欠陥住宅被害の場合
宮 崎 み つ よ
1 事案の概要
私は、1997年8月に、東京都世田谷区の地下1階地上2階建て木造建売住宅を購入しましたが、入居後2か月くらい経ったころから、床下への浸水、雨漏り、玄関ドアの枠が割れる、サッシの開閉ができなくなるなどの問題が生じてしまいました。
そのため、その都度、業者に補修をお願いして、一応直してもらっていました。しかし、補修の後も、さらに、天井の亀裂、2階の床が下がる、ガスメーターが倒れるなど、次から次と問題が発生してしまい、このまま業者のいいなりの補修を行っていくことに疑問を感じました。
そこで、一級建築士に専門的な問題点の調査をお願いしました。その結果、建築確認申請では2階建て建物として確認を得ているのに、実際は、建築確認どおりに施工がされておらず、建築基準法では3階建て建物となり、法律で要求される最低限の構造上の安全性が確保されていないということがわかりました。具体的には、(1)耐力壁が不足している、(2)主要構造部分での緊結不良といった問題点があることがわかったのです。
そのような住宅としての安全性に問題があるなどとは思いもしなかったため、建築士、弁護士の方と相談して、2001年11月、損害賠償を求める裁判を起こして、現在、裁判を行っています。
2 弁護士報酬敗訴者負担となった場合について
住宅というのは、本来、様々なストレスのある社会の中で、ゆとりを持って、一番落ち着ける場として、人としての安らぎを得ることができるはずの場であるのに、そこに欠陥があった場合、毎日毎日、嫌でも欠陥を見せつけられ、しかも、構造的な安全性にも問題があるという中で、生活を続けなくてはならないのです。
その上、住宅を購入するにあたって、20年を超える多額のローンを組んでいますので、その経済的負担もあります。
欠陥住宅の被害に遭うと、このように、経済的にも、精神的にも、追い詰められた苦悩の中で生活せざるを得ないのです。
このような苦悩から逃れるためには、裁判を起こすしかないのですが、裁判をするかどうかを考えるにあたっては、裁判で欠陥と認めてもらえて、被害を回復してもらえるのかどうかということが一番の関心事です。
欠陥住宅の場合には、一級建築士の方による欠陥調査の結果を証拠として準備しておくことが絶対に必要ですので、お願いする弁護士の方への費用のほか、欠陥調査をしていただく建築士の方への調査費用も必要となります。
欠陥住宅被害に直面して、その被害を回復してもらうために、裁判を起こすという決心をするには、このような経済的負担を覚悟し、さらに、裁判の結果、ほんとうに業者側の責任が認められるのかどうかは不確定だとしても、それでも、この被害を受け入れることはできないという強い決意を必要とします。私も迷いに迷いましたが、このような被害に泣き寝入りをしてしまうのは、どう考えてもおかしいと思って、裁判を決意したのです。
私の場合、売主、施工業者、設計監理を担当した建築士、業者側からの依頼を受けて調査を行った調査会社と4名を被告として裁判をしていて、被告側には、それぞれ別の弁護士がついています。
もし、裁判に負けてしまった場合には、4名分の被告側の弁護士費用まで負担しなければならないとしたら、欠陥被害は回復してもらえないうえに、裁判を起こしてしまったが故に、さらに経済的な負担が増えてしまうという恐ろしい結果となってしまいます。
私が裁判を起こすかどうかを考えるにあたって、もし、「弁護士報酬の敗訴者負担制度」があったとしたら、とても裁判をやろうとは決意できなかったと思います。
欠陥住宅の被害に悩んでいる方はたくさんいます。そのような方々の中には、現在の制度でも、経済的な問題などで、裁判を断念せざるを得ない方がたくさんいます。
したがって、これ以上、欠陥住宅の被害者を増やさないためにも、裁判を断念させるような制度には、絶対に反対です。