)、常勤監事1名(東京都)となっている。なお、プロパー理事は設立28年目の1992年に労組の長い闘争の末に漸く誕生した。
会長は、最近では3代続けて元海上保安庁長官が天下っている。会長の任期は3年、理事は2年となっているが、理事については出身官庁の人事異動の影響を受けて、任期前に交代するケースが多い。無論、その都度高額な退職金が支払われる事はいうまでもない。
筆者はプロパー職員として1988年にJNTOに入会し、都内の外国人観光案内所で外国人旅行者への観光案内に携わった後、経理部で運輸省(現:国土交通省)や大蔵省(現:財務省)との予算折衝を担当、その後は企画調査部で観光統計の取りまとめに携わり(この間92年8月〜93年11月まで労組書記長)、1993年11月に香港観光宣伝事務所に次長として赴任、5年間宣伝・調査マーケティング活動、人事労務等を担当した後、1998年12月に自己都合で退職した。退職理由はもはやJNTOが存在意義を失い、日々の業務が組織延命になりさがっている事に嫌気がさすと同時に、一納税者として毎年25億円もの税金を無駄遣いしている事に怒りを感じたためである。
後述するが、毎年数名採用されているプロパー職員のうち、3〜5年以内にその多くが退職している。これは最近始まったことではなく、既にここ10数年来の現象であり、最近の若者の転職ブームと同列に語れるものではない。
次章では、特殊法人の一例として、同会の存在意義や問題点を具体的に明らかにしていきたい。